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家庭菜園物語  作者: コンビニ
33/180

32 バーガー

 今日は西瓜の収穫日である。珍しく、さくらさんも収穫を手伝ってくれているが、当然食いっぱぐれないためである。そしてテンションが高い。


「これが西瓜か! デカい! 丸い!」

「やっぱりこの世界にはない野菜なんですね」

「そうだな! 夫からは聞いていたが夏には絶対に食べる美味いものだと聞いている!」

「絶対っていうわけではないですけど」


 モモも涎を拭きながら収穫してくれている。この世界のエルフは食い意地が張っているのだろうか。

 エルフのイメージが歪んでくる。


「食べる前に冷やしておくので、授業初日頑張ってくださいね」

「先に食べるぞ!」

「ダメです。働いてからにしてください」


 モモも揃ってガックリとしている。食べさせないとは言ってないんだが頑張りなさい。モモは畑仕事が終わった後に和牛の世話をして、牛乳の収穫後にさくらさんの青空教室が始まったり、熱心に話を聞いている。

 授業が始まった関係上、モモの食事当番は朝に変更となり、昼、夜は俺の担当になった。今日は何を作るかなー、ハンバーグが食べたい。そうしよう。

 と、お昼前に西瓜の金額を確認しないといかん、それと牛乳だ。まだ飲む分は残ってるので今日収穫した10リットルの牛乳はそのまま売りに回せる。


 最初にスカイを買取に回してみたが、1玉3000円の買取になった。収穫できたのが30だったので、食べる分を抜いて27買取に回して81000円である。スペースも使うけど売価がえぐい。これがゲームでなければ西瓜無双をするところではあるが、他の野菜も育てたいのでそういうわけにはいかない。でも空いてるスペースでできるだけ作っていこうっと。

 牛乳は1リットルあたり、500円で5000円の売り上げとなった。西瓜と比べれば安いがこれが毎日チャリンチャリンと入って来ることを考えればデカいなぁ。


 ゲームをやっている時の悪い癖だが、広く浅くではなく深く狭く開始して、資金に余裕を持って広くしていたが、ゲームと違って浅く広く回収して行った方が使える食品も増えるし、幅も広がる。家のアップグレードはまず後回しにして、どんどん投資していくのもいいかもしれない。

 ファミレス神様、迷惑とか言ってごめんなさい。牛乳で息の臭いをなんとか和らげてみてね。なむなむ。


 投資するなら牛をもう1匹追加するのもありかな。値段は−−40万円。神様、無料でくれて本当にありがとう。

 牛が無理なら井戸をアップグレードしてみようかな、アップグレード先については大体予想できる。

 石材とアップグレード費用を5万円支払って、昼飯を作りながら完了する3時間後を待つことにする。

 どんどん、投資していくと決めたのであれも買うぜ。


「にゃーん」

「これですか? 1万円したんですけどね、ミンサーですよ」


 肉を入れて、手動で回していくと、ミンチにされた肉がどんどん出てくる。ボールの中に卵、ひき肉、パン粉、玉ねぎ、牛乳を入れてよく混ぜて種を作る。味を整えるのに塩、胡椒に砂糖、ケチャップも入れていく。

 あとは丸く、薄く形を整えて、焼いていくだけ。


「にゃーん」

「味見だけですよー」


 姉さんが味見させろと言うので焼き上がった、ハンバーグを2人で1つ食べてみる。これは美味いな! 肉がいいのもあるけど、牛乳とかもやっぱりいいの使ってるから違うのかな? 玉ねぎやパン粉とかも全部採れたので作ったらどのくらい美味くなるんだろう。


「にゃーん」

「味見はもう終わりです。それにこれで完成ではないんですから」


 購入したバンズにハンバーグとキャベツ、トマトを入れ、あとは残った肉汁で作ったソースをかけて完成だ。チーズを挟んだりしたバージョンも作り、牛乳のボトルと一緒にランチセットを青空教室をしているモモ達の元へと持っていく。

 さくらさんが収納から出したのか、いつの間にかデカい黒板あり、モモも熱心にメモを取っている。


「昼飯だよー」

「西瓜か!」

「西瓜は夜のデザートです」

「随分と勿体ぶるな」

「文句言うなら昼飯出しませんよ?」

「文句など言ってないだろう、悠くんや心外だなぁ」

「にゃーん」


 はいはい、さくらさんの言葉を受け流しながら、ござを敷いて、お弁当を広げる。

 狩りが終わったのか、昼飯時だとわかっていたのか、デカい猪を引きずりながら大福も帰ってくる。血抜きとか、昼飯食ってからでも大丈夫だよな?

 

「わん!」

「心配するなって、ちゃんと多めに用意しているから」

「ん、これはハンバーガーか!」

「外でもあるんですか?」

「似ている物はあるが、今は売っていないな」


 簡単な料理だし、技術っていうよりも食糧難の影響なのかな。


「はんばーがー」


 モモがハンバーガーと睨めっこをして、さくらさんに習ってパクリとかぶりつく。


「んー! んー!」


 食べながら喋ったらダメだよという言いつけを守ってるからか、美味しいと叫べず、モゴモゴとしながらハンバーガーを持たない空いた腕を振りましている。


「モモ、騒がないの。美味しいか?」


 モゴモゴと懸命に噛んで飲み込む。


「美味しいです!」

「そりゃ、よかった」

「美味い、美味い、チーズ入りもいいな」

「さくらさん、両手にハンバーガー持って、わんぱくスタイルですね−−ってモモ、行儀悪いからさくらさんみたいなことはやめなさい」


 2つのハンバーガーを食べるさくらさんを恨めしそうにモモが見ている。


「ふっふっふ、これは大人の特権なのだよ」

「モモ、ああいう行儀の悪い人はきっと西瓜の量が減るからね」

「はい! 真似しないです!」



 


 


 

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