はじまり
この世界の名はエンティアス。
春、夏、秋、冬と当たり前に四季があるが、16月と1年の年月は長い。
そして空を見上げると、決して交わることの無い月が二つある。
その世界の中で国々が出来、それぞれの国は栄えていた。
そして、数ある国の中で、ラバーナ帝国の領土の辺境に、人が住むには向いていない山がある。
だが、その山で生活をしている者がいた。
1人は背がやや高いが、顔立ちはまだ幼さが残る少年が。もう1人は───
「じいちゃん……………」
「……なぁに、暫く眠るだけだ」
「……………だけど……………」
「前々から言っていただろ? それに、次に目覚めた時はお前の子供、あるいは孫の顔を見るまでには目覚めてやるから、心配するな、ユキト」
「うん、分かった! ボクもじいちゃんが目覚めても寂しくないように、家族を作っておくから、楽しみにしてて!」
「あぁ、そうしてくれ。では…………な…………お休…………み…………」
そして、じいちゃんは永い眠りに付いてしまった。
じいちゃんはあんな事を言っていたけど、実際はどれくらい掛かるのだろうか。
じいちゃんに掛けられた呪い。永遠の眠り。
じいちゃんは膨大な魔力のお陰で、ボクが生まれてから15年経った今日まで、その魔力で呪いを防いで解呪をしていたらしいのだが、中々困難を極め、魔力が尽きようとしているらしく、今度は眠って、じっくりと内側から解呪をすると言っていたのだ。
そんなじいちゃんが言っていた。
『私が眠っている間、暇だろうから、外の世界を見てきたら?』と。
そしてボク、ユキト、15歳。じいちゃんがボクの髪がキレイで真っ白だからって付けてくれた名前。
ボクは初めて、大切な友達と慣れ親しんだ山を下りた。
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