表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
超獣戯画Ⅱ  作者: 纏笛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/77

第29話 手記 五日目-五回目②

「相変わらず、すげえなぁ、なまってないね腕は……」

 クロムは頭を欠いた。

「いんや、それほどでもね」

 思わず私は双子の面識がない状態になっているのを忘れて話しかけてしまった。

「軍か何かに入られていたんですか?」

 クロムは驚く。

「ん? あんたは?」

「私は銀の爪のサラと言います。先程のナイフ捌きお見事でした」

 カイが驚く。

「へぇ! 珍しい入れ墨してると思ったら銀の爪なのかい! やっぱクロムさん。見る人が見るとわかっちゃうんだねぇ」

 クロムは照れた表情をする。

「よせやい」

 カイが解説する。

「クロムさんは元々ミヤル地区の戦士だったんだもんな」

 ミヤル地区は確か元は帝国と激しい争いを繰り広げたアラム国の一部だった。先程話に出てきたバハム地区も元はアラム国の一部だ。

「アラムの戦士、道理で……」

 クロムは悲しそうな顔を浮かべる。

「俺はそんなたいそうなもんでねえ、たまたま生き残っちまっただけだな」

 アラム国は激しく争った分、帝国による統治も厳しくなった。戦士の大半は死ぬか散り散りになったと聞く、

「バハム地区の剣が多いんですね」

 店の商品をいくつか手に取ってみる。バハム製とあって質が高く、意匠をこらしたものも多かった。

 クロムは嬉しそうにうなずく。

「質がいいべ? その分値ははるからあまり多くの人が買うわけじゃえねえが、一生もんだからな。さっきみてえに買ってくれる人もいるさね」

「私もバハム製の物をいくつか使ったことがありますがここまでのものはなかなかないです」

 普段使い用のナイフ以外にも剣がいくつかあるのが目に入った。

「これは……剣……戦闘用ですか?」

 クロムはうなずいた。

「そうさ、まあこの平和な町だと買う人は少ねえけんど、獣狩りとか、聖獣隊が買っていく時があるさ。この地区の周りにはいい鍛冶屋がねえからなぁ」

 私はふと聖獣隊が引っかかった。

「聖獣隊が剣を買うんですか?」

 クロムはうなずく。

「彼らが剣を使うことはないと思うが、山に入る頻度が高えからなぁ。護身用だってさ」

「護身用ですか。確かにあの山の獣に襲われる事もあるそうですもんね」

 クロムはうなずく。それを見て今度はカイが返事をした。

「山の獣は手強いというからねぇ。王と町長が取引を始める以前はけっこう山に入った人が獣にやられてだって話だぜ」

 私は納得する。その後も双子やクロムの元にもひっきりなしに客が来ていた。

 少し離れていたところから様子をみていたが、二人は町にはなくてはならない存在のようで、品物を買いに来る人以外にも普通に話に来る人も何人か訪ねてきていた。

 そして時間がたち夕方が近づいてくると、双子より一足先に、クロムは店じまいを始めた。支度を終えると、クロムさんは双子に挨拶して町を去ろうとした。

 私は気づかれないように途中で入れ墨を飛ばして、見えない壁との距離をはかりながら後を着ける。

 クロムさんは見えない壁に到達すると、何事も無かったようにその壁をすり抜けていく。

 しかし、すり抜けたその後クロムさんの姿は見え無くなっていた。

 私は急いで見えない壁に近寄ったが、壁はその場所にあり、外には出れない。

 どういう事なのか一瞬わからなかった。

 なぜ、あの双子は見えない壁の向こうに行くことは出来なくて、クロムさんはできたのだろうか。おそらくここに謎を解く鍵がある気がした。

 両者の違いを考えると、一つ、考え着く要素がある。それが『移動が元々予定されていたか』ということだ。

 双子の方は今日はこの町に泊まるので、移動する予定はなかったが、クロムさんは今日そもそも移動する予定だった。

 これで元々移動する事が決められていた人間は外に出れる可能性が出て来た。

 そしてそう考えると『時の遡り』はこれから起こることを対象にしたものではなく、過去のいずれかの日を再現しているのではという可能性が私の中では高くなった。

 そして私の仮説が正しければ、それを起こしているのは動物達で、彼らは何かを確認したがっている。それをどう確かめるかだが……。

 町に戻ってクロムさん達がいた所に帰ってくるとちょうど双子が品物を片付け始めているところだった。

 そこで私はさっきの考えを検証することにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ