表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/18

昼食、角兎、戦闘

 アーニャちゃんを追いかけて走りながら。

 必死で謝って、怯えるアーニャちゃんの誤解を解き。

 お昼ご飯とデザートをおごる事で何とか許してもらった。


 あぶねー。

 あのままギルドに駆け込まれてたらどうなってたかわかんねーや。

 主に俺の命が。


 ちなみにお昼ご飯はパエリアでした。

 アーニャちゃんはそれにプラスしてアイス食べてる。

 やっぱ魚が好きなのかな?猫耳だけに。


 ―――◆――◆――◆――◆――◆―――


「ういっす」

「オウ、来たか? 昼飯は?」

「もう食ったっすよ。アーニャちゃんはデザートも」


 冒険者ギルドに討伐クエストを受けに来た。

 魔物の種類なんて全く知らないんで、アーニャちゃんに手頃なクエストを選びに行ってもらった。

 その間の親父の相手が俺の仕事だ。


「杖にしたのか。中々様になってるじゃねえか」


 お?

 わかっちゃう?

 やっぱこんな装備じゃ俺のオーラは隠しきれないか。


「いちおーこれでも魔法使いっすからね」

「そうなのか? じゃあ胸当てじゃなくてローブにした方が良かったか」

「いや、問題ないっすよ」


 ペアルックなんで!


「おとーさんお疲れ様ニャ」

「アーニャもお守りご苦労さん、どうだコイツは?」

「え? うーん、あー……」


 こっちをチラリ。


「だ、大丈夫だったニャ」

「何が大丈夫なんだ?」

「な、何でもないニャ」

「……?」


 よっしゃセーフ!


「それよりお兄さん、クエスト選んできたから見るニャ」

「オッケーどれどれ……ホーンラビット討伐?」


 角ウサギか。

 定番モンスターだな。


 この世界にウサ耳娘は存在するんだろうか?


「そのくらいなら死ぬことも無いだろ。アーニャもいるしな」

「あ、そうだ。アーニャちゃん戦闘に連れてってホントにいいんすか?」

「大丈夫って言ったニャ!」

「お前よりは強いから大丈夫だよ。この辺りの魔物なら余裕だろう」

「それアーニャちゃんからも聞いたけどホントなんすか?」

「俺の習得スキルは既に教えてあるからな」


 あー、把握。

 親父のブックを詠ませたのね。

 そりゃつええ。


「まあ資質の問題で使えない物も多いがな。それを除いてもそこらの相手には負けんだろうよ」

「りょーかいっす。行ってきまっす」


 こりゃ傷物にされるのは俺かもしれんね。

 アーニャちゃんに傷物にされるならウェルカムだけど、

 親父のスキルだと傷物で済むのか心配だわ。


 俺は親父の隣でドヤ顔してるアーニャちゃんの手を引いて、ギルドを後にした。


 ―――◆――◆――◆――◆――◆―――


「ホーンラビットってどこにいんの?」

「森に少数いる事もあるけど、ほとんどはその先の丘にいるニャ」


 森の先は丘か。

 どのくらい距離があんのかな。


 今は南門から街を出て草原を歩いてる最中。

 ギルドは南広場より城寄りにあるため、一番近い出口を通っただけなんだが。

 ちなみに最初に俺が通ったのも南門だ。


「南の丘にいるってことは他の方角にはいないのん?」

「ホーンラビットは開けた場所なら大抵どこにでもいるニャ。他の方角でも地形が違うだけニャ」

「え? じゃあ何で街周辺の草原にいないの?」


 まだここで魔物見た事無いんだけど。

 ていうか近くにいてくれりゃ楽なのによ。


「街周辺の魔物は門兵さんが定期的に狩ってるニャ。行商人とかの邪魔になるし」


 ああ、だから人数が多めなのか。


 ―――◆――◆――◆――◆――◆―――


 そのまま草原を歩いて森に入った所でアーニャちゃんの口数が少なくなった。

 一応警戒してくれてるらしい。姿勢を低くして先行してくれてる。

 ありがたやありがたや。


 なので俺も姿勢を低くしてアーニャちゃんの後に続く。

 視線は突き出されたお尻としっぽに釘付けだ。

 ありがたやありがたや。


 と、こちらを振り向いたアーニャちゃんと目が合う。

 人差し指を立ててこちらに見せた後、道の先を指差す。


 とりあえずサムズアップを返したら変な顔をされた。


 ホーンラビットが1匹、道の先にいるよって事を伝えたかったらしい。

 だってサインの確認とかしてないし。


 と言うかお尻見てたのがバレたかと思って内心それどころじゃ無かった。


 道の先にいたのは黄色い角を生やしたウサギ。

 ウサギなんて小学生の時に飼育小屋で見て以来だが、あれよりはもっと大きい。

 魔物だからなの?どうなの?


 そうしてホーンラビットを観察してると、アーニャちゃんが唐突に呟いた。


「今からお手本を見せますニャ」


 ―――◆――◆――◆――◆――◆―――


 アーニャちゃんが姿勢を起こすと小剣ショートソードを鞘から引き抜いた。

 その音でホーンラビットがこちらに気付く。


 既に俺達二人ともブックを出して盾に収納済みだ。

 いつでもスキルを発動できる。


「『ホークアイ(鷹の目)』! 『アヴォイド(回避)』!」


 ウサギがこちらに向けて走り出した。

 遅れてアーニャちゃんも走り始め、スキルを使っていく。

 見た事の無いスキルだ。


 と、走っていたホーンラビットがアーニャちゃんのお腹を目掛けて勢い良く跳躍した!


「『ストレングス()』! 『ウィンドシャール(風の盾)』!」


 アーニャちゃんは跳躍したホーンラビットより更に下に滑り込むと、スキルで上に跳ね飛ばす!

 そして相手が無防備に落ちてくる所に剣を構え、一閃!


「『ワールウインド(旋風斬)』!」


 斬られたホーンラビットは地面に落ち、そのまま起き上がってくることは無かった。

 なんだ、全然余裕じゃん。


「以上ですニャ」


 アーニャちゃんは斬ったはずなのに血が全く付いていない小剣を鞘に収めて、こちらに笑顔を向けてくる。


「普段はこんなにスキルを使わニャいけど、初めてだから特別ニャ」

「おおー!」


 思わず拍手しちゃう。

 アーニャちゃんの特別な初めて、頂きました!

 これはリーゼちゃんに報告するしかねーな。


「これは戦士の戦い方だからお兄さんとは違うけど、今見たスキルは無駄にならないはずニャ」


 ブックを取り出して見てみる。

 うん、追加されてる。

 でもワールウインド(旋風斬)だけ文字が灰色になってる。

 恐らく剣専用スキルとかそんなのだろう。


「じゃあ、次の獲物はお兄さんがやってみるのニャ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ