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起床、罠、目標

「んあ……?」


 起きた。

 え、ここどこ?俺ん家じゃないよ。


 まだ陽が昇って間もないのか辺りは薄暗い。

 でも自分の部屋と違うの位はさすがにわかる。

 どうみてもワンルームのアパートには見えねーよこの部屋。


 なんかホテルの一室みたいな部屋のダブルベッドで目を覚ましたようだ。


 えーと、昨日何してたっけ?

 身体を起こしながら記憶を探っていると、腹の上に開いた分厚い本がかぶせてあった。


 あっ。

 そうか、転生したんだっけ。

 昨日は極楽の後、地獄の一撃食らって気絶したのか。

 あのオッサンも無茶苦茶やるなー。

 でもあれって俺、悪くないよね?


 しかし気絶してもブックはそのままか。

 やっぱり不用意に出すとあぶねーな。

 かと言って出してねーと不意打ちに対処出来ないし、どうしたもんか。


 開いてあったブックのページをパラパラめくる。

 と、昨日には無かったスキルが追加されてる。


 ハイネスヒーリング。


 うん、あれだな。

 殴られた俺を治療するために使った回復魔法だろう。きっと。

 一応殴られ損という訳じゃないだけマシか。


 さって、結局昨日晩飯食えてないし?

 ハラペコも限界だけどさすがに朝食はまだかなあ。

 それまで抜き足差し足お宅探検しますか。

 運が良ければ寝起きドッキリ。運が悪けりゃ寝起きポッキリ。


 ……回復魔法使えるようにブックは出しっぱにしとこ。

 さて、行くか。


 あっ!

 俺の服に腹部を中心とした大穴が開いてる!


 ―――◆――◆――◆――◆――◆―――


 ちくしょうやってくれたな筋肉ダルマめ。

 着ていた服は破れるというより、元から何も無かったかのようにきれいな穴が開いていた。


 覚えてないって事はこれスキルじゃないのかよ!

 服が破けるスキルとかちょっと興味あったのに!


 俺はベッドの上に置かれてた服に着替えた後、部屋を出て廊下を歩いている。

 扉があるたびに薄暗い中立ち止まって外観を確認しているが、まだアーニャちゃんの部屋と確信できる扉は無い。


 と、いつの間にか廊下の突き当たりに来てしまった。


 どうする?戻って反対側を探すか?

 振り向いた瞬間、それまで通ってきた廊下に大小様々な光り輝く赤色の魔法陣が浮かび上がる!


 あらー?

 これ戻ったら絶対ヤバいやつですよねー。

 ちくしょう信用ねーな!


 どうやら1階に下りるしかないみたいだ。

 ていうかこのままじゃ元の部屋にも戻れねーよ!


 ―――◆――◆――◆――◆――◆―――


 魔法陣に追い立てられるようにして辿り着いた先は庭だった。

 ご丁寧に靴も用意してある。至れり尽くせりだな!


 庭では筋肉ダルマが背丈ほどもある抜き身の大剣を素振りしてた。

 あんまり汗かいてねーな。やっぱ化けモンだコイツ。


「ん? 起きたのか。どうした?」

「おはーっす。いや、一度部屋から出たら戻れなくなったんすけど」


 白々しい。

 お前が案内させたんだろうが!


「? おかしいな。扉の前に一定時間立ち止まらない限りセキュリティは作動しないはずなんだが」


 ぎくっ。


「……お前、何もしてないよな?」


 そうだ!

 今コイツは抜き身の大剣持ってる!


「い、いやあ! トイレ探してるうちに迷ってウロチョロしたのがマズかったのかなー? アハハー」

「…………まあ良いか」


 助かった!


「悪かったな。服、ダメにしちまって」

「いやいや、いいっすよ。この服代わりに貰えるんすよね?」

「ああ、若い頃俺が着ていたやつだがな」


 げっ。

 こいつのお古かよ。


「どうもアーニャが絡むと冷静になれないんだよな」

「わかります。娘さんかわいいですもんね」

「アアン!?」

「ヒッ! いや何でもないっす!」


 こえーよ何で怒るんだよ褒めたのに。


「今日はどうするんだ?」

「武器屋と防具屋を見ていいのがあったら買って、そっから簡単な討伐クエストをやろうと思ってるっす」

「そうか」


 朝っぱらから感情の起伏の激しいやつめ。

 ちょっとこのペースに付き合うのは疲れる。

 もっとゆるーく生きようぜ。


「後で簡単な防具を見繕ってやるからそれ着けてけ」

「え?」

「防具さえありゃ武器に金回せるだろ? 多少高くても武器は自分に合った物を買え」

「あ、あざっす!」


 一応嫌われては無いっぽい?

 そりゃ嫌ってる相手を自分の家に泊めようとはしないか。


「この街を出て、どの街道でもいい。それをずっと進むと石碑がある」

「石碑?」

「ああ、街と街との中継地点に魔物を寄せ付けない石碑が建ってるんだよ」


 セーブポイント的なもん?


「その石碑に書いてある文字を読み解けば新しいスキルが手に入る。当面の目標としてそれを目指してみな」


 ほう。

 いいね、そういうわかりやすいのは好きよ。

 頑張った分必ず報われるなら頑張れちゃうよね。


「りょーかいっす。頑張ります」

「まあ、死なない程度にな。さて、そろそろ飯にするか。ほら、中に入って待ってろ」


 話をしている間に。気が付けばあたりが明るくなっていた。

 同時に思い出したように腹の虫が鳴く。


 時計がないのが不便だけど、朝7時前くらい?

 そういや時間ってどうやって計ってるんだろ。後で聞いてみよ。


 俺はオッサンがセキュリティを解除するのに合わせ、家の中に入った。

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