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転生したら“スキルが見えない世界”だった件  作者: Kaito_Takahara


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第4章 初任務と見えない連携

「はい、これがあなたのギルドカードです」


受付の女性から手渡された、小さな金属のプレート。


そこには名前とランクが刻まれている。


「ランクは……Fからのスタートになります」


「まあ、そりゃそうですよね」


いくら試験で目立ったとはいえ、新人は新人だ。


「で、さっそくなんだけど」


横からリーナがひょいっと顔を出す。


「クエスト行こ」


「早くない?」


「早い方がいいでしょ。実力、ちゃんと見たいし」


ニヤっと笑う。


(完全に試されてるな…)


「わかった」


どうせ避けられないなら、やるしかない。


掲示板には、大量の依頼が貼られていた。


採集、護衛、討伐——


いかにもRPGっぽい。


「最初はこれかな」


リーナが一枚を指さす。


「“ゴブリン討伐”」


「王道だな」


「数は3〜5体。危険度は低めだけど、新人にはちょうどいい」


紙を剥がし、受付へ持っていく。


「はい、受理しました。お気をつけて」


こうして、蒼真の“初クエスト”が始まった。


町を出て、しばらく歩いた森の中。


「この辺りに出るはず」


リーナが周囲を警戒しながら言う。


「ソーマ、戦い方は?」


「特に決まってない」


「え?」


「その場で考えるタイプ」


「……大丈夫?」


「たぶん」


不安そうな顔をされる。


でも本当に、それしかない。


スキルもステータスも見えない以上、“型”なんて作れない。


その時——


「……来た」


リーナが小さく呟く。


前方の茂みが揺れる。


現れたのは——


緑色の肌、小柄な体、歪んだ顔。


「ゴブリン……」


1体、2体、3体。


さらに後ろから2体。


「5体か……ちょっと多いね」


リーナが剣を構える。


「私が3体引き受ける。残りいける?」


「任せて」


自然と、言葉が出た。


怖さよりも——


「やれる」という感覚があった。


「行くよ!」


リーナが先に飛び出す。


その動きは速く、無駄がない。


(すごいな……)


一瞬見とれそうになるが——


「っと!」


横から1体、ゴブリンが飛びかかってくる。


体をひねって回避。


そのまま腕を掴み、地面に叩きつける。


ドンッ!!


「ギャッ!」


そのまま一撃。


動かなくなる。


(よし……1体)


残りは2体。


同時に来る。


でも——


「遅い」


自然とそう感じた。


さっきのガルドと比べれば、動きが単純すぎる。


一体の攻撃をかわし、もう一体の懐に潜り込む。


ドゴッ!!


腹に拳を叩き込む。


吹き飛ぶ。


その隙に、最後の一体を蹴り飛ばす。


バキッ!!


「……終わり、か」


気づけば、3体すべて倒れていた。


息はほとんど乱れていない。


「ソーマ!」


リーナの声。


振り向くと、ちょうど最後の1体を斬り伏せたところだった。


「そっちも終わった?」


「うん……って」


リーナは周りを見て、固まる。


「え……全部、倒したの?」


「まあ……うん」


「早すぎない!?」


「そう?」


「そうだよ!!」


かなり驚いている。


でも、自分ではあまり実感がない。


「……なんか、普通に動けた」


「普通じゃないからねそれ!?」


リーナは頭を抱える。


そして少し黙ったあと、じっと蒼真を見た。


「ねえ」


「ん?」


「あなたのそれ……やっぱりおかしい」


「え」


「スキルの気配がしないのに、動きが完成されすぎてる」


(またそれか…)


ガルドにも言われた。


「普通、戦闘スキルを持ってると“流れ”があるの」


「流れ?」


「例えば“剣術スキル”なら、それに沿った動きになる」


でも——


「ソーマにはそれがない」


真剣な目で言う。


「なのに、全部“最適な動き”をしてる」


「……」


自分では分からない。


ただ、体が勝手に動いているだけだ。


その時——


ゾクッ


「……っ!」


急に、背筋が冷えた。


何かいる。


さっきのゴブリンとは違う、“何か”。


「リーナ、下がって」


「え?」


その瞬間——


ドンッ!!


近くの木が、横から叩き折られた。


「なっ!?」


現れたのは——


巨大な影。


さっきのゴブリンとは比べものにならない大きさ。


筋肉の塊のような体。


「……オーガ」


リーナの声が震える。


「なんでこんなのが……!」


明らかに、このクエストの想定外。


「ソーマ、逃げ——」


言い終わる前に、オーガが動いた。


速い。


巨体なのに、ありえない速度。


拳が振り下ろされる。


「っ!」


蒼真はリーナを押し飛ばす。


ドゴォォン!!


地面がえぐれる。


(やばい……これは強い)


初めて感じる、“本気で危険”な相手。


でも——


「……いいね」


なぜか、口元が少しだけ上がる。


怖い。


でも同時に——


「試せる」


自分の限界を。


「リーナ、援護頼める?」


「え……戦うの!?」


「無理そうなら逃げてもいい」


「……」


一瞬の迷い。


そして、


「やる」


剣を握り直す。


「一人でやらせるわけないでしょ」


その言葉に、蒼真は少し笑った。


「ありがと」


オーガが再び咆哮を上げる。


森が震える。


——初めての“本格的な強敵”。


——そして、初めての“共闘”。


見えない力が、試される。


戦いは、ここからが本番だった。

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