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家庭菜園物語  作者: コンビニ
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2−14 再会

 8月になって、植えた花は見事に咲き誇り、自宅周りも彩りが足されるだけで雰囲気がだいぶ変わった。

 守りの木とかっていうのは、苗木の時から4メートルくらいに急成長しており、成長が早すぎて少し気持ち悪くはある。


 朝起きて、朝食を食べて、畑の手入れ、動物、花のお世話、変わらない日常。

 お昼ご飯を食べた後には、釣りをしたり、木で小物を作ったり、姉さんや大福をもふりながら縁側でゴロゴロする。


「俺って勝ち組かもしれない」

「にゃーん」


 お前がそう思うなたそうなんだろと、姉さんにはぶっきらぼうに言われてしまった。嫁がいなくたって幸せじゃないか。

 遊びに行ったりとか、娯楽は少ないけど俺は嫌じゃない生活だ。

 エリゼちゃんと一緒に生活するようになったりとか変化もあるしね。

 モモは気にしていないと言っていたが、折角の個室をエリゼちゃんと一緒に使用することになっているので、部屋数も増やしてあげたいな。

 木や石関連は自動化できているが次の家のアップグレードには500万が必要。物を加工できる時間もできたし、売却単価は上がってるけど、人も増えた分には出ていくお金も増えてくる。


 女の子が2人いれば、ケアするための用意品も必要だし、女の子用の必須アイテムも購入しないといけない。

 男である俺には縁がない物だったけど、値段ってそこそこするのね。

 使い方関連は姉さんに説明してもらっている。姉さんがいてくれてよかったけど、猫なのにその辺も詳しいんですねと、言いそうになって睨まれたので言わなかった。


 モモもエリゼちゃんも外に出る時の日焼け止めや夜寝る前のケアなんかも、いらないと言うがこういうことは地道にやることが大事なのである。

 モモは金額面の遠慮ではあるが、エリゼちゃんは天性のガサツさが出ている。あの子はこの先立派な淑女になれるのだろうか? うーん、ビキニアーマーを装備して漫画肉を片手にビールを持って高笑いしているイメージしかできない。


 縁側でミニエリゼ様像を作成していると、玄関の方がなんだか騒がしい。

 大福が嬉しそうに吠える声と、エリゼちゃんがギャーギャー何か騒いでいる。


「敵か! 敵なのか貴様らは!」

「違う!」


 エリゼちゃんが、花壇をいじる用の小さなスコップを片手に3人の人を威嚇している。


「ガンジュさん?」

「おお、悠!」


 喜びと勢いでハグをしてしまった。俺も欧米もとい、異世界に染まってきたのかもしれない。 

 ハグをし終えた後に、改めて握手をする。


「お久しぶりです」

「本当にな。来るのに期間が空いてしまって悪かった」

「忙しいと聞いてましたから、積もる話もありますがまずは家の中にどうぞ。今回は入っていかれるでしょ?」

「わん!」


 大福も入っていけと言っているのだろうか、率先して家の中に入っていく。

 モモも少し遅れて、動物達の世話を終えたのか駆け寄ってくる。


「ガンジュさん!」

「モモ、大きくなったな」


 ガンジュさんがモモを持ち上げてクルクルと周り、何故か投げ飛ばしてしまう。


「も、モモー!」


 高く投げ放たれたモモが何回てんかして見事着地する。


「うむ、しっかり鍛えているようだな」

「はい!」


 なんだ、ただのおふざけだったのか。

 ガンジュさんが連れてきた残りの2名いや、正確には4名は初めて会う人達だ。


「息子とその嫁、あとは子供だ」


 小さいモフモフがそれぞれの腕の中に収まっており、こっちを大きな瞳でジッと見ている。か、かわええ!


「わん!」


 大福が早く入れと急かしているのか、家の中で尻尾ブンブン振りながら、こっちに吠えてくる。


「とりあえず中に入りましょうか」

「敵ではないのか?」

「エリゼさん、馬鹿なことを言ってないでお茶の準備手伝ってください」

「えー? 敵じゃないのかー?」


 モモに引っ張られて、エリゼちゃんとモモが先に家の中に消えていく。

 縁側用のサンダルのままだったので、縁側からリビングに入って、ガンジュさん達を迎えいれる。

 ガンジュさんには数人の子供がいると聞いていたが、長男は嫁と子供がいるような年齢だったんだなぁ。


 座布団で席をすすめて、モモが持ってきてくれた、麦茶を順番に並べていく。

 子供はまだ乳飲み子なんだろうか? 大きさだけだとよくわからない。


「ガンジュさん、お孫さんは牛乳とかで飲めますか?」

「乳があるのか? ありがたい、飲んだり食べたりは可能だ」


 モモに視線を送ると、うなずいて台所に下がっていく。牛乳を用意してくれるのだろう。


「小さいなー」

「2歳になるの」

「エリゼちゃん、失礼だよ」


 お嫁さんの抱っこする、小さい犬にも見える子供にエリゼちゃんがグイグイと顔を近づけていく。

 穢らわしい犬畜生とか、獣物とか言い出したりしないよね?


「抱いてみる?」

「よいのか?」

「エリゼちゃん、優しくだよ!」


 馬鹿力で潰したりしないよな。

 お嫁さんから抱き方を教わって、恐る恐るといった形で抱き上げて見せる。

 

「小さい」


 小さい肉球をにぎにぎしたりしている。う、羨ましい!

 お嫁さんも優しい表情で、エリゼちゃんが抱く姿を見ている。子供がエリゼちゃんに笑いかけると、緊張してるのか無表情だったエリゼちゃんの顔が綻んだ。


「牛乳を−−ってエリゼさん、何してるんですか!」

「見たらわかるだろう? それよりも大声を出すな、この子が驚くであろうに」

「ずるい! 私も抱っこしたいです!」


 お嫁さんが苦笑いをして、もう1人の子をモモに抱かせてくれる。女の子って感じだなぁー。

 ここで俺も抱っこしたいもん! なんて割って入れは冷たい目で見られるんだろうな。あとで抱っこさせてもらおう。

 それにしてもあのエリゼちゃんがねー。初めて出会った時は人ではない種を馬鹿にしていたのに、その亜人の子を抱っこして可愛いと笑っている。


「騒がしくて申し訳ありません。改めて俺は悠と言います」

「モモです!」

「エリゼ!」

「にゃーん」

「わん!」


 我が家の面々がそれぞれに挨拶をすると、ガンジュさんもエリゼちゃんに向けてガンジュだと、軽く会釈をする。

 この2人は初対面だったからな。あとはメンバーは全員と初対面だ。


「ガンジュの息子、ルイです」

「妻のアントワーネです」


 相変わらず、女性の名前がゴージャス感あるなぁ。


「お子さん達の名前は?」


 ソファにモモとエリゼちゃんと一緒に座って牛乳を飲ませてもらっている、キュートな2人の名前が気になる。


「うむ、まだ名前はないのだ。小さいうちに亡くなることも多くてな、名前は3歳くらいを目処に決めている」


 相変わらず世知辛い世界観だ。

 


 

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