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超獣戯画Ⅱ  作者: 纏笛


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第38話 手記 五日目-六回目④

 私は町で会う人皆んなにこっそりと入れ墨を移したり、すれ違い様にこっそり触れてみたりした。町の人間の大半には触れた時の違和感はない。

 そうこうしているうちに、クロムさんと双子の兄弟が商売をしているところまで近づく。

「これはサブァル地区の野菜にこっちは果物ね。ここは寒いからけっこう腐らず保つだろうさ。それと、今日の目玉は香辛料だ! 肉は腐らないし、料理にも使いやすい! この価格で仕入れるの苦労したんだぜ。今日仕入れたもんはどれも新鮮だぞ……。その証拠にほら!」

 昨日と同様に果物の甘い匂いがあたりに広がる。

 私は確認のために双子にも入れ墨を飛ばしておく。そして違和感のないことを確認すると今度はクロムさんに飛ばす。やはりクロムさんの時だけ違和感がある。

 この要領でどんどん町行く人間の中で違和感がある人とそうではない人の整理をしていく。

 町の中心から少しずつ離れて、森や山のある方向に進んでいく時に、バンメウとすれ違う。

 私は彼にも同じように入れ墨を移してみるとクロムさんとはまた別の違和感があった。

 今までの違和感を『触っているのにここにいないように感じる違和感』だとすれば、いわばこれは『多すぎる情報量から来る違和感』だった。

 何だろうこの違和感は……まるで、実体に何かが重なってるような二重の厚みがあった。

 そのまま続けて行くと町の中のおよそ五人に一人程度の割合でバンメウと同じ種類の違和感を感じる事がわかった。

 違和感のある人の中には初日に会ったマルケタさん等の牧場の人間の他に、反獣王派の人間が多く含まれている。

「何か、確かめてるの? 」

 私がいろんな人を触って確かめているので、リクも流石に気になったのが聞いてきた。

「触り心地が普通の人の感覚じゃない人達がいるの」

「どんな風に違うの?」

「何か、重なっているような……そんな」

 私は言い出しながらある事に気づく。

 もしかすると彼らは本当に二つが重なっているのではないか? 一つは『生身の肉体』……触っても何も違和感を感じない。もう一つはクロムさんのように触っても『生身のものとは思えない暗い薄い感覚を覚えるもの』……この二つが重なっているとしたら?

 違和感があったバンメウは実際に前までの繰り返しと違う行動をとっていた……。

 この二つの要素から導き出される結論は『二重の違和感』と『時の繰り返し』の更新方法はつながっている。

 ここは、一年前の世界を擬似的に再現していて、その世界にある程度私たちは自由意志を持たされた状態で強制的に参加させられている。

 だがそれだけでは王が殺されたのかまでたどりつけないので、それに本当の記憶を上書きしているのではないか……。そしてその上書きが行われていた人間は先程のような二重の触り心地になると考えれば筋が通る。

 私は一度整理のために、リクにこの町の全ての人間のリストを出してもらい、町の人の誰が違和感があるのかきちんと明示的にしてみた。

 リクは面白そうにこの作業を見ていた。

「違和感のある人は固まっているんだね。反獣王派に薬作ってる人に、聖獣隊……山によく行く人みたいだけど……」

 私はそれを聞いてハッとした。

「そうか、みんな王の近く、つまり山に入る予定が多い人ばかり集められているんだ」

 リクはまだ繰り返しの事も王が殺される事も知らないのでキョトンとする。この繰り返しの狙いは、『王を殺した犯人を突き止めること』

 だからこそ上書きの対象は王を殺しそうな人間、反獣王派や薬の取り扱いをしている人間など、山に入る確率が高い人間が選ばれるので人に偏りが出るのだ。

 だがそう考えると、一つ疑問が湧く。私はその疑問を確かめるべく町長の元へむかった。


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