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超獣戯画Ⅱ  作者: 纏笛


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第16話 獣の王の過去 ~決闘~

イルクはバフルとの決戦当日を迎えると、バフルの待つ森の中央の開けた空間まで向かった。

その場所は決闘場と呼ばれていて長年の戦いによって木や草藪がなく、森の中で決闘におあつらえ向きの場所となっていた。

動物同士の争いなので、わざわざ決闘など申し込まなくても襲って狩ればいいのだが、その場合は周りの王の護衛の獣達に集団で襲われてしまう。

しかし、決闘を申し込まれれば、その決闘の間は他の動物達は護衛であっても手出しができない決まりがあった。

王は賢く、そして1対1でも他の動物に負けない強さがなければ王とは呼べないのだ。

決闘の場所へ向かうと、そこにはすでに多くの動物達がいた。

そしてその奥からゆっくりと猪のバフルが出てくる。

イルクの行く道も他の動物が空けてくれて二人は決闘場の円の中で向き合った。

衰えたとはいえバフルの王としての迫力は凄まじいものがあった。

一匹の猿が円の外で石を弾いたのを合図に決闘が始まった。

イルクは覚悟を決めると、バフルに向かっていく。

猪と鹿とでは正面からやり合ったのでは力に差があって勝てない事を彼はわかっていたが、あえてイルクは正面からバフルに突っ込んでいった。バフルも負けじと突っ込んでいく。

しかし2匹がぶつかる直前でイルクは大きく飛び、バブルの背中を踏み台にして飛び上がって決闘場の後方に着地した。

思わぬ攻撃にバフルはよろけたが、すぐさま体制を立て直すと、再度イルクに向かっていく。

イルクは間一髪でその突進を避けたが、少し掠ってしまい、右足を引っ掛けた。

いくら手負いとはいえ相手は百戦錬磨の王だった。

迫力も力も、これまでイルクが相対してきた獣とは訳が違った。

イルクがぐらついたのを見て、バフルは渾身の力を使って突進する。

今度はイルクは避けずに角でバフルの突進を受けた。

力でイルクは押されるが、ここは彼にとって避けては通れない道だった。

おそらく、衰えたバフルの攻撃を避け続け、その上で隙をついて勝つことは可能だっただろう。

しかし、イルクに必要だったのは圧倒的な勝利だった。

隙をつく勝利では威厳は得られない。

しかし、まともにやり合ってはバフルの力に押される。

そこでイルクが考えたのが初手の不意打ちだった。

イルクはバフルが後ろ足に怪我を抱えていることを知っていた。

実は最初の攻撃は背中を狙ったように見えて、その実背中に体重をかけさせて、後ろ足に負担をかけさせるのが狙いだった。

それにより、確実にバフルの後ろ足にはダメージが残っている。

この状態で正面からぶつかることがイルクの狙いだった。

ぶつかると初めはやはり押されたが、イルクも踏ん張って耐えて力を入れていくと徐々にバフルが押されていく。

後ろ足を満足に使えない分、踏ん張れないのだ。ついにバフルは耐えられず、後ろに尻餅をついた。

その瞬間をイルクは見逃さず、バフルの腹を足で踏みつけ、痛みを堪えて転がり横に転がるバフルを角で円の外に追いやった。

勝敗は基本的にはどちらかが死ぬまでだが、円の外に出て戻ってこれなければ、円の中にいるものが勝者になる。

バフルは王として、懸命に円の中に戻ろうと這いつくばっていたが、彼の後ろ足はもう限界で言うことを聞いてくれなかった。

そしてとうとうバフルがもがくのをやめる。イルクが決闘に勝った瞬間だった。

動物達の間で歓声が沸き起こる。特に自分の種から王を出した鹿達は飛び上がって喜んだ。

しかし、当のイルクは覚悟していた。本当の戦いはここから始まるのだと。

戦いを見ていたグロウは狼達を連れて自分の縄張りに戻っていった。


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