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家庭菜園物語  作者: コンビニ
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3−6 イチャイチャ?

 解析の勇者とは見た物の再現方法や道筋を立てることができる能力とのことで実に地味ではあるが、今のこの世界の現状とは非常にマッチしている。

 トイレの解析も寝て起きた時には完了したようで、朝イチでメモの上に作り方や設計図など書き出しをしていた。

 

「兄貴、おはようございます!」

「おはよう。眠れたか?」

「寝れたました! 起きて解析が完了していたので他の進めている間にメモに出しちゃおうかなって」


 見てパッと分かるわけではなく、難易度によって時間はかかるらしい。

 寝てる間に完了するように、寝る前にやるのが一番効率的とのことではあるが、イメージとしては脳がバックグランドで稼働している感じで完璧に休まる時間ってのは少ないらしい。

 恵まれた能力だと思ったんだけど、思った以上に大変そうだ。


「畑仕事も手伝うっす!」

「そういうことならゴロゴロしていろ」

「いえいえ、働かざるものじゃないっすか?」

「その点で言えば十分に働いてるだろ。いいから、ここにいる間くらい好きに過ごせ」


 朝食には焼き魚と漬物、味噌汁の日本食セットを出したら大層喜んでくれた。

 味噌作りは始まっているが、ここまで美味しい味ではないとのことだ。


「大豆とかからの派生物は結構、解析が完了してるんですよね。ただ設備であったりが不十分で、ソースとかも解析していいですか?」

「好きにやってくれていいぞ。神様曰く、再現可能な物しか購入できないようになってるから、必要そうな物はどんどんやってくれ」


 ここへの滞在期間としても3日が限度らしく、勇者様というのは忙しいらしい。


「拠点もトヨナカさんとこに移動しようと思ってるんで年一では来れるようにしたいんですよ」


 なんだかんだで畑の耕すのを手伝ってもらいながら、世間話をする。


「帝国から家族ときてるんだったよな?」

「そうっす。皇帝が死ぬ前に色々と交渉して、俺がこっち側にレンタルされてる感じですね」

「また戻ることになりそうなのか? 今は皇帝が死にそうで危ないんだろ」

「正直いうと戻る気はあんまりないですね。俺の嫁とか配下とか納得してくれてるし、今の皇帝候補は微妙なんで」

「現在の皇帝が推してる、末っ子はどうなんだ? さくらさんへの土地提供の交換条件にまでしたらしいじゃないか」

「一言で表すのであれば、覇気がない、やる気がないって感じっすね。俺と同じ匂いがします」


 それはどう受け止めていいんだかわからんよ。


「俺も別に偉くなりたいとか、思ってなくてここでできた友人とか家族が安全ならそれでいいんですよ。でも皇帝ってなればそうもいかないでしょ」

「なるほどなー、どっちにしろ俺にとっては縁遠いっていうか、会うこともないだろうし、俺も自分と家族がいればそれでいいからなー」

「兄貴、それフラグっすよ」

「やめてよもぉー」


 聡介とキャッキャ戯れていたら、エリゼちゃんに白い目で見られてしまった。恥ずかしい。


「兄貴はここから出ないんですか?」

「俺は強くもないし、大福はここから出れないし、姉さんもここを気に入ってるからな。嫁は欲しいので紹介は大歓迎だ! できれば巨乳がいいです!」

「仙人みたいな暮らししてるんで願望がないのかと思ってましたけど、了解っす! でもほぼ隠居生活ですから兄貴の嫁になりたいって奴がいても兄貴の影響力を得たいとかそっち系が多いでしょうね。希望した相手がいたとしても子供が出来たらここから離れたりみたいな展開が予想できますね」


 俺の体目当てってこと! やめてよね! 俺はもっと純愛をしたいの!


「兄貴の希望を聞く感じ、一緒にここで暮らしてくれるような優しいお嫁さんが欲しいってことですよね? 中々難しいかと。意外と乙女っすよね」

「乙女で悪かったな。ついでに子連れでも許してくれる人を募集する」

「ハードルたっか。でも俺だったらそんな生活も悪くないって思っちゃいますけどね」

「聡介……」

「兄貴……」


 なんてふざけて爆笑してしまった。気心が知れた異世界人がいてくれるってのは悪くないね。

 

「にゃーん」


 はいはい、馬鹿なことをしてないで働きますよー。


「兄貴、夏になったらスイカも取れるんですか?」

「もちろんさ」

「来年は嫁と子供も連れてきていいですかね? 川沿いでバーベキューとか!」

「ああ……もちろんさ」


 後輩の願いとあらば、カッコつけて断ることができない。ぐぬぬ、来年にはエリゼちゃんもいないかも知れないんだぞ? 

 そうなればどうだ? モモが帰省してなければ完璧なるアウェーじゃないか!


「にゃーん」


 そうですね、姉さんと大福もいますからね。

 

「スイカだけじゃなくて、果樹園も完備して、美味いスイーツも食べれるようにしとくから期待しとけよ」

「マジっすか! 酒もお願いします!」

「なんだ、酒も好きなのか?」

「やっぱり娯楽が少なくて、嗜んでしまってますね」

「そうか、それなら早く言ってくれよ。ビールだったら最高の用意できるぞ」


 今日は楽しく晩酌だね。これを口実にエリゼちゃんにも一杯ルールは見逃してもらえるかもしれない。


「今夜は何にするかね。酒に合うだし巻き卵に枝豆とー」

「唐揚げが食べたいっす!」

「いいね! 今日は唐揚げにしよう!」


 唐揚げに大根おろし、だし巻き卵に枝豆も出そうかな。今日は居酒屋メニューでいこう!




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