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超獣戯画Ⅱ  作者: 纏笛


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第37話 手記 五日目-六回目③

 気がつくと私はベッドの上で横になっていて、リクが心配そうにこちらを覗き込んでいた。記憶を見ることに集中しすぎて、出力を上げすぎていたのだ。

 一度手を見て感覚を確かめる。

「ごめんなさい……。待ち合わせからどれくらい経った?」

 リクはほっとした表情になる。

「三十分くらい待っても来なかったから、宿の人に言って部屋を開けてもらったんだ。そこから二時間くらいたったよ」

 だいぶ眠ってしまったらしい。出力の出し過ぎで意識を失うのは、銀の爪の修行時代以来だった。脳の容量をかなり使うので、こうなった後はいつも頭痛がする。しかし、欲しい情報は得た。

 やはり王は殺されたのだ。そして、獣達はその犯人を探している……。

 私の本来の依頼は王の死によって害獣化した獣の狩り……。

 一点だけ記憶には引っかかる部分があった。『昔一度銀の爪には依頼して……』町長はそう言っていた。一年前なのでその獣狩りはおそらく現役だ。とすると……。

「リク。ごめんなさい一つ聞いてもいい? この町で銀の爪が狩りをしたことはある?」

 リクはゆっくりと目を閉じて記録を探していた。

「あるよ。ちょうど一年前、銀の爪のレンドがここで狩りをしてる。鹿を元にした拡大型の害獣だったとあるね」

 やはりそうか……。私は一度自分の荷物の中の記録を漁ってみた。普段は持ち歩かないが、私たちは、倒した獣についての記録をつけ、それを長のもとに届けて蓄積しておく。

 普段は最近の狩りの記録のみを持ち歩くが、記録師と働くにあたり、長は一度銀の爪が倒してきた全ての獣の記録を記録師に提供したのだ。これによって私たちは記録師と共に狩りをする時は昔の記録を見れるようになった。

 思い返せばたしかに、レンドさんが一年前ここの獣を倒したという話を聞いた覚えがある。

 それを私が忘れていた事が信じられなかったが、もし仮に覚えていれば全く同じ状況な事に違和感を覚える筈だ。やはり何かしらの記憶操作が働いていたと思うべきか……しかしそうなると、なぜ繰り返しの記憶操作のみが効果がなくて、この記憶操作が効果があったのかがいまいちピンと来なかった。

「ねぇリク。レンドさんがここで狩りをした記録の詳細はわかる?」

「うん、紙はある?」

 私が白紙の紙を渡すと、彼はおもむろに自分の懐から小さいボトルを取り出した。そしてそのボトルから黒い液体を垂らすと、それは紙の上で丸い塊になった。リクはボトルを横に置くと目を閉じてその黒い塊を一気に手で押しつぶした。黒い液体が紙に飛び散ったが、飛び散った後をよく見ると紙にきちんとした一枚の記録のように文字が黒い液体で染み付いていた。

 私は彼の能力に少し驚きながら記録を見始めた。

 ファンネルの調査記録自体は私がした内容とほぼ変わりなかった。だが気になったのは倒した時の記録だ。

『……ファンネルは倒してみるまでわからなかったが、おそらく牡鹿だ。倒した後で死体を確認したが角や骨格を見ても牝鹿のそれではない。』

 私もこの点はずっと気になっていた。だが、これが直接的にどの部分に繋がるかはわからない。

 とりあえずファンネルは一年前にレンドさんに殺されたことは分かった。

 時の遡りの中の世界では銀の爪なのでおそらく私がレンドさんの役割にあてがわれたのだと推測できる。だからあの時小屋で王は、

「お前はここにいるべきではない」

 とそう言ったのだ。

 私に与えられた役割はただファンネルを殺す事。彼らにとっては私も過去を再現するための駒に過ぎなかった。

 大体のことはわかったが、問題はそれを踏まえてここからどうするかというところだった。

 ここから抜けるには獣達の望み通り王を殺した犯人を突き止めるしがないだろう。しかし……気になる点は以前残る。

 その一つは獣達はどうやって『時の遡り』の内容を更新しているのかという点だった。

 少なくとも前回は私が見た事がなかった展開……反獣派のクラムが王を殺しに行こうとする展開が追加されていた。どうやってその追加を行なっているのだろう……。

 獣達だけでは人がその日に何をしていたかはわからないはず……。だとすると、人間側の情報を更新できる手段が何かあるはずだった。

 私はそこまでを考えると、一度町に出ることにする。リクは私の体を心配していたが、私は構わず彼を連れていった。


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