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超獣戯画Ⅱ  作者: 纏笛


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第31話 手記 五日目-五回目④

――ここに来るなと言ったはずだ。

 心に話しかけられる経験は他でした事はないのでなかなか新鮮だった。

――『時の遡り』で、何を確かめようとしているのですか?

 王は不躾な質問に目を丸くした。

――『時の遡り』など知らぬとそう言ったはずだ。

 私は王の表情からやはり全て知っているとなんとなく確信した。

――貴方達は壁にも気が付いてる。

これは貴方達が仕組んだ事なのでしょう? 私は邪魔したいわけではありませんが、目的を知らなければかえって貴方達の邪魔をしかねません。

 他の動物達にも私の声が聞こえているのか皆んな顔を見合わせていた。王は周りを一瞥してざわつきを抑えさせると、私と再度向き合う。

――なぜ我らが仕掛けていると?

――壁の話をした時の周りの反応です。貴方は落ち着いていましたが、他の動物は動揺していました。

 王はため息をつく。

――目的を貴様に教える必要はない、仮に邪魔をしたくないのなら、大人しくファンネルの所に行けばいい。もしくは宿で大人しくしていろ。

 言い方から、やはり確かめたい事はファンネル周りのことではなさそうだった。

――今日本当は何があったのですか?

 今まで落ち着いた反応を見せていた王がピクっと反応した。

――なぜそんな事を尋ねる?

 王の視線から殺気がビリビリと伝わってくる。

――過去を何度も繰り返しているのは、今日起きた事の真実を確かめたいからなのではと、そう思いました。しかし、それが起きていないからあなた方は何度も今日を繰り返している。違いますか?

 王は私の質問にどう答えるか迷っていた。すると動物の一人が反応する。

――こいつ……やっぱり危ない……。殺すべきだ。

 その呼びかけに、周りの獣も反応して、私と距離を詰めようとする。王はそれを一喝した。

――待て。

 言われて獣達はしぶしぶ引き下がる。

――全く……まんまと乗せられて……俺達の反応を確かめるためにあえて直接的な言葉を使ったな?

 私は王の鋭さに少し驚いた。たしかに反応がわかりづらい王より周りの動物の方が反応がわかりやすいので、あえて直接的に言っている節があった。

――やはり……そうなのですね。何が知りたいのですか?

 王は首を振った。

――お前に教えるつもりはない。これは俺達の問題だ。

 私は疑問を呈した。

――私は既に巻き込まれているし、おそらく町の人も……。 もうすでに貴方達だけの問題ではなくなっているはずです。

 王はうなずく。

――正しくは私たちとあの町の人間の問題だ。お前はよそ者だ。もし仮に町から出て行って二度と戻ってこないと約束できるのであれば、ここから解放しても良い。

 かなり好条件に聞こえた。現状私はここから脱出する術を持たない。おそらく動物達側ではそれができるのだろう。この任務を放棄することにはなるが、無事に抜けるにはそれが最善に見える。

 だが少し気になることがあった。

――おそらく私の本来の任務はファンネルを狩る事ではないのですね?

 王は顔を逸らす。

 やはりファンネルは一年前の今日獣狩りに殺されたのだ。私は今回この町で別の任務を町長に与えられている。

――残念ですが、私には任務があります。今はまだそれが何かも思い出せてはいないですが……何も果たせていたない状態で町を出る事はできません。

 王は不快感を露わにした。

――自分の立場を理解していないようだ。お前の命も私達の手のひらの上にあるという事をわかっていない……。

 この能力が非現実を見せるものなのだとすると、現状の私はそれを魅せられている状態で、ほぼ意識を失っている可能性は高かった。

 だとするとこ脅しは、文字通り意識の失っている私に直接的に害を与えるものであることが推測できる。

――ではなぜ始めからそうしないのです? 私はよそ者ですし、貴方達の目的に害になる可能性はたかい。

 動物達は私の態度に痺れを切らし始めていた。

――こいつの言う通りに殺しちまえばいいんだ!

――そうだ、望み通りにしてやればいい!

 だが、王は冷静だった。

――この女は有名な獣狩りの一味だという。こいつを殺せば別の獣狩りが来てしまうだろう……。無駄な争いをしないために今こうしているのを忘れたか。

 私はいくら意思疎通が出来るとはいえここまで獣達の知能が発達しているとは思わなかった。正直普通の人間と話しているのとほぼ変わらない。

 王はまだしも他の動物までここまで知能が発達することがあるのだろうか……。

――邪魔をしないために、せめてどこに近づいてはいけないかを教えてもらう事はできませんか?

 王は少し考えた後に一言。

――森に近づくな。特に日が落ちた後は。

 と言った。

 私は一旦それ以上深掘りする事をせず、承諾する。王はそれで満足したのか、動物を引き連れてまた去っていった。

 王は私にヒントを与えた。『夜の森』である。今日夜の森で、一年前に何かが起きたのだ。

 獣達はそこで起きた何かの真実を確かめたがっている。

 その後町へ戻ると、また酒場へと顔を出す。

 ラフサルさんと例の如く知り合って、しばらくすると、聖獣隊が酒場に現れた。


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