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超獣戯画Ⅱ  作者: 纏笛


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第57話 手記 五日目-七回目①

 起き上がると、何か夢を見た記憶がある。ただそれは私自身の夢というよりは、誰か他の、町長をよく慕っている人間の記憶を見ているような感覚だった。

 夢の中で町長は王が殺された後にリンカの実がある小屋に入っていて、私はその町長に何か疑念を抱いていた。私はなんとなく、これはラビルが見せてくれた町の人の記憶なのではないかと感じていた。恐らく同じものをロウとラビルは見ているだろう。となると、彼らは恐らく、町長の居場所を最優先で探すだろう。

 この展開の場合、私がすべきは、町長の居場所のヒントを繰り返しの中で探ることのような気がした。

 結局のところ、全員の願いは立場は違えど王殺しの犯人を捕まえるということで一致している。私もそこの手助けをするより他なさそうだった。

 一旦起きて、身支度を整えると、今日は真っ直ぐに町長の職場である役所へと向かった。

 役所に入ると受付の女性が出迎えてくれる。

「今日はどのようなご用件で?」

「用件というよりは、町長のことについて少しお尋ねしたくて……町長のご自宅、役所以外で彼がよく行く場所ってご存知ですか? もしかすると、今日の夜に少しお伺いするかもしれないので、よく行く場所などがあれば事前に伺っておきたいのですが……」

 受付の女性は少し考え込む。

「そういったことでしたら今のうちに約束されておいた方がいいのでは?」

 私は首を振った。

「いえ、必ずお伺いするということでもないので、よくいらっしゃる場所を知らせていただければ、私の方で勝手に順に回ります」

 女性は考えていた。

「そういうことでしたら……。正直申しまして、

基本的に町長は夜でも仕事をされていることが多いので基本的には役所にいるかと……あとは……。ねえ! リアム? ちょっといい?」

女性は奥に向かって呼びかけていた。奥から男の職員が現れる。

「どうした、レリア? お客さんかな?」

 レリアはうなずく。

「町長の夜の居場所が知りたいそうなんだけど、役所以外で心当たりある?」

 彼は一瞬何かを迷っているような表情をした。

「うーん。役所以外は知らないなぁ。とりあえず用があったら役所に来てもらえればいいさ。遅番のミコトが要件を受けてくれるだろう。」

 なんとなく彼が何か知っていそうな気がして、瞬時に刺青を彼につけた。彼からは動揺している時の特有の汗が感じられる。

「わかりました……。一旦そうしますね……獣に関することなので、一応わかればすぐにでも町長にお伝えすべき話なのですが……」

 あまり演技は上手い方ではないので、成功率は高くはないと思っていた。こういう時に、レンドさんの能力が羨ましく思う。情報を得るのに彼の耳の能力は便利すぎる。

 私たちは、嘘までは能力でわかるが、直接的な情報はこういう場合手に入れづらい。

 とりあえず悩んだ表情をリアムに見せて一旦役所から出ていくことにした。出て少し歩いたところでリアムが走って追いかけてきた。

「ちょっと! 銀の爪さん」

 私が振り返るとリアムは息を切らせながらおいついた。

「多分なんですけど……リラさんのとこの牧場に……。最近は様子見がてらいることが多いんです」

「リラさん……というのは?」

 彼は複雑な表情を浮かべる。

「町長の大切な友人だとお聞きしています。最近スディラにかかってしまって、様子を見に行っている事が多くなっているんです」

「そうだったんですね。スディラならば、リンカの実で治せるのではないのですか?」

 リアムは首を振った。

「いえ、今年はかなりスディラが出回ったこともあり、在庫もそこまでなかったのです。しかも彼女はエ型なので、リンカの実の使用量も多いそうで……。彼女と話し合って使わないことにしたと聞きました……」

 私はこの情報が今回の問題の根本に繋がっているのではと感じた。もし仮に町長が、親しい友人のためにリンカを手に入れようとして、王と争いになったのであれば王殺しに加担することもあり得る。

 だがそう考えると一つ疑問が残る。もし彼がリンカの実を奪ったのだとしたら、数が合うのはおかしい。私が見た記憶中では町長と一緒に在庫を確認していたが、そこでは数が合っていた。

 それに、もし仮に町長がリラという女性を救うためにリンカの実を奪ったのだとすると、それで仮に助かったとして、他の町民達は不審に思うだろう。とすると今確認すべきは……。

 私は一度宿に戻りご機嫌斜めのリクに話しかける

「リク、ごめん確認したい記録があるの」

 リクはしぶしぶ頷いた。

「この町のリラという人が今どうなっているかわかる? 最低でも生死が分かればいいのだけれど」

 リクは検索を始める。

「リラさんは……もう死んでるね。ちょうど一年前に」

「そう……死因とかわかったりするの?」

 リクは頷く。

「スディラって書いてあるよ」

 私は考え込んだ。もし、町長がリラのために薬を盗んだとしたら、使って死なないはずだ。しかし、実際は死んでいる……。ということは、町長はおそらくスディラを使わなかったのだ。

 そこで、私はちょうど一年前にというところが気になった。

「ちょうど一年前……そう言った?」

 リクはうなずく。

「そうだね、一年前の日の夜中に死んでしまったみたいだよ」

 それを聞いて、私は一つの仮説が思い浮かんだ。もし町長が助ける前に、彼女が病で死んでしまっていたとしたらどうだろう……。であれば彼の行動にも合点が行く。

 な薬の奪取を試みて成功したが、彼女がすでに死んでしまったことがわかり、薬を戻した……。

 だが、これでも、王殺しやいくつか完璧に起きたことを説明できない部分がある。

 在庫の管理をしている町長がわざわざ、森の小屋までリンカの実をとりにいくだろうか……。

 ひとまず、私はリクを連れてラビルの元へと向かうことにした。おそらく、彼に町長の情報を渡して、現実で町長の記憶を直接回収してもらえれば、この疑問にも答えが出るはずだ。


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