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王宮の青い薔薇のむすめ  作者: 青空那奈
本編

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16/68

王宮の青い薔薇の娘とそれぞれの最善 5

ある日の放課後、お気に入りのカフェに私達4人は行った。


「フローラへのラブレターが増えたのは、最終学年だからかしらね?」


ミラが言う。


「そうねぇ、それもあると思うけど「聖女の魔法」をフローラが発動したから身分の差を気にして秘めた恋だった方々が動き出したんじゃない?」


と、アナが言う。


「理由としては二つともあると思うけど、背後に親の思惑もあるんじゃないかしら?」


真面目な顔でベルが言うと「えっ?」と、アナとミラが言う。


「実はね、私の父もフローラを弟の婚約者にどうだろうか?って言ってるの」


「「「えーっ!!」」」


これには、アナとベルだけじゃなく私も叫んだ。


「落ち着いて…。元々両親には、アナやミラやフローラの事を話していたのよ。特にフローラは勉強も魔法もトップだし、両親は感心していたわ。それに、皆は家に何度か来てたでしょ? その時、皆素敵な友達ねって言ってて、弟にどうかと思っていたらしいの」


そして、ちょっと言いにくそうにベルは続ける。


「でも、フローラは男爵家の一人娘でしょ? 弟は嫡男(ちゃくなん)だし無理かなって言っていたんだけど「聖女の魔法」を使えるのなら、逆に我が家がフローラには相応しいんじゃないかって…」


気を使ってベルは言ってくれているが、一人娘は関係なく、単純に公爵家の嫡男が男爵家の娘と結婚するなんて身分違い過ぎる。


「誤解しないでね!!フローラが「聖女の魔法」を使えるから、公爵家の奥方に相応しいという意味じゃないのよ。「聖女の魔法」を使えるフローラには、我が家が相応しいって事よ」


ベルが慌てて言う。


「水面下でね…フローラ争奪戦があるらしいの」


「「えっ!!」」


ベルの発言に今度は私以外の二人が叫ぶ。

なるほど…そういう事か。


「やっぱり「聖女の魔法」発動したフローラの事は、宮廷で働く貴族にはもう有名らしいの。優秀で見た目も(うるわ)しいって事もよ。しかも、男爵家の娘って事も逆に高い身分の野心家にとっては都合がいいみたいで…」


言いよどむベル。


「ベルのお父様は、私を単純に心配されてるって事ね」


と、私が後を引き取った。

王は私が王女の娘だと知っているし、魔法の事も知っている。

だから、私は王太子とも望めば結婚できるが、今の所、王女の娘という事は公にはバレてはいない。


男爵家の娘が、自分より遥かに高い身分の家から縁談を持ち込まれたら、断ることはほぼ出来ない。


「そういうこと…。ベルもそうだけど、ベルのご両親は高い身分を誇示したり他者の身分を気になさらないし、昔から王家への忠義は強いし、野心家とは程遠い高潔な「お家柄」ですものね」


ミラが納得したように言う。


「フローラの事が密かに好きで「聖女の魔法」で身分の垣根がなくなったから……なら良いけど「聖女の魔法」だけでフローラを手に入れようとしてる人がいるって事?  ……それなら、フローラの事を初めから好意的に見てくれてた公爵家ならフローラを政治の道具にはしないし、他への牽制(けんせい)になるわね」


アナもベルの言いたいことが分かったようだった。


「そういう事なの。身分的にもフローラを守れる立場にあるしね。ただ、弟は皆も知っているけど13歳だし…」


ベルがため息交じりに言う。


「そもそも、ベルの弟君(おとうとぎみ)に4つも年上の私は可哀そうよね~」


「「「ええっ!!」」」


今度は私以外の3人が叫んだ。


「嘘でしょ? 気づいてなかったの?」


「私だって気づいたのに」


「私は、フローラ的にダメじゃないかって意味で言ったんだけど…」


ミラとアナとベルが順番に言った。

キョトンとしているとベルが言う。


「……皆が家に来ると、弟が顔を出すでしょ? まあ、すぐ追い出すけど。あの子フローラが好きなのよ…フローラ以外は気づくくらい分かりやすく…」


ベルが複雑な顔で言う。


「フローラが鈍いのは知っていたけど、一番好意をあからさまに出していたのに気付かないなら、他の人の好意にも気づいてないわよね…」


ミラが言う。


「さっき私が言った、身分の垣根が無くなったから告白した方も、ラブレターくれた人の中にはいたわよ? 結局はベルの所だってそうだし…」


アナが言う。


「え!!」


一人で叫ぶと、3人はため息をついた。


「弟の好意に気付かないんじゃ、分からないわよね…そして、弟に興味が無いのは痛いほど分かったわ…でも、真剣に考えてみて欲しいのよ。弟との縁談は我が家にとっても私にとっても嬉しいし、フローラにとっても一番健全な申込みだと思うのよ…虫よけにもなるし充分な盾になれるわ」


真剣な顔でベルが言った。

確かに、親友のベルが義姉になるのは単純に嬉しいし、公爵家のご両親も素晴らしい方だし、身分的にもベルの家に勝る貴族はほぼない。弟君は普通に可愛らしく私も好感を持っている…でも、娘より年下の10歳の頃から知っているだけに…異性としては…。

とてもありがたい申し出なんだけども…うーん。


「…ベル、ありがとう」


現時点ではお礼しか言えなかった。


その後、アナとベルとミラが、私に好意を抱いていた人たちのエピソードを言ってくれた。

4人でいた時、果敢(かかん)に声をかけてくれた男子達の事を。

3人が言うには、そのほとんどがフローラに好意を持っていたが、フローラがあっさりと拒否(記憶にない)するため玉砕(ぎょくさい)


そして、あの魔術の天才で美貌のソルさえ3回も断ったことで、3人はフローラは男嫌いかも…好意を持つ男子には難攻不落…という空気が出来たらしい。


「そんなフローラも、好意丸出しの弟に優しかったから…ちょっとは可能性あるかな?って少しよ?思ってたんだけどね…」


「今回、ラブレターをくれた方の中にも、純粋にフローラに好意を寄せていた人もいるけど、ご家族はフローラを道具に利用しようと思ってるかもしれないしね…」


アナが言う。


「……現時点では、ベルの申し出が一番フローラにとって良いと思うんだけど……フローラって男性に興味ないって思ってたけど…実は年上好き?」


ミラが言う。それと同時に3人が私を見つめる。


「実は私も最近そう思ってた…」「私も…」


ベルとアナが言う。

まあ、娘と同い年・年下は恋愛対象には思えないのはその通りだけど…。


「正直、同級生や年下は難しいかも…でも、どうしてそう思ったの?」


3人は顔を見合わせる。


「だって…ねぇ…」「そうよね…」「フローラは鈍感すぎる…」


口々に言うと、三人同時に言った。


「「「せーの、学園長先生!!」」」


!!どうしてその名前が、何も知らない3人からでるの?


「え? 何が…?」


驚いて言う私を、生暖かい目で見る3人。


「フローラが学園長先生を見る目って、私達といる時と同じか、それ以上の良い笑顔してるの気づいてない?」


「そうそう、それにフローラが気づかなくても、私達が気づかないわけ無いじゃない~」


「学園長先生も、いつもの笑顔より素敵な笑顔をフローラに見せてる気がするし~」


ベル・アナ・ミラが順にいう。

私が学園長室に忘れた筆記用具を、学園長が私に届けてくれた時の事を言っているようだ。


「なんか、良い雰囲気だったのよね~」


3人は同じ感想を持ったようだ。


「そりゃ、一対一で授業を受けているし、他の先生よりは仲良く見えるよ。学園長だって生徒として一番私と接点があるだけで…」


「「「え~」」」


冷やかすような声を3人は出す。


「知らぬは本人ばかりなりね」


ミラが言う。


「でも、学園長先生ならフローラにとって良いかもしれないわ」


アナが言う。


「……そうね。 学園長先生は一代貴族の伯爵だし、領地持ちの男爵家で一人娘のフローラとの結婚は双方に利があるわね。学園長という政治的権力とは関係のないお立場だし…」


公爵の娘らしい考えを言うベル。

確かにベルの言う通りだ。


一代貴族はその名の通り一代のみなので、子供は世襲(せしゅう)できない。

だからこそ、私と結婚したら子供は男爵家を世襲できる。


そして、学園長という職は醜い権力争いとは無縁だ。


「それに、学園長先生は「聖女の魔法」の第一人者だし、お互い憎からず思ってるみたいだし…ベルの次に良い縁談じゃない?」


アナがそう言う。


「そうね。弟と学園長先生だったら勝ち目はなさそうだし、我が家以外なら一番良いお相手なのかも…」


ベルも(うなず)く。


「ちょっと待ってよ。学園長は、そんな目で私を見てないと思うわよ」


今の所、先生としての好意以外は感じてないんだけど。

私がそう言うと、3人はあきれた様な顔をする。


「そりゃ、学園長先生ともあろう方が、生徒に対してあからさまな好意は向けないわよ~私達だから気づいただけだし、フローラが気づくわけないわ」


ミラが自信満々に言う。


「ミラの言う通り、学園長先生のフローラへの好意は私達だけが気づいてると思う」「そうそう」


アナとベルが続く。


「正直、フローラを我が家で守りたいし、弟の初恋も叶えたいけど、学園長先生なら安心だわ」


「そうね」「ベルの家に嫁いでくれたら、結婚後も遠慮しないで遊びに行けるけど、フローラと学園長先生お似合いだしね」


ベル、アナ、ミラが言う。


「…とりあえず、皆、からかいと心配をしてくれてありがとう♪」


私は、苦笑いで言った。

分かってる、3人はからかっているわけじゃなく私の今後の心配をして真剣に考えてくれているだけだ。


今だってラブレター攻撃から私を守ってくれているのだから。

ただ、そんな3人が口をそろえて学園長と私は好意を寄せ合ってると思っている。


ゲームの内容を全く知らず、今の私しか知らない親友たちの言葉。






私は動揺していた…。


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