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街、冒険者ギルド、ブック

 遠くから見たら城と塀しか見えなかったけど、近くで見たら城の周りに街があるわ。城下町ってやつ?

 門番っぽいのが何人もいたから入国許可証を出せ!みたいな展開になるかと思ったけど、別にそんな事は無かったぜ。

 じろじろ見られてたけど、そりゃ地味めな色合いの通行人に混じって黒ジャケット、白シャツ、青ジーンズの奴が歩いてたらそりゃ見ちゃう。

 つまりこの世界じゃ俺がオシャレ最前線って事だよ!


 と思ったけど色合いはともかく、格好が似た人はたまに見かける。

 人って言うか、獣人?ケモノ耳生やした露出多めの人ね。

 でもファンタジーにありがちなエルフやドワーフは全然見ないな。


 継ぎ目の見えない白い塀の中にあった街は割りと大きかった。


 大きいって言っても規模的にね。さすがにコンクリで出来たビルとかは無い。

 一番高くても3階建てのレンガ造りの建物で、あとは1階建ての木造家屋がほとんどな印象。

 2階建てもちらほらあるけどそっちはレンガと木造が半々。3階建ては見える範囲に一軒しかないな。


 それより一つ一つの家がでっかいの。

 日本みたいな面積狭い国じゃ考えられないような土地の使い方だなー。


 ―――◆――◆――◆――◆――◆―――


 さて、まずは冒険者登録ですね。


 ていうか良く考えたら金がねーよ、やべーよ。

 初日から野宿?野宿なの?ホームレス幼女の仲間入りなの?

 多分あの娘は仲間に入れてくれないんじゃないかなー。


 だから金を稼ぐんだよ。

 よし、行くぞ!


 場所がわからん!


 ―――◆――◆――◆――◆――◆―――


 道行く魔法使いのお姉さんを狙って声かけて場所を聞いたぜ!


 何で魔法使いのお姉さんかって?

 だって戦士っぽいのは男も女もムキムキで怖いもん。

 男魔法使いはなんか根暗とムキムキが半々だし話しかけずれーよ。


 今はそんなことはどうでもいいんだ、重要なことじゃない。


 で、冒険者ギルドなんだが。


 パッと見は西部劇とかで見かける酒場っぽい。

 両開きのスイングドアをくぐると中も酒場っぽい。

 ていうか酒場じゃん!


 あ、右奥に受付カウンターがある。

 酒場兼冒険者ギルドなのね、ふむふむ。


 受付カウンターに座ってる職員は3人。


 左から順に

 筋肉ムキムキの大男。

 クールな黒髪ロングの眼鏡美女。

 愛嬌のある笑顔をした華奢な金髪猫耳娘。


 うむ。


 俺が右側の壁沿いを歩き受付カウンターへ向かっていると、眼鏡美女と猫耳娘が立ち上がった。


「じゃあ昼食頂いてくるわね」

「よっろしっくニャ~」

「オウ、行ってきな」


 あっ、せっかくの小柄猫耳娘が……。


「オウ兄ちゃん、用があるなら俺が聞くぜ。こっち来いよ」

「……えーと」

「こっち来いよ!」

「ハイっす!」


 くそっ、何でこの街はこんなに筋肉が多いんだ。


 ―――◆――◆――◆――◆――◆―――


「冒険者登録か? ならこれに名前を書け」


 筋肉ダルマはそう言いながら紙とペンを渡してくる。


 あれ?

 そういや気にしてなかったけど、普通に文字読めるな。

 日本語とは違う文字なのに何故か理解できる。

 書く方も相手に伝わるかは不明だけど。


「日本語でオーケーっす?」

「ニホンゴが何か知らんが本人確認出来りゃあいい」


 じゃあいいや。漢字で書いちゃえ。

 榊、真吾、と。


「どれどれ? サカキ、シンゴ。どっちが名前だ?」


 あ、これでも読めちゃうのね。


「シンゴが名前っすよ」

「わかった。『ブック』!」


 筋肉ダルマが大声を上げたと思ったらその手に分厚い本が出現した。


 え、今の何?それ魔法?


 筋肉ダルマが本を広げて俺の書いた紙を上に乗せると、溶け込むように紙が消える。


「『クリエイト カード』!」


 そしてまたどこからともなく金色のカードが出現する。

 あ、俺の名前が書いてある。


「『エンド』! ほらよ、これがお前の冒険者カードだ。失くすなよ」

「おおー! 今の何すか? どうやってやったんすか?」


 本を消してカードを俺に放った筋肉ダルマに聞く。

 こやつ、脳みそまで筋肉かと思いきや魔法が使えるとは、やりおる!


「あん? ギルドの受付スキルで冒険者登録しただけだぞ」

「いや、さっきの本が出てくるやつっすよ!」

「ブックの事か? お前も出せるだろ」

「えっ、俺も出せるの? マジで?」


 お?

 そんな事言われたら出しちゃうよ?

 いいの?


「『ブック』!」


 と、俺の目の前にも分厚い本が出現する。

 本はしばらく空中を漂い。

 地面に落ちた。


「ちゃんと持てよ! 壊したらスキル使えなくなるぞ」

「えっ、あっ、これ支えなきゃダメなのね。ほー」


 俺は地面に落ちた本を拾ってページをめくる。


 あー、うんうん。

 なるほど。

 魔法が出なかった理由がこれか。

 つまりこのブックを……。


「おい、登録は終わりだ。他に用が無いならカウンターの前からどきな」

「……あっ、サーセン、ありあとっしたー」


 まだクエスト受注とか聞きたい事はあるけど、魔法の使い方をマスターする方が先だな。

 とりあえずどっかの椅子に座ってもうちょっとこのブック読むか。

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