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家庭菜園物語  作者: コンビニ
28/180

27 もー大変

 朝になって当然、姉さんには叱られることになった。


「モー」

「にゃーん」

「だって話の流れ酷かったんですよ。押し付けられたようなもんですよ」

「うし? さんですか?」


 乳を出す草食の山羊的な動物はいたが、牛についてはモモは見たことのない動物だと言っていた。魔物とかでも類似するのはいないのかな。

 牛小屋は木自体は木材が30と5万円あれば建てられる。家がないのは可哀想なので必然的に建てることになってしまう。あの女神のせいで金を貯めているタイミングで出費が嵩む。


「モー」

「いい子ですね」


 モモは動物が好きなようで牛のことも可愛がってくれている。


「モモ、そいつの言葉はわかるのか?」

「お父さん、普通の動物は喋らないですよ?」

「そ、そうだよね」


 言われればそうなんだけど、火の鶏とも大福とも普通に話てたから、話せるのが当たり前だと思っていた。

 とりあえずは魚の燻製と白米、サラダで簡単に朝食をすまして、しまい牛の対応をすることにした。

 

「こいつは食用ではなく、乳牛なんだよなー。乳って妊娠とかしないと出ないはずだけど出るのかな?」


 牛乳を入れるためのポリタンク的なものを購入して、見よう見まねで絞ってみる。

 ん、なんかアンロックされたな。


「お乳が出てきました」

「モモは飲んだことあるか?」

「決まった人しか飲めない高価な品でした」


 また嫌なことを思い出してしまったかな? 以前とは違って苦しそうな顔はしていないので、そこまで気になるような記憶ではないのかもしれない。または過去の内容として処理し始めているのか。


 考えていれば我が家でもミルク粥は出したことあるけど、牛乳だけって出したことないもんな。牛乳は購入しようとすると1パックの値段もそこそこ高くてあれ以来、購入したことがない。

 一番搾りについては安全確認のために俺が−−飲もうとしたが、姉さんにが一番は自分だというので大福と姉さんに出すことにした。普通の犬猫に牛乳なんて出したら良くないんだけどな。


「にゃーん」

「わん!」

 

 大福は何を言っているのかわからないが、姉さんと同じく美味いと言っているのだろう。姉さんは上品に舌で掬い上げているが、大福は既に口元がビチャビチャだ。白いからそこまで汚れが目立たないけどさ、お前はもうちょっと落ち着いて飲めないのか。タオルで口元を拭いてやると、ありがとうと一声、吠えた。


「じゃあ、モモ、俺らもいただこうか」

「はい!」


 んっ、これは濃いなぁ。遠足で行った牧場を思い出す。

 やっぱりスーパーに置いてある処理された物とは違うな、あっちもあっちで美味しいけどさ。

 モモは一気飲みして口の周りが白くなっている。癒されるぜ。


「美味しいです!」

「そりゃよかった」

「モー」


 牛も美味しいならよかったよとでも言っているようだ。

 ある程度絞り切ると、乳が出なくなるのでゲームと同じく収穫量が決まっているのかもしれない。ポリタンクが1つ5リットルで2つ分となったので1日の収穫量は10リットルということになる。

 牛乳を一気に飲みすぎるのもよくないので、モモには食事後に1回までと約束をした。果物なんか取れるようになって、ジュースが作れるようになればもっと驚いてくれるかもしれない。果物系は初年度でアンロックは難しいんだよなぁ。

 アンロックされた内容を確認する前に牛小屋を建築し、牛の餌を購入しようとすると、新製品として牧草の種も追加されいた。


「お、種だけではなくて、普通に牧草も売ってるな」


 選択すると、テレビで見たことのある草のロールが出てくる。そこそこ大きいのにこれで1万円とは安いのか?

 俺にとっては高いのだけど、これで手元にある金額は1万円を切ってしまった。

 牛が殿くらいの量を食うかもわからないので、牧草の種も購入しておく。家庭菜園スペースではなく、牛小屋付近のスペースで育てられのは地味に助かる。

 余剰の燻製肉や、魚も売らないといけないかもなー。生活が……厳しい。


「お父さん、牛さんの名前どうしますか?」

「モモは何がいいと思う?」

「杏姉様が和牛と呟いていたので、それがいいと思います!」

「にゃーん」


 乳牛と和牛って違うんじゃないのかな? 姉さん、牛が死んだら食う気まんまんじゃないっすか。ヨダレが垂れてますよ。まだ食ったらダメですからね。


「それじゃあ、和牛にしようか」

「はい! お父さん、元気がないですか?」

「ちょっとね」


 モモにお金が少し減ってきている話をするべきか、いやいやまだ10歳の子供だぞ。心配をかけるべきではないけど、お金についても教えておいた方がいいか。


「にゃーん」

「お金ですか? あの、モモも頑張ります!」


 姉さんはまた直ぐにバラしてしまう。まぁ考えなしに姉さんが割って入ったわけではないだろう。


「ご飯の備蓄もあるし、直ぐにどうこうってわけではないんだけどね。この庭で暮らすのに家賃はないけどお風呂も含めてお水も家の明かりもお金がかかるからね」


 モモは少し驚いてむむむと可愛らしく考え、その答えが返ってくる。


「お風呂は週に1度で大丈夫です。明かりもつけないようにします」

「モモ、そこまで切迫してないから、お風呂は毎日入ろうか」

「でもお父さん、困ってます」

「予定外の家族、和牛も増えたからね。少し手が足りなくてさ」

「私、大きくなってできることが増えました!」


 確かに小さい時と比べて、モモのできることは増えているけど、モモはまだ子供のわけだし、そこまで仕事を割り振るのはなぁ。


「にゃーん」


 働かざるもの食うべからずですか、モモだっていつまで子供のわけではないし、できることは増やしてあげた方がいいのも姉さんの言う通りだ。


「じゃあ、モモには家庭菜園の手伝いに加えて、和牛のお世話とお昼ご飯を任せていいかな」

「はい!」


 逞しく育つモモは今日も可愛い。

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