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家庭菜園物語  作者: コンビニ
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4ー16 いつもの晩餐

★悠視点

 

 客人を迎え入れて、部屋割りを改めて変更した。

 当初は俺の嫁候補となる女性も来る予定だったしね。ぐぬぬ。


 イールお姉ちゃんが子供達の面倒を見ると言い始めたので、イールと奥さんと子供2人は同室。ついでにヴィもセットでつけようと思ったらイールに難色を示されてしまった。寝相が少し悪いらしい。

 ガンジュさんと聡介、俺とハル、まさかのヴィが1人部屋となった。部屋が余るならガンジュさんに1部屋使ってもらおうと思ったけど、何歩か譲ってもヴィも女子だし仕方がない。


 荷物を置いて荷解きをしてもらい、イールがお姉ちゃんぶりをはっきして子供らに玩具や絵本を見せてあげたりしている。絵本はイールを題材に作ってもらった白猫物語だ。簡単にいえば白猫とか毛の色の違いだけで不幸なんて呼ばないよっていう偏見をなくための本である。

 

「お姉ちゃんって言っても1歳くらいしか違いはないのにな。俺が小さい時とか近所の子の面倒をここまで見ようとは思わなかったなぁ」

「イールちゃんがしっかりものなんじゃないっすか? いいことじゃないですか」


 子供らで遊んでる空気と少し騒がしい声が家に響くのは幸せを感じるね。

 

「僕なんて一緒に遊ぼうかって聞いたらイールさんにシャーって言われました。寝るのも別になっちゃうし」

「ざまみろ」

「ユウさん、少しは本音を隠してください」


 少しは俺の気持ちがわかっただろう、お兄ちゃんはお役御免のようだな。だははは!

 

「さて、それではちょっと早いけどまったり夜ご飯の準備をするか」

「兄貴、今回は何を食べさしてくれるんですか?」

「やっぱり人が多いならあれでしょ!」

「鍋っすか?」

「バーベキュー!」

「流石にちょっと寒くないですか?」

「ぎりいけるだろ!」


 ハルとガンジュさん、俺で縁側前にバーベキューコンロを設置していく。

 早めに子供達を腹一杯にさせて寝かせる。大人達で引き続き、飲みながらまったりとバーベキューを楽しむ作戦である。


 まずは野菜、そして肉、魚などは別で焼いていく。

 聡介は奥さんに代わって小さい勇気君の面倒を見ている、奥さんが先にご飯を食べる形らしく、縁側にはイールと牡丹ちゃん、奥さん、姉さんで並んでいる。大福は早く寄越せとガンジュさんの足元で待機している。逆らえく、意思の疎通がとれるガンジュさんの元に行くあたり狡賢くなったもんだな。


「それでは牡丹ちゃんとルリアさんからまずどうぞ」


 良い色に焼けた玉ねぎとピーマン、ナス、アスパラなんかの詰め合わせを出していく。

 

「イールはお姉ちゃんだから、食べるの我慢して牡丹ちゃんのお世話できるよな?」

「で、できるもん!」


 涎を拭きながらイールが箸の使い方を教えつつ、野菜を小さくしてあげている。

 微笑ましい光景だ。


「おいしい!」

「本当、主人の噂以上に美味しいです!」


 牡丹ちゃんの可愛らしい反応は新鮮だ。奥さんも気に入ってくれたようだ。


「俺、子持ちでも全然ありですから。聡介に我慢できなくなったらいつでも来てください」

「ユウ様はお上手ですね。ありがとうございます、でも夫を愛してますので」


 おっふ。これはご馳走様です。


「人の嫁を口説かないでください」

「夫の方は余裕がないねー」

「ユウは勇者殿の子供を呼ぶ時、少し違うな」


 いつ間にか肉を独占してヴィがモゴモゴしつつ、俺に声をかけてきた。野菜も少しは食べろよ。うちの野菜は最高なんだぞ。


「そりゃあ、俺と兄貴は同じ異世界人ですから。牡丹とか勇気って直ぐに漢字だってわかったでしょ」

「まぁな」

「ユウは異世界人だったのか!」


 あれ? 言ってなかったか? 


「僕は薄々そうじゃないかとは思ってましたけど、積極的に聞くことでもないかと思いまして」

「その割には弱いな」

「異世界人がみんな強いとは思うなよ。俺はヴィみたいな野蛮人と比べたらか弱くて繊細なんだよ」

「ほう、言ってくれるな」

「姉さん助けて! いやああああ! セクハラよ!」

「ぬはは! ほら、高い高いをしてやろう!」


 高い、めっちゃ高い。お星様になっちゃう!


「イールも!」

「あたしも!」


 牡丹ちゃんとイールのおかげで助かったけど、異世界の子供はこんな怖いことを喜ぶのか?

 俺よりも高い位置まで飛んでると思う。

 ある程度、高い高いを楽しみ、肉や野菜を堪能すると、イールとヴィの案内で子供組と奥さんはお風呂に行ってしまった。

 ここからは大人の時間だ。ビールに焼酎を取り出して酒盛りが始まる。


「うん、これは美味いな。ビールよりも強くて好みだ」


 ガンジュさんは芋焼酎のロックが気に入ったようで、聡介は果汁で割った焼酎なども様々な方法で楽しんでいる。ハルも飲める年齢ではあるが俺基準ではNGなので飲ませることはない。

 ハルはガンジュさんと最近の近隣の状況であったり、帝国の様子などの意見交換をしていた。宰相に近い仕事を最近しているらしく、ハルとはある意味で会話が弾んでいた。


「小難しい話だな」

「そうっすね」

「勇者様はそういうの理解しておかなくていいわけ?」

「俺は生産系の勇者ですから、最近は忙しすぎて目が回りそうですよ。だから政治絡みは完全に嫁に任せてます」


 適材適所ってやつか。


「よく休みが取れたな」

「悠さんの嫁関連にかこつけて無理やりですよ。あとは冬は多少余裕もできますから、休みが欲しいって暴れたのもありますけど」

「お前らしいな。嫁の件では迷惑をかけて悪かったな」

「いえいえ、また見繕いますよ。大福様の審査を通ればいいですけど、いっそのことエリゼちゃんとイールちゃんが適齢になったらとかどうなんですか」


 こいつマジでなに言っちゃってるの?」


「そ、そんな目で見ないでくださいよー、だって血の繋がってない育てた娘と結婚とかあるあるじゃないですか」

「現実は違うんだよ。少なくとも俺は考えられんな」

「いやー、いい湯だった!」


 ビールを片手にまだ微妙に濡れたままの髪で肉を焼き始める脳筋女が現れた。

 タンクトップに短パン、寒くないの?


「ヴィ、髪くらい乾かせ」

「大丈夫だ、この火で乾かすから!」

「絶対に髪が焼肉臭くなるだろうがアホが!」

 

 縁側に座らせて、ドライヤーを引っ張り出し乾かすのを手伝う。俺が乾かしている間にもビールを飲みながら肉を摘み続けやがって。

 最後にタオルで髪を巻いてやる。これで匂いも移りにくくはなるだろうか。


「ご苦労、ご苦労!」


 笑いながら、再び焼肉を焼くのに戻って行った。


「悠さん、あの子は?」

「アリだと思うのかお前は?」

「悠さんみたいなお母さんならいけるんじゃないですか?」

「誰がお母さんだ」


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