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975/1384

975.突き進むメイたち!

「……レンちゃんたち、どうしてるかなぁ」

「きっと何も問題なく、地下を進んでいると思います」

「そうだよねっ」


 そう言って笑い合う、メイとツバメ。


「でもこうやって、獣たちの鳴き声とか自然音がしない密林って不思議な感じだな」

「まったくぽよ」

「メイさんとしては、魔物の足音が聞こえやすかったりしますか?」

「はいっ。茂みを通る時の草の音が聞こえやすいかもっ」

「さすが、実家がアマゾンだと違うな」

「アマゾンではございませんっ!」

「おいおい、メイちゃんはアマゾン住まいなんかじゃないぞ」

「そうなんですっ!」

「ボルネオ島だぞ」

「違いますっ!」


 遺跡深くに広がる、魔物の密林。

 そんな緊張の空間でも、自然と盛り上がってしまうメイたち。

 メイとツバメはもちろん、掲示板組も楽しそうだ。

 そして木々の密度が下がった、広い空間に出た瞬間。


「……ここからは少し、ハードかも」


 やはり最初に異変に気づいたのはメイ。

 空中を速い速度で滑空してくるのは、怪鳥型機械。

 完全な鳥というよりは、グリフォンのような雰囲気をしたその魔物は計8体。

 一斉に攻撃体勢に入る。


「【グリーンハンド】! 【バンブーシード】!」


 しかしメイが手を突き、スキルを発動すると一気に高々とした無数の竹が天を突く。

 そして怪鳥型を、まとめて竹の檻に封殺。

 激突した魔物たちは地に落ちる。


「おおっ! 敵の先手にカウンターが入ったぞ!」

「いけいけ! 飛行型は落ちた時が狙いどころだ!」

「【奈落落とし】!」


 半裸に金仮面の男が、いち早く叩き込むハルバードの一撃。

 前衛組も続けて踏み込み、次々に怪鳥型に攻撃を叩き込む。

 一瞬で戦況を圧倒的有利にしたメイの目はしかし、すぐに次のターゲットを確認。

 見えたのは、巨大なヘビ型機械。

 下草に身を隠しながら、一人の剣士に狙いを定めている。


「ッ!?」


 突然背後から首を持ち上げた大蛇に、思わず硬直する剣士。


「【バンビステップ】!」


 メイはすぐに走り出すが、大量にそびえる竹が今度は邪魔になる。しかし。


「ちょっと道を開けてくださーい!」


 その一言で【密林の巫女】が、一斉に竹をしならせ道を開く。


「おおっ!」

「竹が道を開けていくぞ!」


 その壮観な光景に、目を奪われる掲示板勢。

 竹の檻を駆け抜け、一気に剣士のもとに駆けつけたメイ。

 するとその大蛇の後をつけるように、もう二体ヘビ型がいた事に気づく。

 一体目に攻撃を叩き込めば、残り二体が攻撃に入るという罠のような布陣になっていたようだ。

 メイはすぐさま足元に手を突く。


「【グリーンハンド】【アイヴィーシード】!」


 すると一気に伸びたツタが、三体の大蛇を捕らえて拘束。

 剣士への攻撃はもちろん、オトリの布陣までまとめて崩した。


「その計算では、メイさんにダメージを与えるには甘かったようですね【マグネットマイン】!」

「我は放つ【爆炎矢】(バーストアロー)!」


 すぐさま追ってきた計算氏と、90年代氏の攻撃。

 どんな位置から投げても、敵に向かって飛んで張り付く爆弾が炸裂。

 続けて90年代氏の放つ炎の魔法が、大蛇を焼く。


「ありがとうございますっ! 最後は全力の【フルスイング】だああああ――――っ!」


 残った一体を、メイの剣が斬り飛ばして打倒。

 続く敵の攻勢を、見事に弾き返してみせた。


「……やっぱメイちゃん、実家アマゾンだよね?」

「違いますっ! ……ニュ、ニューヨークです……」

「っ!?」


 もはや日本でもない設定に、ツバメはさすがに噴き出してしまう。


「ん……? これはなんだ?」


 しかし木々の多いこの区間、掲示板組の一人が異変に気付く。

 木々を渡るようにして、伸びていく枝葉。

 それは鉄条網のようにメイたちを囲い込み、また非常に固い。

 短剣を振るうも、一撃では切ることができなかった。


「閉じ込められた……!?」

「おい、あれを見ろ!」


 生み出された自然のリングに入ってきたのは、巨大な灰色クマ型機械。

 その体躯は、見上げるほどだ。

 さらに状況は変わる。

 付近の木々の実から吐き出されるのは、花粉のごとき大量の白粉。


「視界が……っ!」

「この白霧状態の中で、クマと戦えってのか……! 【フレイムバレット】!」


 放つ魔法は、光を一瞬輝かせて消える。

 どうやらすでに、灰色クマは動いてようだ。


「伏せてくださーい!」


 聞こえたメイの声に、全員がすぐさまその場に伏せる。

 するとマウント氏の頭上スレスレを、灰色クマの爪が右から左へ抜けていった。


「あっぶねえ!」

「いーちゃんお願いっ!」


 しかしメイは慌てない。

 肩に現れたいーちゃんが吹かす暴風で、白粉を吹き飛ばす。


「【飛び跳ね】!」

「【バンビステップ】!」


 そして走り出す、スライムとメイ。

 クマの前に躍り出たのはスライム。

 振り上げた爪が降ろされる前にタックルを左足に決め、姿勢を『二足』から『四足』へと崩す。

 すると灰色クマは四足の状態から、喰らいつきにきた。


「うわっと!」


 メイはこれを急停止で回避。

 するとスライムのタックルがクマの側腹部に当たり、さらにバランスを崩す。


「ありがとーっ! 【キャットパンチ】パンチパンチパンチ! からの【カンガルーキック】!」


 すぐさま頭部に四発の猫パンチを叩き込み、ジャンプ前蹴りで再び体勢を崩す。


「【飛び跳ね】【材質変化・鋼】【ボディプレス】ぽよーっ!」


 続く連携。

 頭上から落ちてきた鋼鉄スライムの落下に、灰色クマが弾かれ転がる。


「メイさんっ! 【材質変化・鋼】【可変・大槌】!」

「【ラビットジャンプ】【アクロバット】!」


 二人のコンビネーションは止まらない。

 大型ハンマーになったスライムを掲げたメイは、そのまま跳躍して一回転。


「それええええええ――――っ!!」


 力いっぱい振り下ろす。

 深々と突き刺さった、スライムハンマー。

 地面をバウンドして転がった灰色クマは、そのまま鉄線のような枝葉に突っ込み急停止。


「お願いします! 【危険植物ちゃん】!」


 しかし最後のメイが投じた種が、クマの前の地面で発芽。

【密林の巫女】であっという間に伸びた種は、化物のような巨大な花を咲かせる。

 そしてHPの大きく減っていたクマに喰らいつくと、そのまま容赦なく飲み込んだ。


「……すげーっ」

「女の子がデカいハンマーを振り回す姿は、やっぱいいな!」

「スライムちゃんとメイちゃんも、また普通に面白い連携するよなぁ」


 最後はメイと、身体を伸ばしたスライムのハイタッチ。

 皆も拳を振り上げて歓喜する。


「楽しいし、負ける気がしないな!」


 植物祭からイタチ、スライムと続く連携に、半裸金仮面も満足そうだ。しかし。


「お、おい金仮面、後ろ! 後ろっ!」

「……え?」


 振り返るとそこには、その口を大きく開いた危険植物の姿。


「メイちゃんの危険植物って、プレイヤーも喰う感じなの!?」

「逃げろ! 今すぐ逃げろーっ!」


 全力で走り出す掲示板組に、メイとツバメも続く。


「待ってくれ! このままだと喰われるーっ! ていうかこの植物、動くのかよォォォォーッ!」


 砂煙をあげ、猛然と追ってくる危険植物。

 最後尾の金仮面の悲鳴に、逃げながら笑う掲示板組。


「わあーっ、これは大変だーっ!」

「とても大変です……っ!」


 つられてメイとツバメも笑う。

 快進撃を続ける地下密林組はもう、楽し気な笑いが止まらない。

誤字脱字報告、ご感想ありがとうございます! 適用させていただきました!

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[一言] 借金取り立て黒魔術士やんけ(笑) 年代氏が剣もってるならバルトアン◯ルスかな あるいは風呪文使える◯◯の剣とか
[良い点] メイちゃんの実家が海外に…! …ガチの野生児ちゃんになっちゃう! [気になる点] 危険植物ちゃんが危険植物すぎてまさに草 (ただし密林の巫女もちメイちゃんだけには素直に従う) [一言] 9…
[一言] 論理クイズの第6のヒント 幼女Aの操作のポイントは、任意の1マスのポーンの「有」「無」状態を切り替えられること 最初に多くの方が考える「幼女Aの操作の意味」。 マスにはポーンが「有る」状…
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