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使い魔は白猫

ゼラスと嘆きの洞窟にキングスライムを討伐しにきてた途中、おれは不注意で穴に落ちてしまうが、そこには夢で見た光景と同じ光景が広がっていた。


おれは戸惑う。今は夢と違ってゼラスがいるから上に登ることができる。だが、夢でみたのと同じ門が目の前に現れるなんて不思議現象、おれの好奇心が抑えられるわけがなかった。そして次の瞬間、おれはゼラスに声をかけていた。


「ごめん!ちょっとこっちに不思議な場所があるから、少しだけ見てきていいかな?ゼラスはそこでゆっくりしてて!」


ゼラスはおれの言葉に少し困惑しているようだったが、おれはゼラスの返事も待たずにこれまでの疲れも忘れてその扉に向かって走り出していた。


辿り着いた場所は、まさに夢と同じ場所で、大きな空間が地中の中に広がっているのはとても不思議な光景だった。そして、そこにはやはり夢と同じような扉が待ち構えていた。ただ、少しだけ違うのが、何かこの扉から呼ばれているかのような感覚がある、という点だろうか。実際に声がするわけではないんだが、なんだか、呼ばれている気がするのだ。


おれは扉に近づくと、やはりそこには扉を引くための輪っかが付いていた。夢では気がつかなかったが、その扉には荘厳華麗な模様が施されており、ただの扉ではないことが見てわかった。


「うーん、やっぱりやめといた方がいいかな。」


おれは扉の豪華さに気圧されて、中から出てくるものを想像してしまうとここに来て扉を開くことに対して優柔不断になってしまう。取手に手を伸ばしたり、やめてみたり、を何度か繰り返していた。


「あぁ、だめだ!せっかくここまできたんだ!開けよう!」


おれは一思いにその取手に手をかけ、そして扉を引くと、夢と同じようにおれの左手の傷跡が反応しながら、青白い光が扉から溢れ出る。その眩しさに、思わず目を閉じる。


ま、まさか2度目の夢落ち!?とか思ったがどうやらそんなことはなかったようだ。


「え、あれ?」


扉を開けるとそこには、白い部屋の中に同じく白を基調にしたベッドやらクローゼットやら、生活用品が並んでいる。どこからお湯を引っ張ってきて、どこに排水するのか謎だが、なんと、お風呂まである。そして、そんな場所に似つかわしくない生き物が、おれがくるのを待っていたかのようにちょこんと座ってこちらを見つめていた。


「え!?猫!?」


そう、猫である。それも、目が真っ青で、真っ白な猫。おれが猫を見つめ、キョトンとしていると、さらに驚きのことが起きる。


「我輩は猫である。名前は、まだにゃい。」


「え!?夏目漱石!?」


おれのツッコミはどうやら猫の期待にそぐわなかったらしい。


「そっちか!」


おれは言われて気がつき、ツッコミなおす。


「猫が喋ってる!?」


どうやら納得したらしい、うんうん、と頷いていた。


「私は猫の形をした使い魔にゃ。」


どうやら、ただの猫では無いらしい。


「使い魔ってことは、、ご主人様がいるつてこと?」


猫は前脚で顔を洗っている。明日は雨か?


「そう、私はマスターのディーナ様の魔力で造られたにゃ。マスターが戻ってくるのをずっとここで待ってるにゃ。」


おれは聞き覚えのある名前を聞いて驚く。


「え!?ディーナ様って、もしかしてあの真っ白い髪と服着てる赤い目をした幼女体型のお婆ちゃん?」


「そうにゃ。ところでキミ、そんなこと言うとマスターにぶっ飛ばされるにゃ。」


前ディーナに同じようなことを言った時に強がっていたが、結構気にしているのかもしれない。おれは話を元に戻す。


「それにしても、ずっとここでディーナのこと待ってるの?」


猫はなんてことはない、という様子だった。


「うん、だってマスターを待つのは使い魔の務めにゃ。」


こいつ、猫なのにとてもしっかりしてる、と思ったら勘違いだったらしい。


「それに、この場所から離れたら私消滅するにゃ。ここはマスターが生活してたからいろんな物にマスターの魔素が溜まってて、それを糧に生きていけるけど、外に出たらマスターの魔素がないから生きていけないにゃ。」


なるほど、待ちたくて待ってるわけではなくて、動けないからまたざるを得ない、と言ったところか。


「そっか、君も大変なんだね。おれ、ディーナから強くなって迎えに来いって言われてるから、もしディーナに会ったら君が待ってるって伝えておくね。」


「にゃに言ってるにゃ?キミは私を連れていくにゃ。そのために、わざわざ残り少ない魔素を使ってここに案内したにゃ。」


おれはイマイチ言ってる意味がわからなかった。


「え?だってディーナの魔素がないとだめなんでしょ?それに、わざわざ案内したって、どういうこと?」


すると得意げに猫は澄ました顔をする。


「キミ、ディーナ様に力分けてもらってるにゃ?洞窟に近づいてきた時わかったにゃ。だから、わざわざ夢まで見せて、穴を作ってここに連れ込んだにゃ。」


「ってことは、あのコウモリ見たいなのと戦ってる時落ちた穴は、」


「そう、私が最後の力を振り絞って穴を開けたにゃ。」


こんにゃろー!打ち所が悪かったら死んでたかもしれないぞ、あの高さ。そんなおれの怒りを察してか、猫がスリスリ足元に寄ってくる。んぐぐ、なかなか可愛いじゃないか。おれが腰を降ろしてその首元を撫でると、撫でさせてあげよう、と言わんばかりに首元をうんと伸ばす。


「しょうがないな。連れてけばいいんでしょ?あ、そいえば名前、ないんだっけ?」


おらの回答に満足したのか、猫は足元から離れる。


「あれは冗談にゃ。私の名前はココ。マスターがつけてくれた大切な名前だにゃ。」


ディーナ、お婆ちゃんにしては随分お洒落な名前をつけるな、と思ったのはここだけの話である。


「よし、ココ、おれはショウって呼んで。んじゃ、これからよろしくね。」


こうして、おれはディーナの使い魔ココも一緒に行動をすることになった。そうと決まるとココはおれに撫でろ撫でろとうるさい。


「そうそう、こうすると魔素がちょっとずつ回復してくるにゃ。」


少し撫でてやると、思わぬことを言ってくる。


「ちょ、ちょっと、そういう大切なことは早く言ってよ!おれ、今からキングスライム倒しに行かなきゃいけないのに、ココに魔素を渡してる場合じゃないんだけど。」


すると、ココはおれの心配はどこ吹く風。


「大丈夫大丈夫!キミの実力があればキングスライムなんてチョチョイのチョイにゃ!」


おれはココの適当さに大きなため息を吐くがゼラスも待っているし、あまりゆっくりしていられない。


「んじゃサクッと倒して家に帰るか!」


おれとココはゼラスの待つ穴の下まで戻ることにした。

やっぱり夢と同じように扉が開きましたね。そしてその先にはなんと喋る猫。ディーナの使い魔、果たしてどんなやつなんでしょうか?そして、ゼラスにはなんて説明するんでしょうね?

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新作、始めました! 不遇な扱いを受けていた少年コウが、その境遇に隠された力を使いこなし、内面と向き合いながら強くなっていく冒険譚です! 是非、お読み頂けると嬉しいです!

忌み子のボクが、“気”と自分を受け入れたら、いつの間にか世界の命運を握ってました-

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