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超獣戯画Ⅱ  作者: 纏笛


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第25話 手記 五日目-四回目④

 とりあえず酒場に着くと、またラフサルさんに話しかけられる。

「聞いたぞ! あんたファンネルを倒してくれたんだってなぁ。これでまた森に入りやすくなる」

 私はラフサルさんに今までとは違う質問をする。

「ラフサルさんは街を出たりしないんですか?」

 ラフサルさんは私の質問に少し驚く。

「街を出る……か、ワシはこの街に生まれて六十年になるが、ほとんど街を出た事はないなぁ。この街で手に入らないもんは行商人が持ってきてくれるし……。帝国との付き合いが始まって以来商人も活発にうちの街に来るようになってるからなぁ」

 気になっていたのは壁を出入りできる人間がいるかどうか事だった。この街から出入りする商人に会えれば壁の謎を解く手がかりになるとわたしは考えた。

「商人の方に知り合いはいますか?」

「ああそれなら……」

 ラフサルさんが指差した先には二人組の男性が座っていた。そのまま彼らの席まで連れて行って紹介してくれる

 男達は双子の様で顔がとても似通っていた。驚いたのは挨拶のタイミングが二人とも全く同じなのだ。

『こりゃーラフサルさんじゃないですか!』

 ラフサルさんとは旧知の中のようで、二人はとても嬉しそうな表情をしている

「元気そうで何よりだ。しばらく会えてねえが、ブルグドは元気かい?」

 二人は同時に顔を見合わせて悲しそうな顔になる。

「いやー実は親父は足やっちゃってからは最近めっきりで……なあゴウ」

「まったくだ、年寄りは足やっちゃうとめっきり弱っちまうって聞いてはいたが、まさかあの親父がよう……」

 ラフサルさんは寂しそうな表情になる。

「そうか……ブルグドは元々この街の出でよう。

 街を良くしたいって商人になって物流を増やしてくれたんだが……」

 どうやらこの双子はラフサルさんの知り合いの子供のようだった。

「そいで今日はどうしたんです? ラフサルさん」

 双子の片割れが話を元に戻す。

「この人は獣狩りなんだが、なんでもこの街に来てる商人について聞きたいことがあるらしいんだ。聞いてやってくれるか?」

 ゴウと呼ばれた方の双子は私をじっくりみると

「珍しい入れ墨、獣狩り……あんたひょっとして銀の爪じゃないか? なあカイ」

 と言った。もう一人のカイが言われてこちらを見る。

「おー間違いない、銀の爪には女がいるって聞いたことがあるが、実際見るのは初めてだ。こりゃ珍しい」

 双子は私を物珍しそうに見つめるのでラフサルさんが嗜める。

「こらこら、あんまり失礼なことをするもんじゃない。この人のおかげで山に安全に入れるようになったんだぞ」

 ゴウは態度をあらためる。

「こりゃ失礼を、なかなか銀の爪にお目にかかれることなんてないので……お許しくださいますか?」

「大丈夫ですよ。皆んなそんな感じですからもう慣れました。それよりこの街に来る商人ですが……あなた達以外にもいるんですか?」

 二人は顔を見合わせる。

「俺たち以外だと……リブロ商会の奴らかなぁ。

 ここはラフサルさんの言う通り、俺らの親父の管轄の地域なんだけど、うちの管轄じゃ手に入らないもんもあるから、そういうのはリブロ商会の奴らに任せることにしてるんだ。多少値は張るけどなぁ」

 私は考える。ここで聞くべきは彼らがこの街に来る周期だった。

「いつも週にどのくらいこの街に?」

 ゴウが答える。

「俺たちは二日に一度は来るぜ。住んでる地域がここと近いからなぁ」

 私は続けて聞く。

「もう一つの商会の人たちは?」

「あの人たちはもっと遠い地域から来てるからなぁ。二週間に1回とかだよな? カイ」

「ああ、今日は珍しく街に来る日だったから、挨拶したぜ」

 私は驚いた。

「今日街に来たんですか?」

 私の驚いた表情に、双子は顔を見合わせる。

「そうだよ? ちなみに俺達もね」

 わたしは少し取り乱してしまった。

「壁は? 見えない壁はありませんでしたか?」

 二人は一緒に首を傾げる。

「壁? んなもんなかったけど」

 壁がなかった……まさか私だけが対象なのだろうかとこの時は考えた。

「そうですか……ちなみにその方達は宿に泊まるんですか?」

 カイが答える。

「ここで売る商品は全て売り尽くしたから移動するって言ってたような……」

 ロウがうなずく。

「いくつか街を回るっていうんで、夕方くらいには出ちまったぜ。まったく忙しいよなぁ」

「俺らは泊まって早朝出て行くけどなぁ」

 私は衝撃を受けた。街を出る事が可能なのか……。そこで試したいことが頭に浮かんだ。

 酒代を奢る事を条件に私は二人を街の入り口まで連れ出し、見えない壁の所まで辿りつくと、壁の外に行ってもらうように促した。

 二人私のいう事をあまり信じておらず、酒代をもらえるからとしょうがなく参加してくれた。

 だが彼らが一歩踏み出そうとすると、見えない壁にぶつかった。

「な、何だこれ? 進めねえぞ」

 ゴウもカイも二人とも外に出られないようだった。

「あ、あんた何したんだ?」

「そ、そうだ、どうせあんたが変な力使って俺たちをからかおうってんだろ?」

 私は首をふった。

「いえ、私は何もしていません。それに私も出られないのです」

 私も壁に阻まれていることを見せると二人は言葉を失っていた。着いてきたリクは楽しそうに壁に触れて遊んでいた。

 結局一度入ると出られないという事か? だが、リブロ商会の人間は夕方に帰ったという……。

 街にいないという事はやはり外に出れたのだろう。この差は一体なんなのかがわからなかった。

 昨日はなかったので明日はもしかしたら消えているかもしれませんと嘘をついて双子を落ち着かせると、私はリクを連れ、一度酒場に戻る。酒場に行く途中で反獣王派のクラムとすれ違った。


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