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転生したら“スキルが見えない世界”だった件  作者: Kaito_Takahara


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第5章 見えない力と共鳴する刃

オーガの咆哮が森を震わせる。


その圧だけで、普通の人間なら足がすくむはずだった。


「……くるよ!」


リーナの声。


次の瞬間——


ドンッ!!


地面を蹴り、オーガが突進してきた。


「速っ……!」


巨体に似合わないスピード。


真正面から来る。


(さっきより速い……でも——)


「見える!」


ギリギリで横に跳ぶ。


風圧が体をかすめる。


そのまま背後に回り込む。


「リーナ、右!」


「了解!」


息が合う。


リーナが横から斬り込む。


キィン!!


だが——


「硬っ!?」


刃が弾かれる。


皮膚がまるで鎧みたいだ。


「浅い……!」


オーガが振り向きざまに腕を振るう。


「っ!」


リーナが吹き飛ばされる。


「リーナ!」


「大丈夫……!」


木にぶつかりながらも、なんとか立ち上がる。


でもダメージは軽くない。


(やばいな……長引いたらまずい)


一撃の重さが違う。


まともに食らえば終わる。


「……なら」


蒼真は拳を握る。


(一点集中でいく)


オーガの動きを観察する。


呼吸、重心、筋肉の動き。


「……そこだ」


踏み込む。


正面から。


「ソーマ!?」


リーナの驚きの声。


でも止まらない。


振り下ろされる拳。


それを——


紙一重でかわす。


「今だろ!」


懐に入り込む。


腹部——さっきよりもさらに深く。


「うおおお!!」


全力で拳を叩き込む。


ドゴォォォン!!


鈍い衝撃。


空気が震える。


「グォォッ!?」


オーガが初めて大きくよろめいた。


(効いてる……!)


でも、まだ倒れない。


むしろ——


「怒ったか……!」


目がさらに赤く光る。


次の瞬間、


ブンッ!!


腕が薙ぎ払われる。


避けきれない。


「っ——!」


ドガァッ!!


衝撃。


体が吹き飛ぶ。


地面を転がる。


「ぐっ……!」


息が詰まる。


視界が揺れる。


(今の……やばいな)


腕がじんじんする。


折れてはいない。でも、かなり重い。


「ソーマ!!」


リーナが駆け寄ろうとする。


「来るな!」


叫ぶ。


その瞬間——


オーガがリーナへ狙いを変えた。


「っ……!」


振り下ろされる拳。


避けきれない。


(まずい——)


その時。


「間に合え!!」


体が勝手に動いた。


地面を蹴る。


一瞬で距離を詰める。


リーナの前に滑り込む。


「っ!」


腕で受ける。


ドゴォォン!!


衝撃が全身に響く。


でも——


「……止めた」


地面に足がめり込みながらも、踏ん張る。


「なんで……」


リーナが呆然と呟く。


「今の、普通止まらない……」


自分でも分からない。


ただ——


「できると思った」


それだけだった。


その瞬間。


——何かが“繋がった”。


リーナの気配。


オーガの動き。


自分の体。


全部が、一本の線みたいに感じられる。


(これ……)


考える前に、体が動く。


「リーナ!」


「え?」


「次、左から来る!」


「っ……わかった!」


言われた通りに動くリーナ。


そして——


ブンッ!!


オーガの攻撃を、完全に回避。


「ほんとだ……!」


「そのまま斬り込め!」


「うん!」


リーナの剣が閃く。


今度は——


ズバッ!!


「入った……!」


確実に、さっきより深い。


「いける……!」


リーナの目に、確信が宿る。


「ソーマ、次は!?」


「3秒後、右腕くる!」


「了解!」


完全に“連携”ができている。


いや、それ以上だ。


(全部、分かる……)


まるで未来が少しだけ見えているような感覚。


「今だ、首!」


「うん!!」


最後の一撃。


リーナが跳ぶ。


全体重を乗せた一閃。


ズガァッ!!


オーガの首に、深く刃が食い込む。


「グ……ォ……」


巨体が揺れる。


そして——


ドォォン……


地面に崩れ落ちた。


静寂。


風の音だけが残る。


「……勝った?」


リーナが呟く。


「……みたいだな」


蒼真も、その場に座り込む。


「はぁ……はぁ……」


遅れて、疲労が押し寄せる。


でも——


「やった……!」


リーナが笑った。


心からの笑顔だった。


「ソーマ、すごいよ……!」


「いや、リーナもだろ」


「違うよ」


首を振る。


「さっきの……完全にソーマのおかげ」


真剣な目で言う。


「あなたがいなかったら、絶対勝てなかった」


「……」


少し照れる。


「その……ありがと」


「こっちこそ」


そして、少し間を置いて——


リーナはぽつりと呟いた。


「やっぱり、普通じゃない」


「え?」


「スキルが見えないのに、あんな連携できるなんて……ありえない」


確信している顔だった。


「ソーマのそれ——」


少しだけ、声を落とす。


「“何か別の力”だよ」


——見えない力。


それが、初めて“形”になった瞬間だった。


そして同時に——


森の奥で、それを“見ている者”がいたことを、二人はまだ知らない。

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