第59話 停止した時間の中で
貢物の小屋の周りにいたロウは突然世界が止まったことに少し驚いていた。
――これは、なんだ?
そこにラビルが現れる。
――すいません。突然止めてしまって。
ロウは、狼の姿のまま話す。
――何が起きた?
――実は町長の居場所が解りましてね。
ロウは目を見開いた。
――どこにいる?
――どうやら彼の気にかけている人間の家のようです。私達で彼の記憶を回収しに行きます。
ロウは凄む。
――どこにいる? と聞いてるんだ
ラビルは苦笑する。
――聞いたら、殺しに行ってしまうでしょう。正直まだそれを望む段階ではないのですよ。
ロウは苛立つ。
――それを決めるのは私だ。お前ではない。
――ラビルはロウの感情の変化を感じていた。
(いつもの冷静さが失われてるんな……。無理もない、探していた獲物が目の前だからな。)
ラビルは語り出す。
――おそらく……町長の記憶では全てにたどり着けない可能性もあります。一旦見てから、そこでそこで全てを判断してほしいのです。
ロウは苛立っていたが、少し逆に興味が湧いた。
――どうしてそこまで真実にこだわる?
ラビルは少し悲しそうな顔になる。
――復讐を昔、したことがあるんですよ。姉を傷つけた男でした……。した時はスカッとしたもんです。相手の苦しむ顔が爽快でね……。でも、後になって……正確にはやったすぐ後にわかったんです。彼はずっと姉を守っていた側の人間だったってね。
ロウはラビルの方を向かずにただ聞いていた。
――復讐を促すほどの強い感情は賢いものもバカにしてしまいます。普段の俺ならそんな勘違いは絶対しなかった。でも復讐できるとという渇望や、憎しみが思考を単調にするんです。
ロウは特に何も返事をしなかった。
――私は一応覚醒した動物の専門家です。あなたはおそらく見てきた中でもかなり賢い……。私はただそんなあなたが愚かな行いをするところを見たくないだけですよ……。
ロウは一度黙った。そしてゆっくりと喋りだす。
――次はないぞ。
そしてロウはその場をさった。ラビルはほっと一息つく。そしてふと目を閉じた。再び目を開けると、そこは小屋ではなく、町の研究室の一室になっていた。
そこでラビルはつけているヘッドフォンを外す。するとその部屋に研究員が入って来た。




