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家庭菜園物語  作者: コンビニ
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42 そんなのってないよ!

 11月下旬季節的には冬だろう? 俺の嫁は? 新しい出会いは? ねぇ神様!

 ちくしょう……嫁以外については幸いなことに米や麦の収穫は順調だ。

 買取価格、売上の面については自家製の麦や米で作った物が高く売れるので、年間を通して自分達が消費する分以外はちょこちょこ、パンや米にして売っている。

 先日、稼いだお金でこっそりとビール樽を購入したらのだが、思ったよりも大きく、すぐに姉さんにバレて大目玉を食らった。でもビールは非常に美味である。


「モモ、今夜はもう一杯だけビール飲みたいなぁ」

「1日に一杯の約束なのでダメです!」

「にゃーん」


 美味ではあるが、ビールの管理については姉さんを中心としたモモの管理となってしまい、飲む量は管理されてしまっている。姉さんがモモに酒のデメリットを中心に話してしまったから、モモの警戒心も非常に強いものとなっている。

 

「にゃーん」

「わかってますよ。次はちゃんと製麺機買いますから」

「わん!」


 最近は姉さんだけでなく、モモも健康面を中心に厳しくなちゃって俺の癒しと言えば、大福をモフモフするくらいだよ。


「わん」

「にゃーん」

 

 おやつくれ? 俺のことを心配して寄ってきてくれてるんじゃないの? そんな現実知りたくはなかったんだけど。

 まぁあげるんですけどね。燻製肉を持ってきて、大福がガジガジしている様子を眺める。これもこれで癒される。


「大福様、最近太り気味なんですからおやつはダメです」

「わん」


 大福のおやつが取り上げられてしまった。


「お父さんもあげすぎたらダメです」

「はい……ごめんなさい」


 モモは最近すっかりお姉さんになってしまったなぁ。お父さん少し寂しい。

 大福はごめねと、モモの後を追いかけて行ってしまった。


「子供の成長は早いなぁ」

「にゃーん」

「まぁ、元々モモは10歳ですもんね。環境が変わって精神年齢に追い付いてきたってことですかね」

「にゃーん」

「確かにずっと甘えん坊よりは、しっかり自立心を持ってくれた方がいいですけど。寂しいのは変わらないんですよ」

「にゃーん」


 自然と慣れるですか、そういうもんなんですかね。

 しっかり者のお姉さんになってきたモモもいつか俺とお風呂も入らなくなるし、一緒に部屋で眠ることも無くなるんだろうな。その前に家を拡張しないとだけど。


 寒くなってきた夜はモモを中心に姉さんを抱いて、両サイドを俺と、大福で固めるという完璧な布陣で眠る。

 姉さんとモモの温もり、大福がいるおかげで全体的な温度が上がって暖房代の節約になってよい。

 

朝になれば離れ難い、温もりからまだ日が完全に出ていない時間に一番にモモが起き上がる。

 俺と姉さんと大福はもう少しと二度寝をしている間にまな板と包丁がぶつかる小気味よい音が聞こえてくる。それと同時に魚の焼けるいい匂いがしてくる。なんて幸せな朝なんだろうか。


「お父さん、そろそろ起きて顔洗ってください」

「はーい」

「にゃーん」


 大福だけ眠り続けようとして、姉さんの猫パンチで起こされている。あれ痛いんだよなー、大福は学習しないやつだ。そこがまた愛嬌があって可愛いとこではあるが。

 顔を洗ってモモの美味しい朝食を食べると、暖かい麦茶を啜って昨日作成した鶏小屋を眺める。鶏が1匹3万円とそこそこのお値段なのだ。誰かがビール樽で無駄遣いをしたせいも少し悩んでしまう価格ではある。


 「1羽1つの卵って考えれば、4羽は最低欲しいな。でも12万か、正直売り物としても使いたいのでもっと羽数は欲しい。収入面を考えるなら余裕のあるうちに多めに購入するか」

「にゃーん」

「姉さんは美味いだし巻き卵食べたいだけでしょ。わかりました、8羽行きましょう」


 貯めたお金を一気に使う時って、少しドキドキする。餌は野菜でもいいみたいなので現状としては購入せずに育ててみようと思っている。保存庫も面積を少し増やしたおかげで野菜の備蓄もかなりある。

 冬の畑仕事は寒いのでできるだけ少なめにしてゴロゴロしたいが、この残金だと今年は少し難しそうかもしれない。


 購入した鶏は鶏小屋に既にいた。牛小屋の隣となっており、上限は10羽までみたいだ。改装すればもっと上限は増えるみたいだけど。

 新しく購入した秋冬用のジャンバーとつなぎを可愛く着こなしているモモが鶏を可愛いと撫でている。可愛いが可愛い。


「この子達の面倒も私が見ていいでしょうか?」

「ああ、お願いできるかな」

「はい!」

 

 牛達にプラスで鶏となってしまうのでモモ大変にならないかと心配していたが本人がやる気だし、楽しそうなので、まずは任せてみよう。

 鶏と牛を放牧して、モモが遊ばせている姿を見ていると、昔の山の上に住む少女のアニメを思い出す。なんか再放送で見たんだよねー、今回の鶏の購入で羊もアンロックされたのでモフモフを増やすのはアリかもしれない。可愛いの渋滞だ。


 野菜の世話をして、最後の米をモモと刈り取って収穫する。これで11月も終わりかー。畑に加えて麦と米があったのでやることが多い期間だったけど、来月からまた畑だけになってくるので少し余裕が出てくるか? 木の伐採をしないといけないのは変わらないけど。


 モモが精米してくれている間に夜ご飯の用意をする。

 今日のご飯は皆んな大好き生姜焼きである。みりん、酒、醤油、砂糖、生姜を刻む、それに加えて俺の分にはにんにくを多めに入れる。あとはキャベツの千切りっと、焼くだけ簡単で美味いという主婦の味方だよなー。

 もう晩ご飯だっていうのに大福の帰りが遅い−−っは! まさかこのパターンは!


「お父さん……その格好なに?」


 安物ではあるがスーツにワックスで髪を整えた俺の正装はどうだね? なんだかモモは微妙な顔してるな。


「にゃーん」

「スーツに着られているってちゃんと着こなしてるじゃないですか」


 ソワソワとスーツ姿で飯を食い進めていると、ドタドタと普段聞かない音を立てながら大福が帰宅してきた。

 来たのか? 来てしまったのか。


「わん」

「大福様が怯えています」

「え? 怯えてるの?」


 なんだか急に不安になってきたんだけど、インターホンが鳴るので扉をゆっくりと開けてみると、坊主頭の筋骨隆々の上半身裸の漢が立っていた。

 あのアホ神が言っていた、多様性とかそんな趣味があったのかという驚きを思い出す。


「これは雄っぱい違いだよ!」

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