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超獣戯画Ⅱ  作者: 纏笛


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第35話 手記 五日目-六回目①

 起きるとまた強烈な違和感に襲われる。

 まずは、双子との会話……。あれで今が一年前の過去であるということがわかった。

 それに王とのやり取りから、王達は夜の森で起こる何かを確かめようとしている。

 極めつけはその後のクラムだ。彼の行動が私にある仮説を立てさせた。

『王は殺されたのかもしれない』

 王とその獣達はそれを確認しようとしている。だが仮にそうだとすると銀色の狼は王ではないということになるのか?

 この問いはおそらく、この世界の作りの根幹に関わる気がした。

 仮に何らかの形で仮想的な世界を作り、そこに町の人間と獣を強制的に参加させているのだとすれば……。

 王の言い方からして、おそらく私は現状寝ているような状況なのだろう。そうなると、おそらく他の町の人間も寝ている状態になる。気になるのが、その場合一年前にはいたが、現在は町にいない者をどうしているのかという点だ。それには死んでいるファンネルや、殺されたかもしれない王も含まれる。

 ここで思い出されるのが、違和感だ。今まで触れて強烈な違和感を感じたのは二回。クロムさんとファンネルの死体に触れた時だけ。あの時、本当の肉体に触っている感覚がしなかった。たしかに触れているのに、そこから読み取れる情報の質が他の人間や獣とは違っていた。とすると、王が死んでいるかどうかを確かめるのなら直に触れてみるのが手っ取り早いのかもしれない。

 しかし、王にはだいぶ警戒されていて、直接触れるという事は難しそうであるとことを踏まえると、何か計画を練る必要があるだろう。

 そこまで決めると、一旦いつものように外に出る。そしてラフサルさんに挨拶をした。

 相変わらず訝しむ表情をされる。ラフサルさんには一度、酒場で触れたことがある。たまたまだったが、その時には特に違和感は感じなかった。

 そもそも、この違和感。なぜ決まって、朝起きた時に違和感が強くなるのかを宿に戻りながら考えてみた。一つ思い当たるのが私たちの能力だ。

 私たち銀の爪の五感の感覚は寝ている時に圧倒的に強くなる。それは感覚制御が寝ている時はききづらいからだ。普段は感覚を制限しないとむしろ体の方がその圧倒的な感覚からくる情報量に耐えられなくなってしまうのでそれを刺青の力で制限させているのだが、寝ている時は制限が弱まってしまい、かなり敏感な状態になることが多い。

 これが原因か正確かめる方法は一つしかない。能力の制限解除だ。どの程度まで解除すれば良いのかわからないが、寝ている時の状態に近づければ、疑似的に朝起きたときと同じ状況を作れるので、そこで違和感を感じられれば、これが原因だと考えられる。

 そうと決まると、私は目を閉じて、右腕の刺青を回して調節しながら感覚を研ぎ澄ませた。途中で朝と同じような違和感が増してくる。

 そこからさらに感覚を研ぎ澄ませると、一気に違和感が襲ってきて、気持ちが悪くなる。

 違和感と向き合っていくと、自分の中に相容れない二つの情報がまざりあっているのがわかった。具体的に言えば、今私は右腕に触れながら感覚を研ぎ澄ませているが、その感覚に、時折、柔らかい布団に触れているような感覚が一緒に混ざって来るのだ。

 今度はその布団の感覚に集中してみる。おそらく私自身が現実世界で触れているのが布団なのかもしれない。寝ているとすればあり得る話だった。

 布団の感覚に集中すると、朧げながら、寝る前の布団に入る瞬間の映像が自分の脳裏に浮かんでは消える。これは記憶か……? あまりこの記憶におぼえがないが……。

 考えていた仮説の一つにもし仮に初日に寝た後からずっとこの世界にいるのだとすると、本来、初日については別の記憶があるのではないかというものがあった。

 もし仮に今入ってきた映像が本来の記憶なのだとするならば、この記憶改変は、仮想現実を作る能力の一部なのかもしれない。つまり、現実で目覚める、もしくは限りなく現実世界の感覚に集中してその能力から一時的にでも離れれば、記憶が戻る可能性があるかもしれない。

 そう判断するとそのまま感覚の出力を上げていく。自分の体が入り込んでくる情報の多さに悲鳴を上げ始めていたが、同時に朧げで一瞬だったはずの映像が連続した記憶として脳に流れ込んでくる。


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