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秘密の扉〜学校編〜

作者: ゆっきー

あなたの通っていた学校にも一つくらいなかったでしょうか

何年も通っていた学校の一つの扉


他の扉には名前があるのに一つだけ名前のない扉

その先に何があるのか、それは本当に開いてよかった扉なのか

今、新たな扉が開かれる時が来る。


私立第一小学校と書かれたパンフレットをパラパラと漫画を読むかのようにめくっていく

子供が読むには少し難しい漢字が多すぎて、入学したての一年生にはまともに理解できるものではなかった。

全てに目を通した後に一言

「これって紙の無駄使いだよな」

小学生の僕より身の丈が倍くらいあるスーツの男が話しかけてきた。

唐突な一言に僕は、反応することが出来なくて無視をする形になってしまった。

「びっくりしたか、俺はこの学校の先生だ驚くことはない」

この学校の先生と名乗る彼、その話し方はあまりに冷たく、子供ながらに少し違和感を感じていた。


もう少しで入学式が始まるようだ。

周りを見渡せば母親や父親と手を繋ぎながら楽しそうにしている子供も居れば、行きたくないと駄々をこねている子供もいる。

僕もこれから入学式、その僕がこれから同級生になる彼らのことを子供というのは少しおかしいかもしれないがどう見ても僕の目には子供に見えてしまう。

親と手を繋ぐなんて子供だ。

親と離れるのを嫌がるなんて子供だ。

そんな子供を甘やかす親だって子供なんじゃないかって、そんな風に見えてしまう。

我ながらひねくれた僕も子供だ。


入学式が始まる。

他の先生よりも少し偉そうな先生が舞台の上に立つ、つまらない話をだらだらと意味もなく話し続ける少し毛の少ない大人を景色のように眺める。

僕も年を取って偉くなったら毛が少なくなるのかと思うと少しだけ笑えてきた。

もし僕が毎日絵日記を描く某夏休みのゲームの主人公なら今日は面白い日記がかけただろう、偉そうな毛の少ない大人の話が終わると入学式は終わった。

最後にみんなで写真を取るらしい、写真は大嫌いだ。

みんなみんな笑顔で入学式を終える中僕はひとり泣いていた。

このままどこまで行っても僕はひとりなのかと泣いていた。


入学式も終わり、みんなそれぞれの帰る場所に戻っていく、僕も家に帰ろうと思った。

だけどその時、気になる話を聞いた。

「この学校って前理事長が解雇される前までは暴力団と関係があったそうよ」

「10年以上も前の噂でしょ、今はすごくいい学校じゃない私立の割には学費も安いし、それにエスカレーター式に大学までいけるだなんて」


まだ話していたけど僕には関係ない話だったので聞き流した。

暴力団、詳しくは知らなかったけれどニュースを見ることが日課の僕は悪いやつらということは知っていた。

その時に僕はその秘密を暴いてやろうと思った、なぜだかわからないけどそう思ったんだ。

入学式が終わって二時間くらいがたっただろうか、あたりは少しづつ静かになっていった。

僕は隠れていた非常階段から飛び出し学校内に忍び込む、まだ学校内には二年生から六年生が残っている。

うかつに動けば捕まり牢屋に入れられるだろう。

いや、もちろん牢屋なんてなければただの迷子として返されるだけだろうが、今はそういう気分になっているのだ。


隙を見て一気に廊下を駆け抜ける。

本当に風を切る感じ、しかしここで一つのアクシデントが発生した、走ったものの目的地がなかった。

このまままっすぐ走っていればすぐに見つかるだろう、もう訳もわからずに近くにあったトイレに逃げ込み用具入れに身をひそめた。

トイレの掃除用具入れの中なのに意外と広く、綺麗でびっくりした、少し呼吸を落ち着かせ外の様子を伺おうとした瞬間

ガラガラ、トイレのドアが開いた。

僕は急いで息を止め精一杯身をひそめた。


心臓は張り裂けそうだ。

入ってきた男が電話をし始めた。

「もしもし、今日は会議もないから早く帰れそうだよ、えっ、そうだなハンバーグかな」

他愛のない会話、しかし僕はその中に大きなヒントを見出していた。


会議室、会議といえば大切なことを決める場所、そこに行けばこの学校の謎をすべて解けるんじゃないかと僕は推測した。

男がトイレを出たら僕もすぐに出て正面の階段から二階に上がった。

大切なことを決める場所ならきっとこの学校の一番上にある、僕がやっているゲームも魔王は最上階か一番下にいることが多かったからだ。

最初に上に上がることを選んだ理由としては帰りについでに寄れるからという単純な理由だ。

二階の教室はすべて無視して一気に三階まで駆け上がる。

どうやら三階が最上階のようだった


一時間近く捜索をしただろか、三階には人もいなければ会議室すらなかった。

正直飽きてきてしまった僕だったけれど、今ここで投げ出したらまたいつもと同じ変わらない日常に戻るのが嫌で地下を探しに一階に降りた。

必死に隠れている様子は現実からかけ離れていてすごく楽しかった。


そして僕はようやく会議室を見つけた。

会議室にはスーツを来た男がいた。

その時に僕の冒険は終わったのだと思った、短い命だった最後は綺麗に散ろう。

この前読んだ漫画のセリフが頭をよぎる。

男は僕の前に立つと

「お前、ちょろちょろこの学校走り回ってたな一生懸命隠れながら」

半分笑いながら話しかけてくる。

「笑うな、僕は知ってるんだぞこの学校の秘密を」

「秘密、ああ秘密ね」

男は笑いながら頭に手を乗せてきた。

「僕を殺す気か」

震える小さな声で僕は言った。

男は無言で僕を抱え上げ連れていく、何度も離せと暴れてももう無理だった。

僕はここで終わりだ。

そう思ったとき、僕は降ろされた。

応接室と書いてある部屋の前、感じは読めないけどうすうすはわかっていた。

この扉を開ければ牢屋なんだと、自分ではいれ入らなければピストルで一発。

僕はもうあきらめてドアを開ける。


「何やってるの心配したでしょバカ」

突然怒鳴られ頭をたたかれる。

僕は泣いた。

うれしくて泣いた。

入学式、ずっと僕は楽しみにしていた、産まれたときからお母さんと二人だった。

お母さんは毎日仕事で幼稚園の運動会ですら近所のおじいちゃんが見に来てくれるそのくらい忙しかったお母さん。

入学式は一緒だって言ったのに、それなのに夜まで仕事だと言っていたお母さん。

お母さんがいた。


後日談になるけど

僕は家ですごく怒られてまた泣いた。

そして暴力団の話

僕を応接室まで連れて行ってくれた、スーツの男の正体は10年前に暴走族だった彼が今年母校に教師として帰ってきたというただのヤンキー母校に帰るだったのが伝言ゲーム的に変わっただけだったようです。









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