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王宮の青い薔薇の娘  動く 5

夜が明けた。


今日はとうとう、王宮に行く日だ。

制服を着て、いつも通りオールバックスタイルの一本の三つ編みにする。


顔だちはお母様に似ているけど、印象は格段に地味だし違うだろう。

どっちに転ぶかは分からないが、世の中なるようにしかならない。


朝食を取りに食堂に向かう。

アナとミラを見つけ、一緒に食事をする。


「フローラ、今日は王宮に行くの? 体調は大丈夫?」


アナが体調を気遣って心配そうに言う。

アナも自分のせいで…という気持ちがあるのかもしれない。


「うん、王宮って行ってみたかったから楽しみ。体調も大丈夫だよ~」


明るく言った。


「王宮の感想聞かせてね」


ミラが言う。


「うん、期待して待ってて」


そういって、ミラとアナと別れた。

私は朝食を取ったら部屋に待機と言われていたので部屋に戻る。


ノックがなる。


「準備は、よろしいですか? フローラさん」


「はい、大丈夫です」


そういって扉を開けると、学園長のクリストファー先生と、魔法学科主任のエイブラム先生がいた。


「私達二人が貴女と共に王宮に行くことになりました」


クリストファー学園長は穏やかに微笑んで言う。

学園長とエイブラム先生は30歳過ぎたくらいの歳で、同級生だったらしい。


でも、黒い髪で青い目の精悍(せいかん)な顔立ちのエイブラム先生は年齢通りに見えるが、プラチナブロンドで深すぎる青い目の王子様っぽいルックスの学園長は25歳くらいに見える。


「今日は、よろしくお願いします」


私がそう挨拶すると、私達は校門の前に待っている王宮からの馬車に向かって歩き出した。


王宮の立派な馬車に、学園長とエイブラム先生が隣同士で座り、学園長の正面に私が座る形になった。


「フローラ、体調はもういいのか?」


「大丈夫です、ありがとうございますエイブラム先生」


「そうか」


「フローラさん、初めに王に謁見してから宮廷魔術師長にお会いしますので」


学園長がニッコリ微笑む。


「はい、わかりました」


そう返事をして、ため息をついた。


「緊張していますか? 私とエイブラムが付いてフォローはしますので安心して下さい」


二人がフォロー出来る問題だけが起きてくれたらいいけど…。


「ありがとうございます、よろしくお願いします」


その後、学園長が緊張を解す為なのか、学園生活の事や友達の事や勉強や魔法の事を聞いてくれた。

そんなことを話していると、とうとう王宮に着いた。


立派な門を通って、馬車を降り、王宮の大きさと白と青と金のバランスがいい美しい建物に圧倒されそうだった。

日本のお城とは全く違うな~世界遺産のアランフェス王宮っぽいな~と、ぼんやり思いながら控えの間に通される。


謁見の間に入る前の注意事項を説明される。

ふぅ…とうとうだなぁ。


「学園長である私が挨拶をして、エイブラム先生が挨拶をして、その次がフローラさんになりますから」


学園長が私の肩を叩いて、緊張するなという表情で言う。


「はい、わかりました」


学園長と、エイブラム先生もお互い「よし頑張るぞ」みたいな表情を見せて無言で頷いている。


「謁見の間にご案内いたします、どうぞ」


という、騎士?っぽい二人がやってきた。

騎士を先頭に、学園長、エイブラム先生、私という順で付いて行く。


大きく豪華な扉を、両脇に待機していた騎士?が開く。

両脇にはアーチ形の窓がたくさん並び、高い天井には豪華なシャンデリアが何個もある。床は大理石、中央には道の様な赤いカーペット。

一番奥の中央には一段高い場所になっていて豪奢(ごうしゃ)な椅子があった。


その場所の近くまで行くと、前に学園長とエイブラム先生、少し後ろで二人の間に私。逆三角形の様な形で片膝をついて顔を伏せて待つように言われた。


「陛下が参られます」


イライザ嬢の父上かな、宰相っぽい人が言うと人が入ってくる気配がして、椅子に座った。


「先日は大儀であったな、顔を上げよ」


ゴクリ。唾を飲み込んで顔を上げる。王をまともに見ることが出来ない。


「陛下におかれましては、ご機嫌麗しく恐悦至極でございます。本日は先日の「聖女の盾」のご報告に参りました。王立学園学園長クリストファー・メイヤーでございます」


「同じく、王立学園魔法学科主任エイブラム・オンドリィでございます」


「同じく、王立学園魔法学科3学年のフローラ・ベフトンでございます 」


「うむ、フローラ、もう少し顔を上げよ」


くぅ…。さてどうなるか。

私は、顔を上げ直し王を見る。


「…そなたは、ベフトン男爵の令嬢だそうだな」


「…はい」


「領地はタラッタアグロスだったか?」


「はい、その通りでございます」


離宮に近いってバレてるか…。


「…母上…と…父上は健勝か」


あらあら、母上を最初にしちゃってる。


「はい、両親共につつがなく暮らしております」


「…そうか」


王は優しい笑みを浮かべる。こりゃバレてるね。

直視できないけど、宰相っぽい人の視線もイタい。すごい見られてる。


「今日は3人とも「聖女の盾」の件、しっかりと報告するように。以上だ」


「「はっ」」


学園長とエイブラム先生が返事をする。

それを聞いて、王は退出した。






バレバレかな…。


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