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超獣戯画Ⅱ  作者: 纏笛


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第63話 手記 五日目-八回目③

 今日もし、この仮想現実の仕組みが終われば、彼に接触するのは逆にかなり難しくなる。今のうちに得れるものを得ておきたかった。

 研究所に行くと、奥からラビルが現れる。

「最近よく会いに来てくれますね。」

 と笑顔で嫌味を言いながら、外に出て来てくれる。近くの木の下に腰を下ろすと私の顔をゆっくりと見つめた。

「で、何を知りたいんです?」

「覚醒した獣についてです。なぜ彼らはあそこまで強くなるのですか?」

 ラビルは少し考える。

「実は具体的な仕組みのところは私もそこまで詳しくないんですよ。どっちかというとこれはあの人の得意分野でね……」

「あの人というのはもう一人の?」

 ラビルはうなずく。

「あの人と僕は得意分野が違うんですよね。僕は獣達の覚醒後の能力のデザインだったり、強化に通じていて、あの人はどっちかというと中身……。覚醒のさせ方や、伝承型にする際の組み合わせ方なんかに通じているんです。だから今の獣がどうしてそうなったか、みたいなそもそもの問いは僕向きじゃない」

「あなたは何も知らないんでずか?」

「僕が聞いたことがあるのは基礎的な部分だけですよ。せっかくなのでそこだけでも話しましょうか……。あの人によるとあの瘴気ってのはそれ自体が生命体なんだそうです。でも仕組みが他の動物とはまるで違う……。あれは他の生き物の感情に反応するんです。そして反応があった動物の体を変化させる。しかし、そこまで強く反応するにはかなり強い感情でなくてはなりません……。例えば強い憎しみの感情とかね」

 そこでラビルは一度言葉を区切った。

「強い感情を持った時に瘴気が近くに発生していると、その生き物は覚醒まで至ります。その感情が例えば憎しみであれば、瘴気は黒くなり、誰かを守りたいや、生き延びたいなどの感情を抱くと白くなる……。そして瘴気はその動物の望みに応じて。その目的をかなえるために体を変化させるのです……。だから一言で言えば、望みをかなえるための姿に進化したから強くなったということなのでしょうね」

 私はなんとなく納得した。

「もう一つだけ、なぜ伝承型は心臓部分が体にないんですか?」

 ラビルはうなずく。

「気になるところでしょうね。伝承型はご承知かと思いますが、複数の獣の生命の組み合わせで作られています。その際にそれぞれの核の部分を覚醒時に融合させる必要があるんです。しかし、そうすると一つ問題が起きます。」

「問題?」

「作ろうとする体に対して、心臓部分が大きすぎるのですよ。それを維持するためにはより大きな体にする必要がありますが、それでは効率が悪い……。そんな時に気づいたのですよ。心臓部分とは別に『体』をもう一つ作れるということにね」

「それはどういう仕組みなのですか?」

「彼らの体はね……離れていても見えない瘴気でつながっているのです。瘴気は濃度が濃いと肉眼で確認できますが、薄くなると見た目はほぼ空気と変わりありません。そうなると繋がっていても私たちの目には見えないのです」

「とすれば、そのつながりを断つと、伝承型は倒せるのですか?」

 ラビルは首をふった。

「大事なのは心臓部分の方なのです。全ての情報はあそこに詰まっている。

 いくら繋がりがなくなっても、心臓部分が機能している限り、繋がりが戻ればまた動き続けます」

 私はずっと追い続けていた、獣たちの仕組みの真実にようやく触れているような気がした。

「この繰り返しの町について、気になっていることがあります。動物たちはどういった形で参加させているのですか?」

「彼らは皆んな記憶ですよ。ロウだけ王の役をやらせるために参加させていますがね。この瘴気は森には張らせていないんです。今眠っているのは、町の人間のみですよ」

「覚醒した獣達はどうしているんです?」

「彼らは皆町を包囲していますよ。瘴気を街に充満させるためにね……。まあ包囲している理由はそれだけではありませんが……」

 私はなんとなく察した。おそらくこの繰り返しが終わる時、動物たちは町に総攻撃をかけてくる。それをラビルは今暗に告げていたのだ。

「王殺しの犯人さえわかれば、その人だけ獣側に差し出すことで、町の獣との衝突は起こらないですよね……」

 ラビルは微笑む。

「さあ、それはどうでしょう……。どのような形であれ衝突が起こることを危惧して町長はあなたを雇ったのでしょうしね」

 私は一旦、欲しい情報は全て手に入れたので、ラビルの元を去ることにした。

 去り際ラビルは、私からの情報共有がないことに少し嫌味を言った。

「ここまでたくさん教えたのに、なんの情報もなしですか……。まあ気が向いたら教えてください……」

 私は一旦、宿でリクと合流して、ラビルから聞いた話を記録させる。リクは、

「ラビルは本当に獣を作っている人なんだね」

 と驚いていた。そのまま私達は夜ご飯のために酒場へと向かう。酒場へ到着するとそこにはまだ聖獣隊の人間はついていなかった。

 例によって私は町の人からファンネルを倒した事を感謝されながら、席についた。

 みんなが話しかけてくる中で、ラフサルさんを見つけると。私は一段落してからラフサルさんに話しかけに行った。



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