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超獣戯画Ⅱ  作者: 纏笛


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第70話 決闘

 一通り記憶を見終わった後、まず第一声を発したのはロウだった。

「こんなの……嘘だ。私は信じないぞ。貴様ら記憶を書き換えたな」

 だが、リクが反論する。

「記憶を書き換えるなんてできないよ。これは正真正銘彼の記憶だ。記録師は記録の改ざんをすることはできない掟がある」

 サラが続く。

「受け入れ難いのはわかりますが、今の記憶はなぜ人間に王が殺されたかを矛盾してなく説明しています。王の協力なしでは、この子は王を殺すことなどできません」

 ロウは動揺を隠せずにいた。

――あの記憶が本物な訳はない……。だがたしかに自分で死を選んだのならこの子供に倒されたのも……。

 しかし、その事実を認めてしまうと、自分のしている事に躊躇いが出てくるのをロウはわかっていた。ロウはゆっくりとマリウスを見た。

 彼は震えた表情をしていたが、先程までと違い、どこか覚悟を決めた表情をしていた。

 ロウは尋ねる。

「お前は、今、王なのか」

 マリウスはゆっくりと頷いた。

「では、王がなぜ、死を選んだかその理由も知っている……そういう事だな」

 マリウスは頷いた。

「なぜだ。なぜ王は死を選んだ」

 マリウスは周りを見て首を振った。

「それはここでいうことはできません。次の王だけが、知るべきことです」

 思いがけない反応に周りの動物は怒った。

「何だ。こいつは!」

「ロウ、早くこいつを殺してしまえ!」

 だが、ロウはじっくりとマリウスを見つめて、周りを制した。

「ならば、王になろう。私との決闘を受けろ」

 動物達が同意する。マリウスはゆっくりと立ち上がった。町長がそれを制止する。

「待て、危険すぎる」

 マリウスは首を振った。

「もう、ここまで来て逃げられません。俺は何であれ自分の都合で王を殺したんです」

 マリウスはしっかりと町長を見つめていった。

「自分のする事には責任を持てって母さんがいつも言ってました。俺は責任を取らなきゃ行けない」

 そういうと、マリウスは町長を押し退けて、ロウの前に立ち、腰の剣を抜いた。

「王として受けて立つ」

 ロウはうなずいた。すると周りの動物達はロウの周りから引いていく、町長は必死で止めようとしたが、動物達が立ちはだかって通さない。

 ロウはマリウスを見つめると、グッと足に力を入れて飛びかかる。マリウスはロウの角が向かってくるのを間一髪でかわしたが、その場に倒れ込んだ。

 ロウはあえて追撃せず、マリウスが立ち上がるのを待つ。マリウスは、立ち上がると、また剣を構える。

「どうした。かかってこい」

 ロウの呼びかけに、マリウスは覚悟を決めると、剣を振りかぶり、ロウに切り掛かった。しかし、ロウは角を一振りして、その剣を簡単に弾いた。

 弾かれた衝撃で、マリウスはこけて剣を手から離してしまった。

 ロウは瞬時に回しげりをして後ろ足でマリウスの体を蹴り飛ばした。マリウスはなんとか腕で防いだが、そのあまりの蹴りの強さに吹っ飛んだ。

 倒れ込んだマリウスは血を吐いた。ロウはマリウスの前まで行くと、ふうと息を吐く。

「終わらせる覚悟があるのは認めよう」

 そういうと、ロウは角を構えて、とどめを刺そうとする。しかし、町長が大声で叫ぶ。

「もう勝敗はついた。ロウ! お前の勝ちだ。もうやめるんだ! その子を殺してどうする!」

 だが周りの動物達は促す。

「殺せ! そいつは王を殺した!」

「やめろ。もう十分だ。お前が王だ。その子を見逃してやれ!」

 ロウは町長に返す。

「確実に殺さなければ、王の権利がうつらないかもしれん。危険は侵せない」

 マリウスはどこかあきらめたように、ロウを見つめていた。吹き飛ばされて衝撃で服が破れて、彼の体から背中と腹の一部が見える。

 その瞬間、サラは動物達を飛び越えて、決闘の輪の中に入った。そして迷う事なく、持っていた銃を構えて引き金を引く。銃弾はロウとマリウスのちょうど間を分つように通った。

 マリウスに狙いを定めていた王は驚いて避けて、銃弾の飛んできた方向にいるサラを見た。動物達は怒り狂ってサラを狙おうとするが、ロウがそれを止める。

「どういうつもりだ。女」

 サラは銃を構えたまま話す。

「あなたの懸念は王の権利が移らないこと。だから彼を殺すのだと、そう私は理解しました。そうですね?」

 王は頷いた。

「であれば、できるかもしれません。彼を殺さずに王の権利をあなたに移す方法が」

 マリウスはゆっくりと顔を上げた。

「どういうことだ」

 サラはマリウスを見る。

「あなたのそれ、王になってからよね」

 マリウスは尋ねる。

「それって……?」

 サラは意を決したように言う。

「その入れ墨よ。背中とお腹から見えてる」

 マリウスの破れた服からははっきりと、入れ墨が見えていた。

「それがどうしたと言うんだ」

「王になってから、自然とできたものでしょう?」

 マリウスは恐る恐る頷いた。

「ずっと疑問を持っていたの。王はどうやって王の力を得るのか……。あなたのそれを見てようやくわかった。王には入れ墨が出るのね?」

 マリウスは頷く。ロウは知らなかった事実に驚く。

「だが、結局のところ王を決める条件がわからなければ、その模様がちどうやって出るのかもわからないだろう」

 サラはマリウスを見る。

「その入れ墨動かせるんじゃない?」

 マリウスは驚いた。

「どうしてそれを?」

 サラは自身の赤い入れ墨の位置を動かし、顔に持ってきて見せた。

「おそらくあなたの入れ墨は私と同じ種類のものよ」


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