22 雨音
あと少しで西瓜も収穫かー、雨雨降る降る嫌だなー、恵の雨なのかな。ゲームなら水やりをやらなくてよくて別の作業に集中できるぜ! みたいな感じなんだが、実際にこの雨の中で木こりの真似事をするのはしんどい。
モモは成長痛? は良くなってきてるようだが、急激な変化で体の感覚が少しおかしいらしい。今はショッピングサイトで購入したバランスボールに座って、姉さんを膝の上でブラッシングしている。俺は直ぐに滑り落ちてしまうというのに若いとは素晴らしいね。
大福はといえば、縁側で尻尾をフリフリしながら外を眺めている。外に出て泥んこ遊びをしたそうにしているが、外に出て泥だらけになったら3日間のおやつ抜きと言っている。大福を洗うのは大変なんだよ。
今日は改めて石材について検証をしようと思っている。ガンジュさんが買取箱に入れておいてくれた石は300と表示されている。キロとかではなく、300この石材になる量が入っているということみたいだ。
木を1本加工するのに5000円で20個の木材ができるが、石も同様で1つ選択し加工するれば20個の石材になる。そう考えれば300の石はかなりの量を集めてくれたなー。今度改めてお礼を言おう。
新しい家のアップグレードには500万かかるが、木材を500と石材を200あれば100万でいけるようで、石の個数は足りているので、あとは200の石材に加工するための金が必要。木材はなんだかんだで60くらいしか残っていない、まぁこれだけ残っているのはドナルドさんのおかげなんだど、あれだけ燻製器や皿関連に使用してこれだけ残っていば御の字ではある。
金は日々、多めに料理を作って買い取りに回したおかげもあり5万は確保できているが、急な出費に備えてできるだけ節約したい。
「にゃーん」
「ええ、石材を作ってみるとこでした」
モモのブラッシングが終了したのか、クラフト画面を横から姉さんとモモが覗き込んでくる。
試しに5000円を支払い、石材を作成する。直ぐに石材でクラフト可能な物がアンロックされていく。
石の食器とか使いずらそうだなー、石畳? リストに載っているが石材が1つで5メートル。ゲーム内だとただの装飾アイテムなんだよな。試しに作ってみるか。
自宅の前が水浸しで土の部分はドロドロだし、芝生の部分もぐしゃぐしゃだ。畑まで一直線に石畳を敷いてみる。
石材を5個消費して、妖精さんが出てくることはなく、自動で石畳が敷かれる。これは意外にしっかりしてていいな。
「お父さん、歩きやすそうですね」
「そうだな、悪くないけどそこまで大量に敷く余裕はまだ無さそうだなー」
石畳を作った成果か、石材を消費した成果か、用水路がアンロックされた。これは田んぼ関連かな? でもそもそもの水源が遠すぎて引っ張ってくるとなればどんだけ石材が必要になるんだよ。
用水路は1つの石材で1メートルとめちゃくちゃ高い。5000円で20個だから、5000円で20メートルか。少なくとも滝まで500メートルはあるだろうし。125000円、やべぇ。
「ゲームだったら川が最初からあったり、追加要素としてアンロックできたりするんですけどなぁ。あの神様がここまで鬼畜仕様で遊ぼうと考えにくいんだけどなー」
「にゃーん」
「確かに滝壺の方の川関連は全然触ってませんからね。晴れたら早速触ってみますか。モモは釣りしたことあるかい?」
「釣り? ですか」
「お魚は知ってるかな?」
「おさかな?」
村を作るなら川や水源付近ってイメージがあるけど、モモがいたとこは違うのかな?
「モモは川ってここに来るまで見たことあるか?」
「なかったです。村から出ること自体がなかったので……」
「いや、なんかごめん。あの水がいっぱい流れている中に、魚って美味しいのがいるんだよ」
「美味しいんですか!」
「ああ、釣りは好みが分かれるけど、晴れたらお弁当を作って釣りに行こうか。暑いし涼むにはちょうどいいぞ」
「はい!」
うちの子は可愛い。




