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決着!?

アキラとの試合が始まり、超接近戦での斬り合いが続く。

観客席からはタリス、マーナ、アリスが見ていた。


「ショウ、だいぶやばいな。完全にアキラに手玉に取られてる。」


「え、そうなんですか?わたしにはいい勝負をしているように見えるのですが。」


アリスが素直な感想を言うとタリスは首を横に降る。


「アキラにはまだまだ余裕がある。むしろ、ショウが攻撃をしても、しなくても、アキラにとっては全く関係ないように見えるな。」


「そ、そんな。じゃあ、ショウは負けてしまうのですか?」


「お、アリスちゃん、ショウのことを心配してくれてるのかい?」


アリスはハッと我に返り言い訳する。


「私が負けた相手だから、やっぱり知ってる人にやり返して欲しいじゃないですか。」


アリスの苦しい言い訳を聞いてタリスとマーナは見合って笑う。


「そうね、ショウはきっとやり返してくれるわよ。」


「あぁ、まだもう少しショウにも手札は残ってる。それ次第だな。」


おれは自分の攻撃に手応えを感じず、次なる手札を切ることにした。これまでおれは意図的に二刀流の短剣のみで戦っていたが、そこに体術を組み合わせるのだ。あの精神世界でディーナがやっていたのと同じ戦法。流石に完成度はあそこまで高くないが、これまでよりもずっとアキラはやりにくくなるだろう。


おれは片手で突きを放つとそのままさらに体をアキラに寄せ、肘打ちを狙う。アキラはおれの予想外の攻撃に反応が遅れ、なんとか体を捻って肘打ちを躱すが、さらにそこにおれのもう片方の剣が追撃する。


「ふん、やるじゃねぇか。」


アキラはおれの追撃を木刀で払い、悪態を吐く。そこにおれはさらに追撃を仕掛ける。単純に攻撃できる頻度は普通の剣で戦ってる時の3倍以上。もちろん、高頻度で攻撃を仕掛けるにはそれぞれの攻撃が繋がっていないと意味がないから誰でもできるわけではない。おれはあの精神世界の2日間で何通りかの攻撃パターンを習得した。これをスムーズに組み合わせることで攻撃の質と幅が一気に向上する。


アキラは迫り来るおれの追撃に対し、大きくバックステップを踏んで間合いを取る。おれの間合いで勝負するのが辛くなってきた証拠だ。ここからが正念場だ。


「久しぶりに真剣に戦えるぜ。さぁ、第2ラウンドだ。」


アキラを見ると、アキラの全身から白い湯気の様なものが出ているのが見える。魔法の光とはちょっと違うが、これはちょっとやばそうな感じだ。そのアキラがこちらに向かって斬り込んでくるがそのスピードたるや、さっきまでの比じゃない。なんとか初手は躱し、アキラの間合いの一歩中に入ろうとするが、なかなか難しい。


「へぇ、あの子、そういう事か。」


観客席の最前列で見ていたグレイブが思わず声を上げる。一緒にいた兵士たちは最早何が起きているのかわからない様子だった。


「あれはね、別の大陸で使われてる気の技術だ。ぼくも何度か見たことあるけど、あんな少年があそこまで使えるなんて。同じ木刀で戦ったらぼくも負けるかも。」


「ははは、グレイブ副団長が負けるなんてご冗談を。」


近くにいる兵士はグレイブに言うがグレイブは首を振る。


「ぼくの力は知っているだろう?もちろん、ぼくの剣を使えばおそらく負けないよ。でも、純粋に剣術だけの実力で言えば彼の方が高いかもしれない。」


「グレイブ副団長にそこまで言わせるとは、あのアキラ、将来が楽しみですな。」


「ふふ、そうだね。」


そう言ってグレイブは微笑むだけだった。


そしてもう一方のタリスたちがいる観客席。


「あぁ、ありゃだめだ。勝てない。っというか、謎が全て解けた。」


「え!?勝てないってどういうことですか?それに謎ってなんですか?」


突然のタリスの発言に驚きアリスが問いかける。


「んー、多分この城にいる全員が相手してもアキラにはきっと勝てないかな。そう考えると、ショウはよくやってるよ。」


「え、全然意味がわからないんですけど。ってゆかなんでそんなやつが誰も知らないで選抜試験に出てくるんですか?」


「まぁそのあたりもまだ秘密だな。試合が終われば教えてくれるだろう。」


2人のやりとりを見て横にいたマーナは笑っている。マーナも気がついていたのだろう。


おれは何とかアキラの攻撃を躱しながら体術を絡めた攻撃を続けている。この状況でも、やはりおれの攻撃は嫌な様で、アキラもどうにか距離を取りたがっている様子がなんとなく伺えた。


「まさかお前がここまでできるとは思ってなかったぞ。」


アキラがまるで試合を楽しんでいるかの様に嬉々としながらおれに話しかけてくるが残念ながらおれは会話をするほど余裕がない。その代わりに、返事と言わんばかりに上段から斬り下ろす。その攻撃をアキラは木刀で受け止めるが、更におれは反対の手で真下から斬りあげる。するとアキラは咄嗟に木刀から片手を離しておれの腕を抑え、下からの斬撃を防ぐ。

更にアキラは力尽くでおれの両手の短剣を弾き飛ばすと最後の一撃と言わんばかりに上段からおれに向かって木刀を振り下ろした。


「今回はおれの勝ちだな。」


おれの両腕は完全に弾かれている。しかし、おれはこの時を待っていた。おれは弾かれた両腕を頭の上で交差させると、アキラに向かって更に一歩踏み込む。そして、間一髪間に合ったアキラからの上段の斬りおろしに、身をかがめながら両手の短刀でおれの背中側に受け流し、そのままアキラの懐に入ると交差させた両手をアキラの腹部めがけて思い切り斬り開く。


よし、完全に決まった。


おれは勝利を確信していた。しかしながら、次の瞬間、おれはアキラの膝蹴りによって、ステージの淵近くまで吹き飛ばされていた。


「今のは流石にやばかったな。」


アキラは倒れたおれに近づきながら言う。今までアキラが纏っていた白い靄が、赤色に変わっていたが、おれが起き上がれそうにないのを見るとその靄はサッと飛散していった。


おれはゆっくりと体を起こそうとしたが、どうやら肋骨を折っている様だ。グレンがおれの継続の意思を確認するかのようにこちらを見るので、おれは首を横に振った。


それを確認したグレンはおれをむいて頷くと、この試験終了の合図でもある決勝戦の勝者を告げた。


「勝者、アキラ!」


グレンがアキラの名前を呼ぶと、会場から大歓声があがり、拍手喝采が巻き起こった。


「凄い試合だったぞ!」


「負けちゃったけどショウ君も強かったわよ!」


「2人とも、このアーガンスの国を守ってくれー!」


「この試合、歴史に残るな。」


大盛り上がりの会場の中、ステージ上では、アキラがショウに近づき手を差し出そうとしていた。


その様子を見ていたアリスは浮かない顔をしていた。


「あぁあ、負けちゃいましたね。」


しかし、負けた息子の親であるタリスとマーナは満足そうだった。


「ショウ、よくやったぞ。あそこまでやらせたら上出来すぎる。」


「本当に強くなったのね、あの子。」


それを見たアリスは驚きながら2人に聞く。


「お二人とも、あまり悔しくなさそうですね。」


タリスはアリスの残念そうな顔を見て納得する。


「あぁ、それはな、」


タリスが説明しようとした瞬間、手を差し出そうとしていたアキラがおれに覆いかぶさる様におれを地面に突き倒す。一瞬何が起きたかわからない。グレンがアキラに向かって声をかける。


「ちょっとアキラ?何をしているんだ?」


アキラはグレンの言うことを無視してステージの外を見つめる。おれとグレンも目線の先を見ると、そこには思いがけない人物が立っていた。

タリスとマーナはアキラが一体何者なのか気がついたようですね。皆様も、お気づきではないでしょうか?

そして、大会が終わったと思ったら新たな騒動が始まりそうです。そして、この話がこの後の展開に大きく影響します。みなさま、乞うご期待下さい。

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新作、始めました! 不遇な扱いを受けていた少年コウが、その境遇に隠された力を使いこなし、内面と向き合いながら強くなっていく冒険譚です! 是非、お読み頂けると嬉しいです!

忌み子のボクが、“気”と自分を受け入れたら、いつの間にか世界の命運を握ってました-

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