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王宮の青い薔薇の娘って? 2

イライザ嬢が言うには、ここは日本で流行った「王宮の青い薔薇の娘」という乙女ゲームと同じ世界らしい。


なんと、私フローラ・ベフトンは、その世界のヒロインらしい。

そして、イライザ嬢は悪役令嬢でヒロインの敵という事だった。


攻略対象は5人、それと隠しキャラが1人の計6人。


そのメンバーが同じクラスの


・王太子 ・イライザ嬢の双子の兄(宰相の息子)  

・辺境伯の息子 ・平民だが魔術の天才 ・将軍の息子だという。


この5人の好感度が低いままだと、バッドエンドが発生する。


そのバッドエンドと言うのが、隠しキャラがヒロインを凌辱監禁するエンドだという…。


確かに私は、攻略対象の5人と交流は持ったことがないし、好感度なんて無いに等しいだろう。

でも…だからって、そんな結末になるの??


イライザ嬢は、隠しキャラルートをプレイする前に亡くなったらしい。

友達の情報でノーマルエンドかと思ったらバッドエンドだった。

しかも凌辱監禁ルート!!という話は聞いていたそうだ。


友達の話だと「聖女の魔法」と「ヒロインの出生の秘密」が、大勢の人にバレて、ヒロインを守るために凌辱監禁ルートになるらしい…。

これ以上のネタバレは聞きたくないと話を止めたので、隠しキャラが誰かは分からないそうだ…。


「私の出生の秘密って何なんですか?」


正直、それが一番気になる。


「貴女のお母様は、王の妹なのよ」


「え!!」


「貴女のお母様は、エリー・ベフトンでしょ。本当はエレアノーラ王女。本来、銀色の髪に深い青の瞳。高貴な身分であるほど瞳は青くなり魔力も強い。さらに銀色の髪は王家の方の特徴だから、いつもは魔法で黒くしている。目元に泣きぼくろがありますよね? そして社交場には全く出ない」


確かに、母の名前と容姿を言い当てている(本来銀髪は初耳)。

社交場に全く出てこない田舎貴族の母の事を、王都にいるイライザ嬢が…。


「…お母様が王女…って。…タイトルの「王宮の青い薔薇」ってお母様の事…?」


お母様の瞳は深い青で綺麗だし、髪は黒だけど…。今も娘がいるとは思えないほどの美貌だし気品がある。青い薔薇というあだ名も母ならおかしくない。


何で王女様が、辺鄙(へんぴ)な田舎の男爵と結婚なんて…まあ、お父様も美しいし、優しいし、有能だけど、身分違い過ぎない?

あ!!だから、王女ってことを隠して名前も変えているのか…髪の色まで変えて…。

髪の色は本当に気づかなかった…。


「そう。ゲームを知らないなら、信じられないと思うけど、お母様に聞いてみたら分かると思うし」


荒唐無稽(こうとうむけい)な話のようだが、イライザ嬢の話を聞いてストンと腑に落ちたところがある。


ずっと領地にいた時は分からなかったが、平民出身のはずのお母様の瞳があんなに深い青なのは珍しい事なのだ。

しかも領地にいる時は、母が私に魔法を教えてくれていたが平民の母の教育だけで、私が今この学園でトップの成績だというのも不思議だ。


でも、母の正体が王女というなら、深い青の瞳も、高い魔力と高度な魔法の知識があるのも納得だ。

母方の親戚が一人もいないことも、母が過去を話そうとしないのも…。


過去に嫌な思い出があるのかと思っていたが、王女である事実を娘の私にも知られる訳にはいかなかったから…なのか…。


イライザ嬢が前世日本人だというのは「めんこい」を理解しているのだから間違いない。

母の情報も、本来知るはずのない彼女が言い当てているのは理解できた。


その理由が、イライザ嬢が前世でプレイしたゲームだというのか…。


私は、地球以外の異世界に生まれ変わったと思ってたのに、乙女ゲームの世界??

しかもヒロインで、知らないうちにバッドエンドに向かっている…。


昔の漫画で、前世が所謂(いわゆる)宇宙人の人達が地球人に生まれ変わる話があった。

私は、この漫画の逆バージョンだと思っていた。

でもこの状況は、同じく漫画で、有名な本の中に召喚されるという感じに近いのかな?


確かに、世界観はヨーロッパなのに、学校の入学式が4月とか、卒業が3月とか、

早生まれとか…所々日本式なのは作ったのが日本人だからか…。


そんなことを思っていると、イライザ嬢は言う。


「私も、悪役令嬢なんかに転生しちゃったから、色々努力して私にとってのバッドエンドは回避してたの。でも、貴女せっかくヒロインなのにバッドエンド一直線だから…私のせいでシナリオが変わったのかな? だから、貴女も混乱しているのかな? 何か考えがあるのかな? と、思って。まさかゲームを知らないなんて思わなかったから…」


「私、死んだ時、子持ちの40歳だったんで、乙女ゲームはやったことが無くて…」


「あっ、そうなんですか…私てっきり同じくらいの方かと…」


イライザ嬢は急に敬語になった。

彼女は、17歳で亡くなったらしい。ウチの娘(14歳)とあまり変わらないが、娘もゲームより漫画や小説派だったからなぁ…。


「一体どうしたら…」


途方に暮れていると「まだやり直せますよ!!」と、イライザ嬢が言う。






…本当に??


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