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転生したら“スキルが見えない世界”だった件  作者: Kaito_Takahara


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第9章 最深部と暴走する核

森の奥へ進むほど、空気は重くなっていった。


「……これ、普通じゃないね」


リーナが小さく呟く。


「魔力が濃すぎる」


「分かる」


蒼真も頷く。


肌にまとわりつくような圧。


まるで、森そのものが“何か”に侵されているようだった。


「この先だな」


地面の変色も、さっきよりひどくなっている。


黒く、脈打つような模様。


「気持ち悪い……」


リーナが顔をしかめる。


その時——


ドクン


「……っ!」


心臓の鼓動のような音が響いた。


「今の……」


「奥からだ」


二人は顔を見合わせ、さらに進む。


そして——


「……なんだ、これ」


開けた場所に出た瞬間、蒼真は言葉を失った。


そこには——


巨大な“塊”があった。


黒い肉のようなものが絡み合い、脈打っている。


中心には、赤く光る核。


ドクン、ドクン、と脈動していた。


「……生きてる?」


リーナの声が震える。


その周囲には、倒れた魔物の死体。


いや——


「……吸収されてる?」


ゆっくりと、塊に取り込まれていく。


「これが……原因か」


間違いない。


この“何か”が、魔物を変異させている。


その時——


「正解」


また、あの声。


振り向くまでもない。


「お前か……」


黒いコートの男が、木の上に立っていた。


「どう?僕の作品」


「作品だと……?」


リーナが怒りを露わにする。


「こんなの作って、何がしたいの!」


男は肩をすくめる。


「だから言ったでしょ。観察だって」


「……ふざけるな」


蒼真の声が低くなる。


「これは遊びじゃ済まない」


「でも事実、面白いでしょ?」


笑っている。


本気で楽しんでいる顔。


「命がどうなるかも分からない状況で、人はどう動くか」


「限界を超えるか、折れるか」


「……最悪だな」


「褒め言葉かな?」


軽く受け流す。


そして、視線を蒼真に向ける。


「で、どうする?」


顎で“核”を指す。


「あれ、放っておいたらこの森全部飲み込むよ」


「……だろうな」


「壊す?」


「壊す」


即答だった。


「いいね」


男は楽しそうに笑う。


「じゃあ、見せてよ。君の“限界”」


その瞬間——


ドクンッ!!


核が大きく脈打った。


「!?」


地面が揺れる。


塊が変形し始める。


「まさか……!」


リーナが構える。


黒い肉塊が集まり、形を成していく。


腕。


脚。


頭部。


そして——


「……嘘だろ」


巨大な“人型”が現れた。


オーガよりもさらに大きい。


全身が黒く、脈打つ肉でできている。


胸の中央に、赤い核。


「守護体ってとこかな」


男が軽く言う。


「核を壊したければ、まずあれをどうにかして」


「っ……!」


化け物が動いた。


ズンッ!!


一歩踏み出すだけで地面が揺れる。


「来る!」


リーナが叫ぶ。


腕が振り下ろされる。


「っ!」


二人同時に回避。


ドゴォォン!!


地面がえぐれる。


「規模がおかしい!」


「でも——」


蒼真は目を細める。


(動きは……単純)


力は桁違い。


でも、動き自体は読みやすい。


「リーナ!」


「うん!」


自然と連携に入る。


「足、崩せる?」


「やってみる!」


リーナが走る。


蒼真は正面へ。


「こっちだ!」


わざと目立つように動く。


化け物の視線が向く。


(よし、来た)


振り下ろしを誘う。


その瞬間——


「今!」


リーナが横から斬り込む。


ズバッ!!


足の一部が崩れる。


「効いた!」


バランスが崩れる。


だが——


「再生してる……!」


すぐに元に戻る。


「面倒すぎるだろ……!」


「核を直接狙うしかない!」


でも——


「近づけないな」


あの巨体と攻撃範囲。


簡単には懐に入れない。


その時——


ドクン


また、あの感覚。


「……来た」


蒼真の中で、何かが“繋がる”。


リーナの位置。


敵の動き。


核の位置。


全部が一本の線になる。


(見える……)


完全に。


「リーナ!」


「なに!?」


「次の一撃、右に来る!」


「了解!」


予測通りの攻撃。


完璧に回避。


「そのまま3歩前!」


「うん!」


言われた通りに動くリーナ。


そして——


「そこ、跳べ!」


「っ!」


跳ぶ。


その瞬間、


「今だ、核!」


蒼真も同時に動く。


一直線に突っ込む。


(届く——!)


核が目の前に。


でも——


「っ……!」


腕が遮る。


間に合わない。


その時。


「行けぇぇ!!」


リーナの一撃。


横から斬り裂く。


腕がわずかにずれる。


「今!!」


蒼真の拳が——


核へと届く。


ドゴォォォォン!!!


衝撃。


赤い光が揺れる。


「グォォォォ!!」


化け物が絶叫する。


(まだ足りない……!)


砕けきらない。


なら——


「もう一発だ!!」


拳を引く。


その瞬間、


——“何か”がはっきりと掴めた。


今まで曖昧だった感覚。


それが——


「これが……俺の力か」


確信に変わる。


全身に力が流れる。


「終わりだ」


拳を叩き込む。


ドォォォォン!!!


核が——


砕けた。


光が弾ける。


次の瞬間、


巨大な体が崩れ落ちていく。


ズゥゥン……


静寂。


「……やった?」


リーナが息を切らしながら言う。


「……ああ」


蒼真もその場に立ったまま、拳を見る。


(今の……)


はっきりと感じた。


自分の力の“正体の一部”。


その時——


「やば……」


声。


男だ。


振り向く。


珍しく、少し驚いた顔をしていた。


「それ、予想以上だわ」


「……どういうことだ」


男は小さく笑う。


でも今度は、少しだけ真剣だった。


「君、本当に——」


一瞬、言葉を切る。


「“壊せる側”だね」


その一言だけ残して——


今度こそ、完全に姿を消した。


「……壊せる側って」


リーナが呟く。


蒼真は答えなかった。


ただ——


拳を見つめる。


見えないはずの力。


でも確かに、そこにある。


「……」


この力は、一体何なのか。


そして——


何を壊すためのものなのか。


物語はついに、“核心”へと踏み込んだ。

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