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遠くから聞こえてきた。
「お父さんとお母さんを大事にするんだよ」
ばあちゃんの声だ。
その直後、男が洞窟の入り口に着いた。
「おらよっと」
男は僕を投げた。
僕は吹っ飛んだ。
そして地面にたたきつけられた。
ー―いってえ。
そこは地下室だった。
地下室を出ると、騒ぎになっていた。
じいちゃんが死んだのだ。
お通夜にお葬式。
その間、僕はおんおん泣いた。
泣き続けた。
いくら孫でもこんなに泣くものかと、まわりが奇妙に思うほどに。
泣いたのはじいちゃんが死んで悲しいのは当然だが、それ以上にじいちゃんが死んだのは、僕の身代わりだからだ。
僕が三途の川で釣りなんかしなければ、じいちゃんは死ななかったのだから。
しばらくすると、さすがに落ち着いてきた。
そして僕はその間、地下室の鍵ずっと持っていた。
もう一度あそこに行くために。
あそこに行ってじいちゃんに会うために。
じいちゃんがあそこに行っていたのは、ばあちゃんに会いに行っていたに違いない。
そうだとしたら、僕がじいちゃんに会える可能性だってあるのだ。
そしてじいちゃんに会って謝るのだ。
僕の身勝手な行動でじいちゃんを死なせてしまったことを。
そしてお礼を言うのだ。
僕の代わりに魂を捧げてくれたことを。
それが今の僕にできる精一杯のことなのだから。
終




