第二話
町のシスターさん。
今日もまた、悩みを持つ人がやってきます。
どうやらこの町の住人、癖が強い人が多いみたいです。
私の名前はマリエス、教会のシスターです。
今日もまた悩んでる人がやってきたみたいなので、悩みを聞きたいと思います。
教会にやって来たのは、結構年がいっていそうな男の人でした。
腰に剣を装備していますし、この方は剣士と呼ばれている方なのかも知れないですね?
悩みがあるみたいですし、この方の悩みを聴く事にしましょう。
「教会にようこそ、貴方の悩みを聞かせて下さい」
私がそう言うと、男の人はこう言いました。
「シスターさん、俺……どうしたらいいですかね?」
「一体どうしたのですか?」
「実は俺、職業の儀式を受けたんです、シスターさんは職業の儀式をご存知ですか?」
「はい、知っておりますよ、この町にある職業安定所で執り行われている儀式の事ですわね、私もそこで儀式を受けて今のシスターになりましたしね」
「そうなんですか、俺もなりたい職業があったから受けたんですよ、そしたら……俺の職業、勇者って出てしまったんです……」
「勇者ですか!?それは凄いですね!?確か、勇者って逸材中の逸材って言われる職業じゃないですか、それがどうしたのですか?」
「俺、なりたい職業って農夫なんですよ、だから勇者やめたいんです、そう言ったらお前は何を言ってるんだ!って言われてしまいまして、職業変更を希望したのですけど、受け入れ拒否されてしまったんです。しかもこの剣何だと思いますか?」
「その剣って何です?」
「この剣、伝説の魔剣って言われてるんです。俺が勇者って判明してから、無理矢理王国に連行されて、その王様から頂いたのがこの剣なんです。勿論受け入れ拒否したんですよ?でも勇者が持つにふさわしい剣だって言われて……で、しかたがなく持ってるんです」
「そうなのですか、ところで勇者と言うことは、それに対なる者がいると言う事ですわね?」
「はい、王様から言われました。魔王が復活したら退治するのだと、魔王を倒すのが勇者の仕事だと……で、シスターさん、俺、どうすればいいですかね?」
「そうですわね……貴方は勇者をやりたくないのですわね?」
「はい、やりたくないですね」
成る程、ここはどう言えばいいのですかね?
なら私は思った事を助言すればいいだけですわね。
「解りました、では助言させて頂きますわ、まず……勇者の貴方、貴方は農夫をやりたいっておっしゃいましたね?」
「はい、そうなります」
「なら農夫をやると良いですわ、魔王がいつ復活するか分からないのでしょう?魔王が復活するまでの間、農夫として生活すると良いですわ、別に勇者が農夫をやってはいけないと言う決まりはないですしね?それで解決すると思いますわ」
私がそう言うと、勇者さんは決意を固めたみたいですわね?
「そうですね……勇者ってしただけだし、農夫としてやってもいいなって思うかな、シスターさん!話を聞いてくれてありがとうございます!俺、この町で農夫やります!」
「え、この町でですの?それはどうしてです?」
「シスターさんは、知らなかったのですか?この町は農作物が育ちやすいんです。元々農夫になったらこの町で農夫をやるつもりだったので、あ、外獣駆除も引き受けますよ、獣を狩るのは慣れているので、シスターさん、話聞いてくれてありがとうございます!」
「いえ、私は助言しただけですので……では、勇者さん、農作業頑張って下さいね?」
「はい、ありがとうございます!あ、俺、妻とこの町に移住する事になると思うので、挨拶に伺いますね」
「解りましたわ」
こうして、この町に新しい住人が住むようになったのでした。
その後の事、彼は住人からユウさんって呼ばれる事になったみたいです。
何でも本名がユウゴって言うらしいですし、本名を略してるので住民には彼が勇者ってバレてないみたいです。
そんなユウさんが作る農作物は結構評判が良く、私にもお裾分けしてれるので非常に助かっています。
ただ……私は知ってしまいました。その知ってしまった事と言うのは……
ユウさんの奥さんが魔王だと言う事です。
この事実をユウさんは知りません。
まあ、ユウさんが奥さんにベタ惚れですし、奥さんの魔王、ここではマオさんと名乗ってますけど、そのマオさんと何故か私、友達になってしまったんですよね?私、一応シスターなのですけど……
一応この町は魔王と勇者がいるので、防衛に関しては最強なのだと思いますわね……
私はマリエス、そんな町の教会のシスターをやっていますわ。