スキル、クエスト、伐採
ふむふむ、なるほど。
大体分かった。
ブックとか言う魔法の本。
これはアレですね。
スキルウィンドウとスキルショートカットにヘルプを足したような物ですわ。
この本に載ってる使用可能スキルを選択して
スキルショートカットに登録して。
本を手に持ちスキル名を言うと発動する。
ってまんまゲームじゃん!
異世界ソムリエとしてこれは許容できませんね。60点に落とさせて頂きます。
でも正直ヘルプ無いと使える気しなかったから温情で70点あげちゃう。
しかし、魔法の素養カンストしてるのに使用可能なのは『マジカルバレット』のみ。
スキルを見る、受ける、教わる、読み解くことで増えるらしいけど、要はラーニングしないとダメっぽい。
しばらくは無理せず他の冒険者をストーキングして魔法増やすしかないか。
出来ればさっき冒険者ギルドの場所教えてくれた魔法使いのお姉さんみたいな人が良いなー。
「『エンド』!」
と、忘れずにブックは消しておく。
これ盗難されたりするらしいから気をつけないとね。
盗んだブックを読んでもスキルを覚えられるらしいし。
まあ俺の盗んでもメリットなんか無いけどさ。
でも盗まれるとスキル使えなくなるからデメリットが半端無い。
―――◆――◆――◆――◆――◆―――
とりあえずクエスト受けましょ。
今日中にお金稼げないと飯も食えずに野宿だし。
討伐系じゃなくて近場の採取クエストとか無いかな?無いかな?
受付の反対側にあるコルクボードに近寄って眺めてみる。
様々なクエスト内容が書かれて紙がピンで留められてる。
一枚だけ留めてあるのが殆どだけど、たまに複数枚纏めてピンで留めてあるのもある。
紙に書いてあるのは必要ランクと報酬、期日にクエスト内容かな。
複数枚留められてるのは常時募集して期日無しクエストっぽい。
こういう場所にありがちなパーティー募集の紙が無いなと思ったけど、酒場を挟んで反対側の壁に同じようなコルクボードがあるから、多分あっちに書かれてるのかな?
「お決まりですかニャ~?」
と、色々眺めてたら後ろからさっきの華奢猫耳娘に話しかけられた。
オウ、これは良いNEKOMIMI!
「やー、どれがいいのかサッパリ。 即日で稼げて戦闘無しのいいクエストとかねーかな?」
「さっき登録してた人ニャ? じゃあEランクニャのでこの伐採クエストとかオススメですニャ」
そう言いながら複数枚留めてある紙の1つを俺に手渡してくる。
あっ、この子肉球が無い!
「あ、さんきゅ。これ持って受付行けばいーの?」
「そうですニャ、ガンバ~」
よし、頑張ろう。
猫耳娘から渡された紙を持って再度受付へ。
当然そこに猫耳娘はいない。
だって後ろから着いてきてるもんよ。
そして筋肉ダルマアゲイン。
またかよこの野郎。
「ちわっす。クエストお願いしゃーす」
「オウ、さっきの奴か。ん? どうしたアーニャ」
「わたしが決めてあげたクエストだからちょっと気になってニャ」
この猫耳娘の名前はアーニャちゃん。
心のブックに記憶した!
「これは……伐採クエストか。街周辺の森から薪になるような木を伐ってこい。道具は貸し出してやる」
「沢山持ってくればそれだけお金になるニャ、ガンバ~」
街に来るまでの道の反対方向にあった森か。
あそこなら迷うことも無いから安心だな。
一本道だし。
「大量に集めるならこの建物の裏手から荷車持ってけ。ただし壊したら弁償な。それと期日は無いが、日が落ちたら受付は閉めるからな」
「りょーかい、行ってきまっす」
手斧を受け取ってアーニャちゃんに手を振りながら冒険者ギルドを出る。
筋肉ダルマは知らん。
ギルドの裏手にあった荷車を引きつつ来た道を戻る。
たまーに馬車も通るけど、道が広いお陰で特に端に寄る事もなく歩き続ける。
よく考えたら城のある街なんだから道幅広くて当然か。
そのまま門を抜けて町の外へ。
出る時にも呼び止められたりすることもなかった。
ザル警備だなー。
歩き続けてるとホームレス幼女と会った所まで来たけど、生憎留守だ。
留守って言うのかコレ?
ここに住んでたのかも定かじゃないから、どっか住処に帰ったのかもしれないな。
辺りを見回しても人影らしきものは見えない。
開けた場所だから人が居るか居ないかはすぐわかる。居ない。
そういやちゃんと周り見ないと魔法増やせねーな。
こういう癖をつけとかないと後々苦労しそうだよなー。
そういや幼女が持ってた本、あれもブックだったのかなー。
チラリと幼女からブックを奪い取る想像が脳裏によぎるが、すぐに首を振ってかき消す。
どこの外道だよ!
―――◆――◆――◆――◆――◆―――
スタート地点を超えて、森の直前に差し掛かったところで荷車を道からどかして停める。
あんまり森入りたくねーな。
ここまで魔物とかは出てないけど、森とかさすがに何かいるだろうし。
結構深そうな森だから死角から攻撃されるとかありそうだなー。
よし、一番手前の木から伐ろう。
俺は借りた手斧を振りかぶると小ぶりな枝に向けて叩き付けた!
―――◆――◆――◆――◆――◆―――
だりー。
マジだりー。
俺は体感で30分も経たない内にバテていた。
いやこの手斧結構重いんだよ。
それを自分の肩より上の場所に何度も叩きつけて。
伐れたらそれを荷車まで運んで戻って。
結構な音がするから一応森の奥から何か出てこないか注意したりして。
そんな事をしてたらすぐに体力が尽きた。
未だに荷車は伐った枝を載せても俺が寝転がれるスペースが余ってる。
ぼーっと空を見上げながら雲を掴むように腕を上げて、ふと思いつく。
あ、そうか。
別に斧で伐らなくてもいいじゃんね。
こういう時こそ魔法だよ!
俺は荷車から身体を起こすと右手を前に出して、叫ぶ。
「『ブック』!」
何もない空間から魔法の本が現れる。
あ、両手がいるのか。
右手で掴んで左手に持ち替えて、と。
「『マジカルバレット』!」
既に登録してある魔法を木に向かって放つ。
腕の先から出た透明な魔力の塊は勢い良く目標とした木にぶち当たり。
轟音とともに根元からへし折った!
更に地面を抉り、凄まじい土煙があたりに立ち込める。
「ゲホッ……ゲホッ……」
やべーよ、魔法やべー。
これ人に向けたら死ぬんじゃね。
しばらくその場から動かず土煙が晴れるのを待つ。
やがてうっすらと周囲が見渡せるようになった先には、道を塞ぐように倒れた木。
おいおい、どうやって移動させるんだよ
ていうか荷車に載るの?これ。
その後、土煙と戦いながらも何とかマジカルバレットで木を解体したが、荷車に載せて帰路に着くまでに7回休憩することになった。
MP的な物は余裕だけど体力がもたねえよ!
今度伐採する時は絶対上の方に向けて撃とう……。