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家庭菜園物語  作者: コンビニ
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2ー25 進路

 4人のお腹が西瓜でパンパンになっている。お腹壊すぞ。

 結局、追加で2玉を4人で平らげてしまった。適度に食べるのが美味しいと思うんだけどね。

 冷たい麦茶を啜りながら、寝転ぶ4人を眺める、まったりとした時間が経過する。


 あ、学校の話もしないとな。

 送られてきた学校のパンフレットを片付け終わった机に置く。


「モモ、エリゼちゃん、話があります」


 何かを察してくれたのか、姿勢を正して座り直してくれる。

 2人の前に学校のパンフレットを開いて差し出す。


「さくらさんから手紙が来てね。学校が来春には開校できるみたいで案内が来たんだ。改めてだけどモモは学校に行くってことでいいね?」

「……行ってもいいの?」

「うーん、回答としては行ってほしいかな。そりゃ、モモともっといたいとは思うよ。でも親としてはモモの可能性を広げる意味も込めて行ってほしい。モモが嫌という明確な理由があるなら話は聞くよ?」

「うん。私、学校に行くよ。お父さん、ありがとう」


 腕を少しの伸ばしてモモの頭を撫でる。俺の心配をしてくれたんだろう、本当に良い子に育った。


「にゃーん」

「はい! 杏姉さん、頑張ってみます!」

「あー、モモ、姉さんが恋に勉強に友達作り、色々楽しんでおいでと言ってはいるけどね、勉強や友達はともかく、恋とかは適切に、慎重にだよ」

「にゃーん」

「はい! 子供を産んでもいいって思える相手ですよね!」

「姉さんの感覚はちょっと過激なので、清いお付き合いからだよ! 手を繋ぐとかお茶をするとか!」

「そうなんですか? さくらさんも似たようなことを言ってましたけど」

「にゃーん」


 失敗から経験するものだとか、当たって砕けろじゃないんですよ。

 後で恋愛関係については話を擦り合わせるべきだな。


「それで、エリゼちゃんはどうする? パンフを見ての通りいい学校そうだけど。行きたいとなれば俺からさくらさんに話を通すけど」

「私は行くつもりはないです」


 遠慮しているのだろうか? その割にはエリゼちゃんには確固たる意思を感じる。


「モモにも話したけど可能性を広げる意味でも行った方がいいと思うけど、他にしたいことでもあるのかな?」

「勉強は好きじゃないっていうのも正直あるし、王侯貴族関係者も通うことになれば弟も来るかもしれないし」


 エリゼちゃんを殺そうとした相手だもんな。会いたくはないか。


「私は弟に謝りたいし、少し会いたいとも思っているけど、弟はきっと嫌な顔をすると思う。もう迷惑をかけたくないって理由もある」

「エリゼ・ソードは死んだことになっているんだから赤の他人じゃないですか。気にすることないのに」

「モモ、エリゼちゃんが話しているんだから」


 モモは口を少し尖らせながら文句の横槍を入れてくる。うるさいような黙らせればいいとか物騒なことを姉さんと話している。変なとこは脳筋なんだよな。

 文句を言う辺り、本当はエリゼちゃんと学校に通いたいと思っているのかもしれない。


「建前は色々あるんだ、です。私は冒険者になりたいんだ。モモやユウさん、杏さんや大福様、他にもこの土地に来た人と会って話して、感じて、私がしたことを精算できるとは思ってないけど、困っている人を助けられるような人に、冒険者になりたい」


 おおう……あの、あのエリゼちゃんが数ヶ月で立派になったもんだ。

 彼女なりの考えややりたい事があるなら俺が止める理由はない。


「そっか。わかった、俺は応援するよ」

「ありがとうございます! それで、私はまだ覚えないといけないことがいっぱいあって、モモが学校に行った後も1年くらい時間をもらえませんか?」


 自分で考えて、計画も立てていたのか。本当に俺から言うべきことはないな。


「勿論だよ。ここはエリゼちゃんのもう1つの家だと思ってくれていいよ」

「はい……ありがとございます」


 エリゼちゃんが泣きそうな、嬉しそうな、複雑そうな顔をしている。

 この子もこの短期間で環境が変わって色々なことがあったもんな。せめて俺達だけでは彼女の味方でいてあげたい。


「エリゼさんが1年であっても居てくれるなら少し安心です。お父さんが暴飲暴食とニンニクを入れすぎないように監視しててくださいね」

「任せろ! でもモモも長期休みとかには帰ってくるんだろう?」


 これはこっそりビールの量を増やしたりとかできなそうだな。


「そのようになるとは思いますけど」


 パンフに載っていたスケジュールを確認すると、俺達がいた世界と違い夏と冬ではなく、夏だけに2ヶ月ほどの長期休みが設けられていた。

 モモと会えるのは夏だけなのか、少し残念だ。


「ふーん、でも夏だけなんだな。王国の学校だと夏と冬と休みがあるらしいけどな」

「土地も影響しているのではないでしょうか。さくらさんが学校を建てたところは非常に寒いところと聞いているので、冬に休みを設けても帰ったりするのが難しいんだと思います」


 なるほど、俺の疑問をエリゼちゃんが代弁してくれた。

 でもモモがいない環境で俺と2人とかエリゼちゃんは嫌じゃないかな? なんだかんだでモモを介して話すことが多いし、実際に2人だけで話たことかほぼないんではないだろうか。

 おじさん、少し不安です。



 

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