結婚式 2
家族がインフルになって自分も熱が出て遅くなりました…すみません。
やっと屋敷に着いた…。気持ちを切り替えよう…。
気候が良く、今日は天気もいいのでガーデンパーティー風にしている。
春の花が咲き乱れる庭には、複数のテーブルがあり、全て白いテーブルクロスと花とリボンで飾り付けしてある。その上には、カールが作った自慢の料理が並ぶ。
アナとベルとミラと魔術師長とエイブラム先生は、綺麗に飾られた一番大きな正方形のテーブルと花とリボンで華やかにした椅子に座って飲み物を飲んでいた。
「フローラは髪型を変えましょう」
馬車から降りると、お母様はそう言って今朝ウェディングドレスに着替えた部屋に私を連れて行く。
部屋に入るとお母様が言った。
「フローラ、お父様がごめんなさいね。お父様も色々複雑な気持ちなのよ」
まあ、そうだと思うけど。
「結局は、お父様以外の男性が私の一番になったことが寂しいのかしら?」
挙式前も、そんなこと言っていたし。
「そうね、フローラは本当にお父様以外の男性には警戒心が強かったから…。自分の愛娘が自分を一番に思ってくれてるのは純粋に嬉しかったと思うわ…。でも…」
でも?お母様は憂いを帯びた表情をする。
「お父様は、無意識でクリスが王の子である事が消化出来ないでいると思うの。 でも、クリスは私達の為に色々な物を捨て与え守ってくれた。そして、私達に何も求めなかった。フローラすらクリスは自分からは求めなかった…お父様も良く分かってる…」
「……」
「そして、フローラ。貴女も私達に求めた事はほとんどない。でも、貴女はクリスを求めた。他でもないフローラの心からの望み…。お父様とお母様は叶えてあげたいと思った。だから、それが叶って嬉しいのよ…それも本当なのだけど…」
「…お母様」
「お母様はフローラがそこまで求めた相手が、何も求めなかったクリスだったからこそ良かったと思っているの。あの子の事は良く知っているし、誰よりも幸せになって欲しかったから。あの子は全て捨ててしまった……私の為に。だから、もう何一つ捨てさせたくないの…」
お母様の気持ちは良く分かる。旦那様がそう出来た理由も…。だからこそ、何て言えばいいんだろう。
「お父様だって、お母様と同じ気持ちもあるのよ。でも、本当に少しだけ…クリスが私の弟であること…王子であることが、不安にさせていると思うの。禁忌であるという事じゃなく、今現在の王族の少なさに不安を感じているんだと思うの」
「現在の王族の少なさ…」
「今、王家にはお兄様である王と、その子供である王太子しか男子がいない。イライザさんがもし男子を産めず、フローラとクリスの間に男子が産まれたら…お父様は、それを必死で考えないようにしていると思うの。だから、フローラのクリスへの思いが間違いだったらいいのにと無意識に思っているのかもしれない。お父様はクリスに恩は感じているけど、一番大事なのはフローラだから…」
なるほど…。現在この国は男子しか王位を継承できない。旦那様は王子。
確かに、イライザ嬢が男子を産めず、私が男子を産めば…なかなか複雑なことになってしまうかもしれない…。
「良く分かったわ。結婚が決まってから、お父様がいつもと違うのは気づいていたけど…。まさか、そんな風に考えていたなんて…。私とイライザさんがとっても仲が良いのも、お父様を悩ませた原因かもしれないわ。でも、イライザさんが男子が産めなかったとしてもきっと王太子が法律を変えるわよ。それに、男子が産まれてくるかもしれないし、今悩んでもしょうがないわ。お父様もよく分かっているから無意識に違う問題にすり替えているのかもしれないわね」
「それが男嫌い、男性不信ね…。急にそんな話をするからビックリしたけれど…。でも、お父様も鈍感な所があるわね。結婚して一ヶ月しか経ってないのに、フローラがこんなに綺麗になったのはクリスに愛されてフローラが幸せだからに決まっているのに…男性嫌いの心配をするなんてね…うふふっ」
お…お母様…。
「お父様の言う通り、フローラの男性嫌いは今も治ってないかもしれない…お母様がぼんやりしていたせいで。でも、クリスは例外で特別な唯一なのでしょう? クリスだってフローラに愛されて幸せそうだわ、とても素敵になっているもの…」
お母様は最初は悲しそうに、最後は大輪の薔薇のように笑った。
やっぱり、男親と女親では見る視点が違うんだなぁ。
「お母様には敵わないわ…。そうね、今でも男性は苦手だわ。でも、運命の相手と結婚したんだもの。全く問題ないわ。むしろ、貞淑な妻で一生いられるのだから、男性嫌いで良かったと思ってる。だから、気にしないで」
私も笑って言った。
「フローラはお母様を許してくれるのね…ありがとう。フローラ、難しいと思っていた貴方達が結婚出来て、とても幸せになっているのだもの。これから何か大きな問題が起きても、絶対に皆で解決できるわ。次もきっと大丈夫よ」
お母様は聖母のような微笑みをした。
お母様を許すも許さないもないのだけど…ごめんなさいお母様…。
「ありがとうお母様。私、十分お母様に甘えて助けられてるのよ。お母様が選んでくれた、今日のウェディングドレスも素敵だし、私に一番似合うデザインだわ。 お母様の想いがとても感じられる…。お母様が私の母で良かった…お母様は私の誇りよ」
「フローラもお母様の誇りよ。クリスもそう。二人はもう素敵な夫婦になっているわ。なのにクリスは、お父様の気持ちを感じ取って、お父様の前では二人の寝室を別にしたり、フローラへの愛情を隠したりするのよね…。あの子は本当に優し過ぎるわ…でも、だからこそフローラはクリスを世界一愛しているのよね」
「…そうね、素晴らしく優しい旦那様で私は幸せよ」
照れながら言った私の頬を、お母様は愛おしそうに優しく撫でてくれた。
するとノックがなる。
「花嫁様のお支度をさせていただきたいのですが…」
メイクの方が来てくれた。お母様が扉を開ける。
メイクの方は素早く、ベールとアップにされていた髪を解き、下ろした髪に小さい花やパールを付けて綺麗に仕上げてくれた。
「フローラ、下した髪も素敵よ…皆が待ってるわ。庭に行きましょう」
◇◇◇◇◇◇◇
私とお母様がテーブルの席に着く。
正方形の大きなテーブルに、旦那様と私が並んで座り、私達の正面はお父様とお母様。旦那様が座っている側には魔術師長とエイブラム先生。私が座っている側にはアナとベルとミラが座っている。
このテーブルの他にも、色々なデザートが置いてある円卓と、飲み物が置いてある円卓、ちょっとしたオードブルが置いてある円卓などがある。
そして、手が空いている騎士の方や我が家で働いている人達や手伝いの方用にも食べてもらえるように少し離れた場所に、複数の円卓を置いてサンドイッチや簡単につまめる物が置いてある。
披露宴というには人数が少ないが、ガーデンパーティーなら丁度いい感じだろう。
私とお母様が席に着くと、皆のグラスにシャンパンが注がれる。
卒業した日と同じように、まず、旦那様が挨拶をする。
「皆様、本日は私達の為に遠方までご足労いただいて誠にありがとうございます。内輪だけの気軽な席ですので、どうぞ気楽に楽しんでいただければ幸いです」
そして、お父様が言う。
「本日は、お忙しい中、二人のためにお集まり頂きましてありがとうございます。ささやかながら用意致しましたお食事を楽しんでいただければと思っております。二人の末永い幸せと、皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたしまして……乾杯!!」
お父様の乾杯の挨拶で宴は始まった。
私はドレスを汚さないような物を選んで食べた。
いつも以上にカールの料理はおいしい。カールも今日は力を入れて準備してくれたんだろう。それに加えて、春の陽射しは優しく風も爽やかで気持ちがいい。
そして、今日の幸せな気持ちがより一層カールの料理を引き立てているのかもしれない。
一通り料理を堪能した後、私のすぐ隣にいたベルが言った。
「フローラ、皆でお庭のお花を見ない? 飲み物を持って」
「そうね、そうしましょう。少し、席を外しますね」
私はベルに返事をして、旦那様に声をかけた。旦那様は微笑んで頷いてくれた。
ベルとアナとミラと私は、飲み物を持って黄色いつる薔薇が見事に咲いている場所のベンチに行った。
「皆、今日は来てくれてありがとう、とっても嬉しいわ」
「私達こそ、呼んで貰って嬉しいわ。今日のフローラはビックリするくらい綺麗」
ミラが明るく微笑んで言う。
「本当に、卒業式のフローラも綺麗だったけど、それ以上に綺麗になっていて驚いたわ」
アナが感心したように言ってくれる。
「恋する乙女は綺麗だと言うけれど……今のフローラはそれ以上なんでしょうね~いいなぁ~」
ベルが、からかうように言う。
「本当にそうね、女の私が見てもドキッとするくらい綺麗」「急に大人の女性になった感じ」
アナとミラも続ける。恥ずかしい。
「もう、からかわないで」
私がそういうと、ミラが言う。
「からかってなんかないわよ、本当よ。すごく綺麗…。なんか不思議…フローラが結婚なんて…」「そうね…フローラが学園長に恋をしてくれて良かった」「本当にそう。心配だったもの」
ミラの後に、アナとベルが続けた。
まあ、確かに男性には全く興味を示さなかったからなぁ…。
そのことの方が「聖女の魔法」からの「ラブレター攻撃」よりも、皆には色々心配をかけたみたいだ。
結果的に、皆が安心できる相手と恋愛結婚が出来て良かった。
「やっぱり、親友の幸せな姿って嬉しいわ」「学園長もフローラを大事にしてくれてるみたいだし」「なんか、学園長も前より素敵になってるし、二人は幸せなのね…良かった」
アナとミラとベルが本当に嬉しそうに言ってくれる…やっぱり私の親友は優しいなぁ…。
「ありがとう、三人にそう言って貰えて、私も本当に幸せよ」
本当に本当に幸せだ。そう思っていると、ベルが真剣な顔で言った。
「…ねぇ、フローラ…。王太后とお母様とフローラは良く似てるわね…」
ベルは公爵家の娘で、私はベルの家に遊びに行ったこともある。
公爵は私が王女に似ていると気づいていて、だからこそ、私の心配をし自分の息子との婚約まで考えてくれたのかもしれない。それにベルも気づいたのか…。
さらにベル達は私の家に泊まりに来ていて、私とお母様がそっくりなのは前から知っている。
「そうね…」
私がそれだけ言うと、少しの間、沈黙が広がった。
「フローラ。今日、私達が覚えてる事は貴女の素敵な花嫁姿と、学園長の幸せな姿だけよ」
ミラが沈黙を破った。
「そうね。今日、私達を呼んでくれた事…その意味を忘れないわ」
ベルが微笑んで言う。
「フローラは私達の大切な友達で、フローラもそう思ってるって今日とても良く分かったわ」
アナも穏やかな笑みで言った。
皆には事前に「聖女の魔法」を使える私が、離宮で静養中の王女を治せるかもしれないと会いに行ったこと。
そこで、偶然にも王女と私が似ている事で、王太后を今日の結婚式に呼ぶことになったとは言っていた。
でも、彼女達は真実に気づいたんだろう。だからこそ、軽口でも今日の事は口外しないから安心してくれと言いたいのだろう。
本当に私の親友達は、可愛くて優しくて賢くて思いやりがある。
ハッキリと真実を言えない私を分かってくれている。
「アナとベルとミラは、結婚式に呼んでもいいと言われたの。お父様もお母様も皆が素晴らしい私の大事な親友だって分かっているから。そして、それは間違いなかったわ。皆、ありがとう」
「どういたしまして」「そう思って貰えて嬉しい」「こちらこそありがとう」
ベルとミラとアナが言う。私は改めて親友達の優しさに感謝していた。
「でも、学園長先生は幸せね。私達に向ける笑顔の何倍もいい笑顔をフローラから貰えて」
「本当ね。しかも、フローラは学園長先生以外にはその笑顔をしないもの…特に男性には絶対に」
「少し前まで、フローラの笑顔は私達が独占していたのにね。ちょっと焼けるわ」
アナとベルとミラが先程の沈黙を忘れさせるように明るく言った。
私も彼女達の思いやりに笑って答えた。
「そういえばベル、ラストダンスをソルさんと踊っていたわね? 進展ある?」
「進展? そうねえ…あるように頑張ろうと思ってる所~」
「私達も協力しなきゃね」
いつものようにミラがベルに聞いて、ベル、アナもいつものように言う。学生の時と何の変りもないやりとりだ。
今は卒業して一か月しか経ってないけれど、私達4人は、これからもすぐに学生の時のようになれるんだろうな…本当に3人に出会えて良かった。
それから、ずっと私達は学生の時と変わらず楽しくおしゃべりをした。
◇◇◇◇◇◇◇
私達は、おしゃべりをしながらデザートや飲み物を楽しんでいた頃、旦那様はエイブラム先生と魔術師長とお話していたみたいだ。
「そろそろ、離宮から迎えが来るころかもしれないわね」
アナが言う。もうそんな時間なのか…。
「次の結婚式は、アナかしら? ミラかしら?」
ベルが言うとアナとミラが答える。
「私は魔法剣士として、しばらく働くことになるから結婚は少し先かも」
「うーん、私は来年の春くらいじゃないかな~」
二人がそう言うとベルが言う。
「私も20歳までには婚約したいなぁ…」
「じゃあ、私達が応援しないと」「そうね」「作戦会議は我が家でしましょう」
ミラとアナと私が続いて言った。
「さすが、私の親友たち。頼りにしてるからね♪」
ベルが明るく言って皆で笑った。楽しい時間はあっという間だ。
◇◇◇◇◇◇◇
最初に、アナとミラとベルが離宮の馬車に乗って帰って行った。
3人を見送っていると、エイブラム先生が言う。
「フローラ、今日はおめでとう。俺から言える事は…まあ、頑張れ。お前なら大丈夫だろう。あと、お前は宮廷魔術省にお世話になるんだろう? 魔術師長に挨拶しておけよ。じゃあな」
そう言うと、お父様とお母様に挨拶をして馬車に乗り込んだ。
エイブラム先生は常にマイペースでブレないなぁ…。旦那様を一番理解しているからこそ、私への言葉は簡潔にしてくれているんだろう。先生なりの思いやりで。
それに、先生の言う通り魔術師長には改めて挨拶をしておかないと。
魔術師長は、旦那様と一緒に庭の方にいた。
「魔術師長、今日は本当に来ていただいてありがとうございます。これから魔術省でお世話になりますが宜しくお願いします」
私が2人に近寄りそう言うと、魔術師長は微笑んで言った。
「先程、クリストファーからも宜しく頼むと言われたばかりだ。フローラ嬢の事は私が任されているから安心して欲しい」
「ありがとうございます」
私がお礼を言うと、旦那様が言った。
「ワイアット先生、今日は本当に良く来て下さいました」
「私こそ、呼んでもらって本当に嬉しかった」
「先生は、私にとって素晴らしい師であり…父のような存在です。ですので、今日の姿を誰よりも見て欲しかった」
「……」
魔術師長は何も言わず微笑んだ。その微笑みは彼らの長い歴史を現したようで言葉に出来ない表情だ。
旦那様の父と母はいない。でも、尊敬する師が父親のように彼を守って導いてくれたんだろう。
魔術師長が今日ここに来てくれた事…彼は本当に嬉しいだろう。
私だって本当に嬉しい。こうして近くで見ると、魔術師長の優しい眼差しと深い青の瞳の色は、旦那様によく似ていると気づいた。
そう思っていると、魔術師長が私を見て言った。
「フローラ嬢、貴女のおかげでクリストファーの人生は明るく温かい物になるだろう。貴女以外には出来ない事だ。本当にありがとう」
そう言って、魔術師長は私に頭を下げた。
「頭を上げてください…。それにしても、魔術師長は本当にお父様のようですね。お二人の瞳の色は同じだから余計にそう思います」
私がそう言うと、魔術師長は頭を上げ、一瞬だけ驚いたような顔で私を見た…そして、微笑んだ。
「…そうですな。私とクリストファーの目の色は同じだ。だからこそ、クリストファーの父になり守りたいと思った日がありました…」
そう言うと、魔術師長はとても優しい目で旦那様を見た。
「クリストファー。お前の名前は初めに王女がクリスと名付け、その後に私がクリストファーはどうかとお前の母上に言った。私の尊敬する師の名前だと言ったら母上は喜んでくれた。私は王家の魔法医師として、お前の母上を治療していたのだが救えなかった…だが、今日のお前の姿を…幸せな様子をあちらに逝った時、お前の母上に報告できる事が何よりも嬉しい」
そう言うと、魔術師長は彼を抱きしめた。
「幸せになれ、クリストファー。お前の母上と私の分も…。母上も私も結婚という幸せは望めなかった。だからこそ、お前は私達の分も幸せになって欲しい…」
「…ありがとうございます」
「クリストファー、お前の母上は、お前を産んで良かったと思っているはずだ。 なぜなら、お前の黒の様な青い目が彼女の魂を救ったのだから…」
魔術師長はそう言うと、彼を抱きしめながら背中をポンポンと叩いた。
彼を離すと、魔術師長は私を見て言った。
「今日ここに来た全ての人は、二人の幸せを心から祈り祝福している。長い人生、色々あるかもしれないが今日の日を忘れずにいれば乗り越えられると思う。クリストファー、お前はフローラ嬢と未来の子供を守り通して幸せになれ。お前なら出来る」
最後に魔術師長は彼を見て彼の肩を叩いた。
そして馬車の前で皆を見送っていた、お父様とお母様の所へ向かった。
魔術師長の旦那様への想いは私が思っていたよりも大きいのかもしれない…。
「フローラさん、私達もお見送りに行きましょう」
魔術師長の背中を見つめてる場合じゃなかった。
私達も馬車の方に向かう。
魔術師長がお父様とお母様に挨拶をしていた。
「今日は、素晴らしい結婚式と、皆さんの幸せな姿を見られた事、生涯の思い出となりました」
「こちらこそありがとうございます。クリストファーをご指導して下さったそうで。娘もこれからお世話になりますが宜しくお願いいたします」
「魔術師長…両親のいないクリスをこれまで見守って下さいましてありがとうございます。これからは私達も、クリストファーを見守り娘と共に幸せな家族になります。安心して下さいね」
「そうですな。クリストファーに家族を与えて下さってありがとうございます」
卒業式と同じ泣きそうな笑顔を魔術師長はして馬車に乗り込んだ…。
お父様とお母様と旦那様と私で、エイブラム先生と魔術師長を見送った。
魔術師長は旦那様に相応しい場所と、そして…なにより家族を与えたかったのかもしれない。
だから、先王に王子と認めさせようと孤軍奮闘し、それが無理だと分かると自分の養子にしようと思ったのか…なんて深い愛情なんだろう…。
私は旦那様の顔を見た。
魔術師長と同じ色の瞳は潤んでいた…。
読んでいただいてありがとうございます。
次回は旦那様の想いも書いています。ただ、体調が悪くなったら遅れるかも
しれません…。




