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転生したら“スキルが見えない世界”だった件  作者: Kaito_Takahara


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第6章 観測者と“選ばれた者たち”

オーガを倒した後の森は、不気味なほど静かだった。


「……とりあえず、証明部位だけ取ろう」


リーナがナイフを取り出す。


「首の一部でいいはず」


「了解」


蒼真も立ち上がり、手伝う。


戦いの余韻はまだ残っていた。


(さっきの感覚……)


全部が繋がるようなあの感じ。


相手の動きも、リーナの動きも、自分の動きも——


“見える”ようだった。


(あれ、なんなんだ……)


考えても答えは出ない。


ただ一つ分かるのは、


「また、あれが使えれば……」


もっと強くなれる、ということ。


「ソーマ?」


「あ、いや……なんでもない」


リーナが少し不思議そうに見ていたが、それ以上は聞いてこなかった。


町へ戻る道中。


「でもさ」


リーナがぽつりと言う。


「あのオーガ、絶対おかしいよ」


「やっぱり?」


「うん。あのクエストに出てくるレベルじゃない」


普通なら、もっと上位ランクの依頼になるはず。


「つまり……」


「誰かが意図的に、あそこに出した可能性がある」


「……」


嫌な予感がする。


ただの偶然じゃない気がした。


その時——


「へぇ……生き残ったんだ」


突然、声がした。


「!?」


振り向く。


木の上。


そこに、一人の男が座っていた。


黒いコートのような服。


年齢は二十代くらい。


軽く笑っている。


「誰だ!」


リーナが剣を構える。


だが男は動じない。


「そんなに警戒しなくてもいいよ。敵じゃない……今はね」


「“今は”って何よ」


「そのままの意味」


ひらりと木から降りてくる。


音もなく、地面に着地。


(こいつ……)


ただ立っているだけなのに、異様な圧を感じる。


ガルドとは違う。


もっと得体の知れない何か。


「君がソーマ、でしょ?」


いきなり名前を呼ばれる。


「……なんで知ってる」


「有名だよ。“水晶壊した新人”」


クスッと笑う。


「で、その実力も本物ってわけだ」


「……何が目的だ」


単刀直入に聞く。


すると男は、少しだけ楽しそうに目を細めた。


「確認だよ」


「確認?」


「君が——“どっち側”か」


意味が分からない。


「……は?」


男は一歩近づく。


「この世界にはね、“選ばれた人間”がいるんだよ」


「……」


「例えば——異世界から来た人間とかね」


空気が凍る。


「……っ」


リーナが息を呑む。


(こいつ……知ってるのか)


男は続ける。


「僕もその一人」


「……転生者、ってことか」


「正解」


あっさり認めた。


「そしてね、転生者には大体“特別なスキル”が与えられる」


当然のように言う。


「君もそうでしょ?」


「……」


答えない。


その代わり、睨む。


「隠さなくてもいいよ。だって——」


男は少しだけ顔を近づけてきた。


「君、“スキル見えてないでしょ?”」


「っ!?」


心臓が跳ねる。


なぜそれを——


「図星か」


ニヤッと笑う。


「珍しいんだよね、それ」


リーナが驚いた顔で蒼真を見る。


「え……ソーマ、本当に……?」


「……ああ」


隠しても無駄だと分かった。


「俺、スキルもステータスも見えない」


沈黙。


だが男は、むしろ嬉しそうだった。


「やっぱりか」


「何が“やっぱり”だ」


「君、普通の転生者じゃない」


断言する。


「むしろ——“対極”だ」


「対極?」


「普通の転生者は“与えられた力”で戦う」


一歩下がりながら言う。


「でも君は違う。“持っているものを使ってる”」


「……」


意味は完全には分からない。


でも——


「君のそれはね」


男の目が、少しだけ真剣になる。


「この世界のルールを壊す可能性がある」


空気が張り詰める。


リーナも言葉を失っている。


「だから——」


男は軽く手を振った。


「今回は見逃してあげる」


「……は?」


「まだ“敵”じゃなさそうだし」


くるっと背を向ける。


「でも覚えといて」


振り返らずに言う。


「転生者は、みんな味方じゃない」


その一言だけ残して——


男の姿は、ふっと消えた。


「……消えた?」


リーナが呟く。


「気配もない……」


完全にいなくなっていた。


「……なんだったんだ、あいつ」


蒼真は拳を握る。


さっきの言葉が頭から離れない。


——この世界のルールを壊す


——転生者は、みんな味方じゃない


「ソーマ……」


リーナが少し不安そうに言う。


「大丈夫?」


「……ああ」


答えるが、心はざわついていた。


ただ強くなればいい、と思っていた。


でも——


それだけじゃ済まないかもしれない。


「なあリーナ」


「ん?」


「この世界ってさ」


少しだけ、空を見上げる。


「思ってたより、面倒そうだな」


「……今さら?」


苦笑するリーナ。


でもその顔にも、わずかな緊張があった。


こうして——


蒼真は初めて、“自分と同じ存在”に出会った。


そして知る。


この世界はただの異世界じゃない。


“転生者同士が交差する戦場”だということを——。

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