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家庭菜園物語  作者: コンビニ
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2−12 彩り

 自分がまた間違ってしまったのかと、ショボーンとするエリゼちゃんを励ましつつ、モモも少しズレたとこがあるからと話していたら、モモまでショボーンとしてしまい収集がつかなくなってしまった。


「にゃーん」


 時には喧嘩をし、ぶつかり合い、一緒に勉強をして、同じ釜の飯を食べる。友人で良いではないかと姉さんがフォローをする。


「それなら、友達ということで改めてお願いします」

「モモ! エリゼと呼び捨てでいいぞ!」

「なんだか、偉そうなのは変わりないですね」


 悪友と言うべきなだろうか? 悪ってほどでもないか。友情には色々な形があるし。

 今後のことは後々考えることして、モモに教わりながら家畜と畑の手伝いを始める。なんだかんだで仲は良いじゃないか。

 人手が1人増えるだけで俺のやることもグッと少なくなる。

 サイゼ様に売りに出す用の料理にでも励むか。人が増えたということはそれだけ出費も増える。

 そのまま売っていたものもできるだけ加工して単価をあげていかねば。


「一件落着だな」

「そうですね。さくらさんにはお世話になりました。それでどのくらい滞在されますか?」

「要件が終わったら直ぐに帰れと言うことか?」

「そんな感じ悪く言ってないでしょう。どのくらい滞在されるか聞いただじゃないですか」


 ニートだなんだ騒いだ過去があるから、今回は仕事を十分に果たしているため、ガルガルとしてくる。

 変なとこ面倒な性格してるなぁ。


「にゃーん」


 姉さんが働いたお礼に、ブラッシングをさせてやると言われて、さくらさんはニコニコでブラッシングをさせてもらっている。モモ以外には基本的にさせてくれないブラッシングをできるなんて少し羨ましい。

 

「にゃーん」

「ええ、わかっています。モモも勉強やトレーニングの成果も見たかったので午後はそのつもりでした」


 午後にはエリゼちゃん含めて少し勉強などを見てくれるようだ。


「そういえば学校の完成ってそろそろじゃないんですか?」

「少し長引いている。来年の春には開校予定だな」

「開校に合わせてモモも通わせた方が良いですか?」

「本人がどうしても来たいと言うなら別だが、再来年の春でいいかと思っている。初年度は面倒な子供も多いからな」

「わかりました。モモには少し話してみます」


 面倒な子供って、王族とかお金を持っている連中のことだろうか。

 モモと長く過ごせる時間もあと少しなのかもしれないな。


 

 ★★★


 

 1週間後には本当にだらだらと駄々をこねることなく 10リットルほどのビールと燻製の肉と魚、漬物を土産にさくらさんが去っていった。俺の頼みを聞いてくれたのと、モモの様子を見るのとで無理をして時間を作ってくれたのかもしれない。ツンデレだよな、あの人。

 さくらさんを見送った午後にエリゼちゃんが唐突に口を開いた。


「彩りが足りない!」

「エリゼさん、突然何を言い出すんですか?」

「お姉ちゃんって呼んでよ! 私の方が年上よ!」

「エリゼさん、それで彩りとは?」


 この2人は仲がいいのか、悪いのか。


「私の家には……やっぱりなんでもない」


 自分の家を思い出したのか、急にショボーンとしてしまった。

 最後まで言ってくれないと気になるんだけど。


「前に言ってしましたよね? 庭園があったとか」

「なるほどなー、花か」

「勝手に言わないでよ!」


 なんだ、女の子らしい要望じゃないか。モモにも花を愛でたりとか、食べるもの以外も大切にすることを学ぶのはいいかもしれない。

 食べれないものはゴミですとか言って、花を踏み潰す冷たいドSキャラにはなってほしくないしな。


「いいじゃないか、花壇でよければ設置できるし。彩りは確かに大事だよね」

「悠さん、いいの!」

「ああ、俺も花は嫌いじゃないしね」

「エリゼさん、言っておきますけど、花壇を設置するのだってお金かかるんですからね」

「わ、わかってるわよ!」

「俺も花壇は賛成だし、お金のことは今はいいよ」

「お金がかかっていることを理解することは大事です!」

「は、はい」


 モモの言うことも正しい。エリゼちゃんには何事も手がかかり、お金がかかっていることを理解させようとしているんだろう。

 続けてモモが花壇スペースを作成する10万円の重みをコンコンと説明する。これではどっちがお姉ちゃんなのかわからない。


「エリゼさん、わかりましたか?」

「はい!」

「説明も終わったみたいだし、エリゼちゃんにはお花大臣を任せようかな」

「私が大臣!」

「お父さん……あんまり変なことを言い始めないでください」

「ごめんて、お花の責任者ってことだよ」

「わかった!」

「エリゼさん、わかりましたですよ」


 モモの教育は厳しい、基本的には俺や姉さん、大福には敬語で話すようにと言う話になっている。俺は別に構わないのだが、赤の他人の家に世話になっているのであれば最低限の礼節は重んじるべきとのことだ。


「まぁまぁ、それじゃあ彩りのある花と食べらたり活用できる花と色々植えていこうか」

「食べられる花があるの? いえ、あるんですか?」

「あるよー、お茶や食事に活用したり、お風呂に使ったりね」

「楽しみ!」

 

 無邪気に喜ぶ、エリゼちゃんの頭を撫でる。年相応で可愛いな、小さい時のモモを思い出す。

 モモが嫉妬から、頬を膨らませてエリゼちゃんの横にあからさまに並ぶので、同じように頭を撫でると、満足したように笑う。なんだかんだでまだまだ子供だな。


 メニュー画面から花壇を購入すると、種関連などがアンロックされた。

 その中に、【守りの木】がアンロックされたという通知が出る。これはなんだ?


 



 


 

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― 新着の感想 ―
[一言] なんとか大臣とか、主人公君の発想がわりとりおっさんなの……
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