プロローグ
ある雨の降る夜、コンビニへ向かう途中に光に包まれ意識を失った。
目が覚めるとそこは綺麗な天空の神殿だった。
「君は手違いで時空の狭間に転移させてしまってのう。元の世界には帰せないのじゃが、お詫びに転送先に適合する能力を一部授けて、別の世界に転移をさせようと思っておる。」
「えっ、あなたは誰ですか?僕は死んだのですか?」
「ワシは神じゃ。君は存在が消滅した。つまり死でも無く、最初から居なかった事になったのじゃ。」
「それは神様の手違いでですか?」
「そうじゃ。お詫びにチートを授け、再出発をさせてやるのじゃ。」
「そうなんですか…僕は存在が消えたのですね…」
突然光に包まれ、意識が戻ると天空の神殿で神と名乗る人にこの状況を伝えられた。
僕はパニックにならず意外と冷静に神様の話を聞けたと思う。
でも、そんな事を言われても受け入れられないよね。
「オイ! このハゲ! テメエふざけんなよ! ゴルァ!」
「おまえを殴る。ボコボコにする。ちょっとコッチこい!」
僕はちょっと怒ってしまったんだ。
それで神様にどうしてなの?って聞いたんだ。
「な、貴様、この神に向かって…痛い!痛いって!髪の毛引っ張らないで!」
「じゃかましいわ ハゲ!オイ!コラ!お前の髪の毛、根こそぎ毟ったる」
「いや… やめて、抜かないで。毎日大事に…痛い!痛いって」
僕は神様にちょっと怒ってるぞ。って行動でアピールしたんだ。
「オイ ハゲ!お前偉そうに講釈垂れてたよな?存在が消滅しただぁ?お前の髪の毛を消滅させてやろうか?」
ブチ ブチィ ブチィィッ
「ほんと痛いって、ちょと止めて。あ、服を引っ張らないで。これ神装束なん… 破れるって、ちょっと!ほんとに!」
「オイ!ハゲ!この不始末どないしてくれんねん。あぁぁん?能力の強化だぁ?全部よこせ。ボケ!」
僕はこれからすればいいか、神様に聞いたんだ。
「チートを全部寄越せ!金も全部寄越せ!杖と服も寄越せや!ゴルァァ!」
「痛いって、杖返して!取らないで!服も脱がさないで、もうやめて!」
「ほんと分かったから、早く向こうの世界に行って!」
僕は神様と話し合って、向こうの世界で暮らしやすいようにしてくれるって聞いて安心したんだ。そして僕を最後まで見送ってくれたんだ。