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家庭菜園物語  作者: コンビニ
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2−26 秋の桜と麻婆茄子

 若葉の願いもあって、さくらさんやガンジュさん、ソーズさん達に妖精の保護を依頼し、見つかったら教えて欲しい旨の手紙を火の鶏に依頼して送った。

 会えたとしても逃げられてしまう可能性もあるが、若葉が守りの木の葉っぱに書いた手紙を見せれば大丈夫なはずだとのことだ。その手紙を見せる前に逃げられることはないのかな?

 上手くいけば若葉を介して、協力を依頼できれば外の農業の発展にも繋がるし見つかるといいな。


 そんな妖精王という王様ではある若葉の部屋はモモと同室の状態が続いているのだが、クラフトのメニュー画面に【妖精の家】が追加されていた。居住可能人数が50名だが、素材を持ち出しでも値段が50万円と非常に高い。

 お茶の畑だって作りたいのに、ここまでのお金を現状で捻出は難しい。若葉もメニューに追加されたことは勘付いているようで、ねだられたが来年予定という話でなんとか納得してもらった。

 拗ねて、畑の手伝いをしてくれないのも困るしな。

 それにしても妖精の家がなんであんなに高いのだろうか。

 ただの小屋ではなく家具とかもついているなら、こんなものなんだろうか。


 麦に米、秋はやることが増えて忙しさが増す。今はモモやエリゼちゃんがいてくれるからいいけど、2人がいなくなったら家畜もいるし正直回る気がしない。

 1人従業員的な人を雇うか、手伝いをお願いする必要があるかもしれない。あとは嫁か!

 ソーズさんが紹介してくれると言った巨乳どうなってるんだろうか。手紙にさりげなく追記しておけばよかったなー。


 最後の米を収穫してあとは冬支度へと移行する。

 今年中には茶畑も購入して稼働させようと考えていたが、金額というよりも時間的に手が出なかった。

 どのみち、紅茶も日本茶も春だろうから、モモが学校に行くまでは収穫までして持たせてあげたいな。


「綺麗に咲いたな!」


 若葉がテンション高めにエリゼちゃんと花壇の手入れをキャッキャと楽しそうに行なっている。

 何種類かの花を試したいたが、最後に育てたのはコスモスのようで、満開となっていた。


「コスモスって言うんだって」

「うん! 美味い! 異世界の花は格別だな!」

「やっぱり、味が違うものなのか?」


 突然現れた俺に少し驚いたのか、2人揃って振り返ってくる。

 そこまで驚かんでもいいのに、お兄さんは悲しいよ。


「なんの用なのだ?」

「用件がないと声かけたらダメなのかよ」

「我は妖精王であるぞ! 下々の者が気安く声をかけてくるな!」

「俺はこの庭の管理者だけど、出ていくか?」

「若葉もユウさんも、喧嘩はやめてください」


 エリゼちゃんの仲裁が入ったので致し方なくファイテングポーズを解く。

 

「お父さんと若葉さんって、ちょくちょく戯れ合うよね」


 いつの間にかモモに背後を取られていた。

 戯れ合いではなく、若葉が喧嘩を売ってくるんだもん!


「お父さんも大人なんだから」

「……はい」

「若葉さんも敬意を払ってくださいね」

「はーい」


 こいつ本当にわかっているのだろうか?


「コスモス、綺麗に咲いたね。エリゼも丁寧に世話してたものね」

「うん! 若葉も手伝ってくれたけどさ、お姉ちゃんの腕前は上がっただろ!」


 エリゼちゃんがお姉ちゃん呼びをせたいようで、最近はちょこちょこ、こんな会話を挟んでいる。

 最近ではモモもエリゼと呼び捨てにしている辺り、仲良くはなっているようだ。

 俺は相変わらずエリゼちゃん呼びだけど。なんか距離はあるんだよなー。パパって呼んでくれてもいいんだよ?


「コスモスって言えば、秋桜って言われてるんだよ」

「お父さん、桜ってさくらさんの名前の由来?」

「そうだな。桜は木になる花で春の花なんだけどさ、コスモスは秋の代表的な花で形が桜の花と形が似ているから、秋の桜っても言われるんだよ」


 へーっと、皆んなで綺麗に咲いたコスモスを眺める。

 この世界には桜の木はないらしいので、育てられるようになるといいんだけど。


「花には花言葉ってのもあるんだけどさ、コスモスは謙虚とかだったかな」

「さくらさんとは真逆な花言葉だね。本来の桜の花言葉はなんなんですか?」

「純潔? とかだったかな」

「今では歪んでしまいましたが、旦那さんといた時は清らかな女性だったのかもね」


 ニート状態のさくらさんを見てから、相変わらずモモの評価は辛辣だな。

 苦笑いしかできないよ。


「はははは……そうだ! 今日のご飯は何にしようか?」

「今日は若葉さんに手伝ってもらって絶品のナスが取れたよ!」

「にゃーん」


 姉さん、いつの間に。麻婆茄子ですか、いいですね!

 

「今日は中華にしようか」

「ナスかぁ。実は少し苦手なんだよね」

「エリゼはお子ちゃまですね」

「まぁまぁ、好き嫌いは誰にでもあるよ。俺も昔は苦手だったけど麻婆茄子だけは食えたから、エリゼちゃんもチャレンジしてみない?」


 気持ちはわかる。今でこそ焼きナスとかめっちゃ好きだけど中学生くらいまでは苦手で食わず嫌いしていた。

 一緒に作ってみようと、エリゼちゃんを誘って、今日は2人で台所に立つ。モモが学校に行った後のことも考えて距離を縮めるためにちょこちょこ料理などを一緒にしている。


 俺は具が多いのが好きなので、長ネギにピーマンを追加して挽肉、メインとなる極上のナスを用意する。

 妖精王印のナスは実に美味そうだ。つまみに焼きナスも作らせてもらおう。

 豆板醤と味噌、あとは各種調味料に片栗粉、切って調味料を用意すれば混ぜるだけで実に簡単だ。


「美味しそうかも」

「そうでしょ! 少し味見してみるかい?」

「にゃーん」

「姉さん、いつの間にいたんですか。それにズルいって味見ですよ?」

「にゃーん」


 味見になら自分がすると、言い張るので姉さんに味を確認してもらう。


「にゃーん」

「わからないからもう一口って。問題ないってことでいいねですね」

「にゃーん」

「はいはい、配膳しますからリビングで待っててください」




 

 


 

 

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