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神対応(コント台本)

作者: ほたて丼太郎

ゲラゲラコンテスト4応募作です。笑っていただけたら嬉しいです。


 ワンルームで男がテレビを見ながらくつろいでいる

 ピピピ…と着信音が鳴り男がスマホを取る


男:「ツイッターか? なになに『今日は恋愛成就の神社へお参りしてきた。明日は玉砕覚悟で告白や!』やて? おー、やるなぁケンジ!」


男「リプ返したろ『神頼みなんて無駄やで。神様なんておるかい! けどお前なら大丈夫や頑張れ!』 これでよしっと、送信」


男「ふわぁ、そろそろ寝よか」


 男がベッドに入り照明消える

 暗闇にエコーのかかった声が響く


神「罰当たりな無神論者よ、目覚めよ」


男「んー、なんや…」


神「我は神、其方に罰を与えに来た」


男「なんやねん神様って…」


 舞台にスポットライト

 白装束の髭面の神がベッドの脇に立っている

 眠そうに起き上がった男が驚く


男「な、なんやあんた」


神「我は神だ。そう申したであろう」


男「なんで神様がこんなとこおんねん」


神「其方に罰を与えに来たのだ」


男「罰? いや、全然心当たりないです」


神「我は森羅万象を司る者、とぼけても無駄だ」


男「マジないです。めっちゃ真面目に生きてますんで」


神「では、先ほどの書込みは何だ」


男「書込みって…ツイッター?」


神「我の存在を否定したであろう」


男「『神様なんておるかい』ってリプ送りました。それが?」


神「神に対するヘイトスピーチだ」


男「ヘイトスピーチ!?」


神「しかも神など存在せぬと世界に向け虚偽の情報まで発信した」


男「リプ送っただけですやん」


神「紛れもないディープフェイクの拡散である」


男「で、でーぷふぇいく?」


神「しかも貴様は人間のくせに神と名乗っておる」


男「俺の苗字が『神谷(かみや)』なだけや! 言い掛かりですやん!」


神「貴様には人間界でもっとも残酷かつ無慈悲な刑を処するとしよう」


男「俺…死刑とかなるんですか?」


神「貴様の刑は…」


男「うわぁ」


神「一生ネットに実名でしか書き込みできない刑である」


男「うわぁ…ん? なんなんスかそれ?」


神「だからネットに実名でしか書き込めないのだ、一生」


男「死刑じゃなくて良かった…ん? いやいや、それあきませんやん」


神「ではさらばだ。罪を悔いながら一生を過ごすとよい」


男「ちょっと待って下さい、帰らんといて」


 舞台暗転

 暫くして舞台明転、ベッドに寝ていた男が起きる


男「嫌な夢見た…って、ほんとに夢やったんかな?」


 男はベッドサイドにあるスマホを取る


男「ツイッターは…うわっ、アカウント名が本名の"神谷ひろし"に変わってる!」


男「ほ、他はどうなんや」


男「アイドルブログに送ったキモいメッセージが全部本名になってる!」


男「アダルトサイトのレビューめっちゃ書いてたけど……これも全部本名や、シャレならんて!」


男「5ちゃんねるは…『神谷ひろしさん@お腹いっぱい』になってる。全然匿名掲示板やないやん!」


男「あの神様、なんちゅうことを…」


 頭をかかえて舞台を歩き回る男


男「匿名でネットに書込むことでストレス解消していたのに、こんなんやったら生きていかれへん…」


男「神様の怒りを鎮める方法ないかな…」


男「ダメ元でお願いしてみよ。神様、どうか私を許してください」


 上手から神様再び登場


神「呼んだ?」


男「来るんかい!」


神「なんだその態度は、我は帰るぞ」


男「帰らんとって下さい。神様、どうか今回の件は水に流してネットに匿名で書き込めるようにしてください」


神「今後は不敬を働かないと誓うか?」


男「誓います誓います」


神「神を名乗らぬか」


男「できるだけ名前で呼んでもらうようにします」


神「では今回に限り不問に処す。二度と神を貶めるでないぞ」


男「ありがとうございます!」


 神立ち去る


男「あぁ良かった許してもらえて。でも、ほんまに元に戻ってるんかな…」


 男、手に持っていたスマホを操作


男「あ、ツイッターのアカウントが元に戻ってる!」


男「アイドルブログの『Mステ出た時の脇汗がすっごいセクシーでしたね』のコメントもハンドルネームの"ひろりん"に戻ってる!」


男「でも、実際書き込みしてみないと本当に戻ったのか分からへんな」


男「よし、アダルトサイトに書き込みしてみよっと…『三上悠亜ちゃんの、童貞部下シリーズ最高でした。まさに神ビデオと呼ぶにふさわしい』…よし、送信と」


男「よっしゃ、ちゃんとハンドルネームで書き込み出来た」


神「呼んだ?」


 上手から神様が再び登場


男「また出た!」


神「神ビデオとか言うから」


男「違うんです。決して神様を愚弄する意図はなく、自分なりの最上級の例えで」


神「AVなぞを神だとぬかしおるのか」


男「すいませんすいません、」


神「まったくもって同感じゃ。三上悠亜は神女優じゃからな」


男「は?」


神「我は『ネトラレ同窓会』がお気に入りでの」


男「いや、神様もAV見てるんかい!」


男「っていうか、俺は許されへんのに、AV女優が神扱いはええんかい!」


 男、おもむろにスマホで電話をかけ始める


男「おお、ケンジ? 今日の告白やめとけ、神頼みしたのが失敗や。ええから聞けって。神様なんてロクなもんやないぞ!」


─ 了 ─


謝ることが大事ですね、何事も。

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