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転生したら“スキルが見えない世界”だった件  作者: Kaito_Takahara


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プロローグ

お読みいただきありがとうございます。この作品は20時に投稿します

死ぬ瞬間って、もっと劇的なものだと思っていた。


走馬灯とか、涙とか、後悔とか。


でも実際は——


「うわ、やば…」


その一言だけだった。


帰り道、イヤホンで音楽を聴きながら歩いていた。信号は青だった。だけど、横から来たトラックには気づかなかった。


視界がぐるっと回る。


音が消える。


そして——暗転。


そのはずだった。


「……ん?」


目を開けると、そこは見知らぬ空間だった。


真っ白でも、真っ暗でもない。不思議な“何もない場所”。


そして目の前には、一人の女の子がいた。


「ようこそ、死後の世界へ」


さらっと言われた。


「いや軽くない!?」


思わずツッコんだ俺に、その少女はくすっと笑った。


「あなた、運がいいよ。転生できるから」


「……テンセイ?」


「うん、異世界にね」


その言葉を聞いた瞬間、頭の中に漫画やアニメの記憶が一気に浮かんだ。


剣と魔法、チート能力、ハーレム、無双——


「マジで!?」


思わずテンションが上がる。


そんな俺を見て、少女は少し困った顔をした。


「ただし、ちょっとだけ条件があるけどね」


「条件?」


「あなたが行く世界には、“ステータス”も“スキル表示”もないの」


「……は?」


「他の転生者は、普通はスキルとかレベルが見えるでしょ?でもあなたは——見えない」


「いやいや、それ一番大事なやつじゃん!?」


「でもちゃんと存在はしてるよ。ただ、見えないだけ」


つまり——


強くなってるのかどうかも、スキルがあるのかも、全部“感覚頼り”。


「めちゃくちゃ不利じゃん…」


そう言うと、少女は少しだけ真面目な顔になった。


「でもね、そういう人の方が“本当に強くなる”こともあるんだよ」


「……どういう意味?」


「それは行ってからのお楽しみ」


にやっと笑う少女。


そして、手をひらっと振った。


「それじゃあ、いってらっしゃい」


「え、ちょ、まだ心の準備——」


次の瞬間、俺の意識は再び暗闇に沈んだ。

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