25 魚
囲炉裏とかロマンがあるなー、今の家では絶対無理だけど。将来的には絶対に作りたいなぁ、こうなってくるとやっぱ和風建築の路線を行きたいな。次の家のバージョンアップは選択とかできないのかな。
魚のカゴ罠は仕掛けておくだけで、魚が確保できるようで木材が20、1万円で作ってくれるようだ。自動で確保できるのはいいけど、そんなに魚食わないと思うし、狩りの要素については大福っていうチートキャラが配備されているからなぁ。
小川はどんな機能があるのか正直よくわからない。家の側まで川から水を引っ張ってこれるようで、これは多分なんだけど水田用のアイテムではないかと思っている。小川で近くまで水を引っ張って用水路で繋げる。問題は300の石材が必要なことだ。石の量は問題ないけど、石材の加工に75000円かかることだ。秋までにコツコツ貯めないとなー。
気を取り直して魚、魚と。大福とモモのおかげで50くらいの魚をゲットできた。何種類かいるが正直、名前なんてわかるわけがないので内臓を取ってシンプルに塩焼きにしてみる。
この量を家では焼けないのでバーベキューコンロを引っ張り出して、焼き魚にしていく。ついでに前に使用した燻製機で燻製にできないか試して見たが、これがビンゴだったららしく、魚の燻製が作れるようなので20くらいは燻製へと回して良さそうだな。
魚の燻製って味がぎゅっと凝縮されていて、少し炙って白いご飯と味噌汁と卵焼きと、ご機嫌な朝ごはんセットを今度作ろう。おっと今は焼き魚だ。
「にゃーん」
「はいはい、待ってください。今から焼きますからね」
ガンジュさんのおかげで俺も火を着けるのが上手くなったんですから心配しないでください。
火が安定するまでは台所でモモと魚の処理をしていく。なんだかんだで、モモが包丁を持つのは初めてのことである。
最初に手本を見せて、2回目は俺がモモの手を取って、サポートしながら捌いていく。
「筋がいいね、モモ」
「ありがとうございます! お父さんが台所に立ってるの見てたので!」
小さい時と言っても最近ではあるが、よく台所で俺が調理してるの見てたもんな。あんなに小さかった子が今ではこんなに大きくなってしまって、泣けてくるぜ。
最初こそ、切り口が曲がったり、一回で切り開けずボロボロにしていたが、10匹もやれば綺麗に捌けていた。
「モモ、ここは任せていいかな?」
「はい!」
「姉さん! モモが怪我しないように見といてください!」
「にゃーん」
姉さんと変わって、捌いた魚を持って外に出る。塩を振って軽く焼き始め、良い焼き色になったらもう1回塩を振る。
ううう、大根は来月からなんだよなー。大根おろしも欲しいぃ。
「お父さん、全部できました」
「ありがとう、助かったよ」
モモの頭を撫でると、エヘヘと嬉しそうにする姿がまた可愛い。うちの子は可愛い、異論は認めない。
20を当初の予定通りに燻製に回して順々に魚を焼いていく。
「さぁ焼けたぞ。俺はいいからどんどん食べちゃってくれ」
「わん!」
「にゃーん」
骨という概念がないかのようにかぶりつく大福と器用にそして綺麗に食べる姉さん対照的だ。
「モモは食べないのか?」
「どう食べるのが正解なんでしょうか?」
「そうか、初めてだもんな。姉さんの食べ方が正しいかな。大福の真似をすると骨が刺さるからな」
「わん?」
ボリボリと骨を噛み砕く音、カリカリを食べる音もいいけど、こっちも気持ちいなこれ。
魚の背に沿って、切れ目を入れて、モモの魚を開いてあげる。
「綺麗に開いてます!」
「食べてごらん」
んー! っと箸をぎゅっとして振り回す。
行儀が悪いのでやめなさいと、野暮なことは言わない。美味しいなら何よりだよ。
ある程度の量を焼いて、大福と姉さんも満足そうなので残った魚を俺もいただくことにする。
パリッとした皮の食感の後に上質な油、魚の味が口に広がる。なにこれ激うま!
「姉さん、この魚やばくないですか? この世界の肉とか魚ってどうなってるんですかね」
「にゃーん」
「お父さんの世界の魚より美味しいですか?」
「美味いと、俺は思うね。大根だけ買おうかな、大根おろしに醤油をつけて白米でかきこみてぇ」
「お父さんってご飯好きですよね」
「そうだな、日本人のソウルフードだしな。モモは嫌いだったか?」
「好きですよ! でもお魚だけでも十分美味しいです」
そうか、まだモモのソウルには白米が刷り込まれていないのか。白米なしではダメな体にしてやるから楽しみにしてろよ。
「ぬふふふふ」
「にゃーん」
今日も悠は気持ち悪いじゃないですよ!




