第7話 手記3日目② 酒場での情報収集
その日宿に戻った後で私は、如何にファンネルの特殊な攻撃を掻い潜るかを考えていた。
あの衝撃波の範囲はおそらくかなり広い。
おそらく私の最大射程の武器、ショットガンによる射撃でもファンネルの衝撃波と比べるとかなり劣ってしまう。
今回のようにファンネルが縄張りに入るときなどに先に衝撃波を使われればこちらの攻撃の前に気づかれる可能性が高いだろう。
上記の二つの点から得られる対抗策はそもそもファンネルに衝撃波を使わせないか、使われても気づかれないか、もしくは気づかれても倒せる算段をつけるのみだと思われた。
町長は今日会った時にもう一つ、『王についている獣たちが殺気立ってきているようなので出来ればこの三日以内でけりをつけて欲しい』と私に言っていた。
今回の狩りについてはやはりもう少し時間が有ればそこまで難しい狩りではないが、いかんせん時間がないことがどうしても難易度を引き上げてしまう…。
後3日のうちに有効なかいくぐり方、と狩り方の二つを見つけて実践しきらなくてはならない。
その日は夜まで狩りのシュミレーションを行うしかなかった。
夜、ご飯を食べに酒場に赴くと、知り合いになった街の住人達と相席する事になった。
彼らは優しく私を迎え入れてくれる。
ファンネルについて尋ねると、その中の一人、カミルさんという中年の恰幅のいい男性が気になる事を言っていた。
「ファンネルはああなる前は人間にはとても好意的な獣だったんだ…。
正直街のみんなは戸惑っているよ。前任の王が人間に優しかったのもあって、みんなはファンネルに山で会うと手持ちのエサをあげたりしていたんだ。ファンネルも私らと同じように人間にも心を開いてくれてると思っていたのに…」
ファンネルが白い獣になり出した時期を尋ねると皆んな『ここ、2.3ヶ月だ』と言っていた。
ファンネルの年齢も聞くことができた。
おそらく、『9〜10歳のはず』だそうだ。
クバレノ山のふもとの森、私がファンネルたちと戦ったあの森は通称リール―ブールの森と呼ばれていて、獣たちの寿命も普通の動物と比べると長いということも今日の会話の中で皆が教えてくれた。
「今みたいに白くなって角が生える前に、一時期見ない時があったから死んじまったのかと思って心配してたんだけどなあ」
と一人が言ったので、私は少し気になっていた事についてきいてみた。
「なぜあの鹿がファンネルだと分かったのです?」
すると皆の中で年老いた男性、コルボタさんが教えてくれた。
「一番は目の色じゃな。ファンネルの家系は少し特殊なんじゃ…。他の普通の鹿は茶色じゃがファンネルの家系の鹿は皆きれいな青色をしておる。襲われた人は皆、あの青い目の色を見てこいつはファンネルだと確信したんじゃ」
「ファンネルの親戚だったり、他の家族では?」
「それはありえん…。ファンネルの親や上の世代は確かもうほとんど死んでおる。近い世代も前回のなり替わりの時にファンネル以外はいなくなったと聞いとる」
わたしはそれを聞いて、自分もあの青い瞳が気になっていて覚えていたので納得した。
その日は帰ってからまた少しファンネルについての対策を練った。
そしていくつか出てきたアイデアをメモにまとめておく。
明日は今日まとめたアイデアをベースに実際にファンネル相手に検証していくことに決めて眠りにつくことにする。




