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家庭菜園物語  作者: コンビニ
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2−18 拾い物?

 親戚が集まった時とかお祝い事といえばすき焼きでだろうな。

 最初に肉を焼いて食べるみたいなのもあるようだけど、水、醤油、みりん、砂糖でタレを作って切った具材をつっこんで出来上がりを待つ。


「思ったよりも簡単だな」


 これなら自分でも作れそうだと、ガンジュさんが凶悪な歯を見せて笑う。


「そうですね。でも味は絶品ですよー! この俺達の世界の料理は醤油と酒とみりんと砂糖は使うこと多いですから。外でも調味料を増やせれば簡単に作れますね」

「やはり勇者殿には来てもらう必要があるか」

「俺も同郷の勇者とは会ってみたいですね。王坂にはいるんですよね?」

「ああ、今は作物を育てるための土壌の解析、改善やそれこそ調味料の作成など、多岐にわたって活動してもらっている。忙しい身の上なのもあるが、単独でそうそう動かすわけにもいかないからな」


 勇者って重責、苦労が多そうだな同情するよ。


「最近では本妻と妾にそれぞれ子供も生まれて忙しいそうなのもあるがな」


 やっぱり同情なんてしません。爆ぜろ!

 2つのテーブルにそれぞれ完成した鍋を設置して、人数分の卵を割って小皿に用意する。あとは大盛りのご飯だ。


「腹が減ってきた。先に食べてはダメなのでしょうか?」


 ルイさんが涎を垂らさないように、何度も唾を飲み込んでいる。外で活動してきた後だし、お腹減ってるんだろうなぁ。


「姉さん、悪いんですがお風呂の様子見て来てくれますか?」

「にゃーん」


 面倒くさいと言いながら渋々、お風呂を見に行ってくれる。

 少しして戻ってきたが、もう少し時間がかかりそうとのことで、男どもと姉さんで始めることにする。


「にゃーん」

「いただきます!」


 まずは食べ方を見せる。肉に野菜を取って卵にイン! それをご飯にワンバウンドして口の中に運ぶ。


「うまーい!」

「にゃーん」


 俺達に習ってガンジュさん達も卵につけて口に運び、ご飯を口にかっこむ。


「美味い!」

「絶品ですな、悠殿!」

「卵を生でとは不安だったかが、濃いタレが卵で中和され、旨味も加わりこれはいいな」


 ガンジュさんが昨日以上に饒舌だ。


「戻ったらクルークさんに自慢でもしてあげてください」

「そうだな。トンカツも食し、今回はすき焼きという発見もあった。存分に自慢してやろう」


 思ったより食べるスピードが早く、女性陣が戻ってくる頃にはこちらの食事が既に終わっていた。

 

「美味しそうな匂いー!」

 

 エリゼちゃんが一番乗りでリビングに戻ってくると、鍋の様子を見て、直ぐに人数分のご飯を茶碗に乗せて戻ってくる。

 少しして、子供達を乾かしていたのか奥さんとモモが子供らを抱っこしくる。モモが子供を抱っこしているとこを見てると成長したなぁと涙が流れそうにになってくる。


「お父さん? どうかしましたか」

「モモが成長したなぁってな」

「お父さんの涙腺はどうなってるんですか」


 だって唐突に考えちゃっただもん。


「それよりもご飯だ!」

「エリゼちゃんはもうちょっと俺のこと気にしてくれてもいいんだよ?」


 男性陣用の締めのうどんを用意している間に、おじいちゃんとお父さんは子供達のご飯のお世話をしてもらい、女性陣はゆっくりとすき焼きを楽しんでもらう。


「美味い! 美味いぞおおお!」

「エリゼさん、もう少しだけ静かにしてください。あとは野菜ももっと食べて」


 モモが肉しか取らないエリゼちゃんのお椀の中にどんどん野菜も追加していく。


「うんどんもできましたのでどーぞ」


 子供達は先にご飯を食べ終わっていたがうどんを見て、まだ入るのか尻尾をおじいちゃん達と一緒にブンブンと振っている。なんだか親子、家族だよな。


「にゃーん」


 全員で締めのうどんを堪能して、エリゼちゃんと奥さんとに洗い物を任せしばしゴロゴロする。


「お父さん、デザートがあってもいいんではないでしょうか!」

「言っとくがケーキはダメだぞ」


 モモがモモがしゅーんとして落ち込んでいるが、勉強を理由にちょっと前に一杯食べてたし、ガンジュさん達には刺激が強すぎるかもしれない。


「わん!」

「大丈夫です。守りの木に水はちゃんとやってましたから。え? 夜もですか?」

「わん」

「わかりました。お父さん、今日は暑かったから夜も水をあげてほしいとのことなので、行って来ますね」

「気をつけてなー」

「悠、守りの木とはなんだ?」


 ガンジュさんも知らない木なのかな? 異世界のものではあるはずだけど。


「家に裏に新しく植えた木なんですけど、知らない名前ですか?」

「聞いたことがない。心配なので明日の朝、明るくなってから見てみよう」


 心配ってどういう意味だろうか。


「お前は知らず知らずの内にとんでもないことをしているタイプの人間だからな」

「まさかー、普通の木ですよ」


 バタバタとモモがリビングから帰って来たのか、台所で騒いでいる。

 西瓜がどうとか言っているな。


「モモどうした?」

「お、お父さん! なんでもないよ、西瓜を食べたいなーって」

「西瓜ならいいけど、食べすぎると太るからな」

「私も食べたい!」


 エリゼちゃんの希望で西瓜を人数分切って、食後のデザートとする。

 モモと大福はどこかで食べているのか、いつの間にか姿を消していた。


「あいつら、猫でも拾ったんじゃないだろうな」

「にゃーん」


 姉さんのことじゃないですよ。


 

 

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