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家庭菜園物語  作者: コンビニ
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3ー2 ハーブティー 

 モモが学校に向かったあと、数日してお茶畑のアンロックも完了した。

 それと一緒に購入できるようになった、【茶箱】を5万円で購入できたので、お茶関連の生育期間はまだだけど、茶葉だけでなくハーブティーも作成できるようなので、花壇で作っていたハーブを試しに作ってみることになった。


「これ、ハーブを選んで自動的に生成する以外に自分で量や種類を選んでブレンドもできるのか。これは面白い自由度だぞ」

「勝負しよう!」

「勝負?」

「どっちが美味しい茶葉を作れのか! 納得いくものができたらモモに送って判定してもらおう」

「パパである俺が負けると思っているのかね?」


 勝負となれば話は変わってくる。茶箱に入れた後の完成時間は1日かかってしまうので、普段であればモモに無駄遣いと怒られてしまうが、効率を求めてもう1つ茶箱を購入した。ハーブ王になるのは俺だ!


 自宅で育てられたのが、ミント、レモングラス、ローズマリー、タイム、ラベンダー、これをブレンドしてベストなティーを自作する。実に優雅な遊びである。


「私はフレッシュの方が好きではあるんだけど、ドライも嫌いではない」


 フレッシュ? なんだ、エリゼちゃん、そのわかってる風の余裕の笑みは?


「モモにはお姉ちゃんのお茶が最高だと言わせてみせます」

「は、謀ったのか、エリゼちゃん」


 ふふふ、と視線酌み交わしながら、怪しく笑っていると姉さんに何を馬鹿なことをしていると、少し引かれてしまった。

 気を取り直してまずは自動で作成ができるハーブティーを試してみることにした。

 今回、作成したのはミントとローズマリーをメインとして作られた茶葉。ルイボスとかは飲んだことあるけどこうやってちゃんとしたハーブティーを飲むのは初めてのことだ。


 まずは茶器からだでしょという話になって、エリゼちゃんとウキウキで茶器を選んでいく。

 こういう趣味の範囲っていうのかな? 茶器も贅沢品だし、選んだりしている時間が楽しい。

 ティーセットが5万円? まぁ4個もカップとソーサーがついている、2万円や1万円の物より好みではある。ついでにハーブティー用のポットも1万円でポチって見た。


「これ買っちゃうか!」

「いいと思う!」


 現れた茶器をワクワクしながら洗って、完成した茶葉を入れて、お湯を注いでいく。

 基本的な入れ方に沿って、少し蒸らして茶葉入れを取り出す。


「それでは飲んでみようか」


 エリゼちゃんが優雅な所作で口に運ぶのと違い、俺はお茶を啜る時のような音を出してしまい。

 エリゼちゃんに白い目で見られてしまった。だって所作とかわからないんだもん。


「香りといい、味といい、素晴らしいわ!」

「う、うん?」


 なんだろう、美味しいと思うんだけど、俺の舌が理解できない美味しさなんだと思う。

 緑茶や麦茶の方が……これが日本人に刷り込まれたDNAってやつなんだろうか。


「それではこれを見本に茶葉の研究に入っていきましょう。負けませんからね」

「お、おう! 俺だって負けないからな」


 どうしようこれ、バレないように自動で作っちゃうか?

 いやいや、不正はいけない、まだ時間はある焦る時間じゃないだろう。

 自分の感性を信じてハーブを混ぜてみよう。自動で入っていた量を参考にこんなもんか?


 

★★★



 それぞれに仕事をこなし、空き時間を見つけてはハーブティーの研鑽を積んだ。

 お互いに最高傑作であろう茶葉を用意してモモに送ることになった。モモもハーブティーを飲んだことないだろうし、見本として自動生成した茶葉も入れて、小分けした物を火の鶏に頼んで発送してもらう。


「完璧な出来栄えでした!」

「お、おう。俺だって負けてないぞ」


 正直最後まで味が理解できなかった。香りだけは良さげな感じで完成したので、香り特化で勝負に挑んでみることにした。エリゼちゃんは相変わらずの自信満々な態度だ。これがブラフなのか、いや、彼女にブラフって概念はない、ただの少しアホの子なだけだ。

 勝負に勝った者は1週間の水回りの掃除と、洗濯から解放される。正直家事なんて些細なもので、パパとして俺は負けるわけにはいかないんだっ!


 小分けした茶葉を包んで、さぁ、頼むぞと包みに名前を書いたものを入れていると身に覚えのない茶葉が1つ混じっていた。【サイゼスペシャル】ふん、片腹痛いわ。神よ、君も俺に挑んでくるということか。

 ハーブもどのくらいの価格になるのかって買取に回してたもんな。出たがりさんめ。

 一緒に壊れてもいいように勝った、茶器とポットセットを詰めた鞄を持って火の鶏が飛び立っていく。


 たまには休憩して、このお茶で一息ついてくれるといいな。



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