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972.再会

「敵が来たよ!」


 掲示板隊とはぐれた迷子ちゃんと樹氷の魔女と共に、本隊への合流を目指すメイたち。

 進む地下遺跡の中で立ち塞がったのは、剛腕を誇る二本角の大猿型機械。

 遺跡らしい石柱が並び、そこに食い込んできた植物が枝葉を伸ばすホールのような区画。

 現れた二体の大猿はいきなり、石柱に手をかけた。


「石柱の倒壊……! メイ、お願い!」

「おまかせくださいっ! ゴ、【ゴリラアーム】……っ!」


 大猿は倒した石柱を投擲。

 狙いは、こちらの複数人を巻き込んでの衝突ダメージだ。


「す、すぐにそちらへ向かいますっ」


 まもりは走り出し、硬直中の迷子ちゃんをメイの背から受け取り退避。

 迫る石柱に対して、メイは両腕を掲げて受け止め体勢を取る。


「よいしょおっ! お返ししますっ!」


 そのまま大猿に投げ返して、ノーダメージで打倒。

 しかしまもりの方には、もう一体の大猿型が迫る。


「【加速】【紫電】!」


 これをツバメが電流で強制停止して、まもりと迷子ちゃんを守る。


「【三日月】!」


 そして【村雨】による一撃を叩き込んだ後、【跳躍】で道を空ける。


「【三連射】【アイシクルエッジ】!」

「【連続魔法】【フリーズボルト】!」


 氷の刃に斬られた巨猿が、さらに氷の弾丸に撃たれて倒れる。

 だがそこに見えたのは新手、炎トカゲ型機械だ。

 二メートルほどの体躯に、竜のような顔。

 噴き出す炎で、まもりを狙う。


「まもりさんっ! 【加速】!」


 即座に駆け寄ったツバメが、迷子ちゃんを抱えてまもりの背後へ。


「【天雲の盾】!」


 放たれた炎から、無事防御に成功。

 すると炎トカゲ型が、跳躍からのボディプレスをまもりに仕掛けてきた。


「【低空高速飛行】!」


 レンは飛行で接近し、迷子ちゃんを引きずり移動。

 それを確認したまもりは、ボディプレスを前に走ることで回避する。

 直後、床にヒビを走らせる一撃が炸裂。

 同時に炎が燃え上がった。


「【バンビステップ】からの【フルスイング】!」


 そこに駆けてきたメイがそのまま、大きな剣の振りで炎トカゲを一撃打倒。

 そして引きずられる形で退避した迷子ちゃんを、再び回収する。

 こうして続く敵の流れを、見事に片づけた。


「迷い子を受け渡しながらの戦い、お見事と言ったところですね」


 クールな顔を作りながらも、レンとのコンビネーションにワクワクの樹氷の魔女。


「いや、麻痺で硬直したプレイヤーをパスしながら戦うパーティとか、聞いたことないんだけど」


 見事なコンビネーション中に迷子ちゃんを受け渡していく光景がどうしてもおかしくて、レンは笑ってしまう。

 そんな中、不意に迷子ちゃんがハッと顔をあげた。


「ごっ、ご迷惑をおかけしました!」

「迷子ちゃん、麻痺が直ったの?」

「はいっ、どうやら【麻痺針】の効果が切れたみたいです」


 ボロボロのメイド服に手甲という、変わった格好をした迷子ちゃんが、地に足を着きペコペコと頭を下げる。


「海底遺跡以来ですね」


 こうして六人全員が、通常状態に復帰。


「それじゃ、引き続きスライム隊を探しましょうか」

「はいっ、よろしくお願いいたしますっ」


 当たり前のように、迷子ちゃんを中心にして囲むような陣形で歩き出した。


「ついに遺跡をめぐる戦いも、世界を賭けるところまできたんですね」

「世界中のマップでクエスト募集がかかっていたのは、さすがに驚いたわ」

「フッ、全くもってその通り」

「あっちこっちで戦いの音が聞こえるし、すごいことになってるんだね!」


 メイは目と耳を凝らしつつ、道を選定。


「この階段を降りた先で、戦ってる感じかも」


 やがて、激しい戦いの音を聞きつけた。


「人数も結構いるし、スライムちゃんたちじゃないかな!」

「いきましょう!」


 当たり前のように位置を把握するメイと、それを信じて動くメイたちに驚きながら、樹氷の魔女も走り出す。

 迷子ちゃんを真ん中にした『おしくらまんじゅう』状態で石階段を降り、続く広い石段の空間へ。


「かかった! 【フレイムマイン】」


 計算君の地雷を踏んだ二本角の大ヤギ、バイコーン型が爆発に大きく体勢を崩す。


「【凪一閃】!」


 そこに踏み込んでいくのはマウント氏。

 剣の振り払いで、ダメージを加算する。


「まだまだあっ! 【奈落落とし】!」


 そしてそこに、高い跳躍からハルバードを降り下ろすのは、半裸に金の仮面をした男。

 力強い一撃で、バイコーン型を両断。

 HPゲージを吹き飛ばしたところに、駆けるのは一体のスライム。


「【砲弾跳躍】ぽよっ!」


 すさまじい勢いの体当たりが、トドメを刺した。

 しかし敵の出現は止まらず、さらに6体が同時に出現。


「敵の出現が、止まらないぽよっ!」


 わずかにたじろぐスライムたち。

 それを見てうなずき合ったメイとツバメは、先行する。


「【バンビステップ】!」

「【加速】!」

「【ラビットジャンプ】【アクロバット】!」


 敵が縦に並んだその位置を、メイは見逃さない。

 そのまま空中で華麗に一回転して、剣を振り下ろす。


「【ソードバッシュ】!」


 すると6体いたバイコーン型が、メイの一撃で吹き飛び、早くも残り2体となる。


「メイさんぽよ!」

「メイですっ!」

「うおおおっ!? アサシンちゃんも!」


 その凄まじい勢いに、思わず勢いづく掲示板組。


「【リブースト】【スライディング】【反転】【紫電】!」


 さらにツバメが、一体の動きを止める。

 もちろん【紫電】の効果を知るスライムは、即座に反応。


「【材質変化・鋼】【砲弾跳躍】!」


 重い衝突音を鳴らして、バイコーン型を弾き飛ばす。


「【投擲】!」


 ツバメはスライムが続いてくれることを予想して、攻撃ではなく残る一体の足止めに動いていた。

 投げた【雷ブレード】は見事にバイコーン型に当たり、またも硬直を作り出す。


「残る僕たちに一斉攻撃させれば打倒まで持ち込める。その計算、見事です……!」


 思わず唸る計算君。


「さすがアサシンちゃんだな! 【斬岩剣】!」


 駆けつけていたマウント氏が振り下ろす剣が炸裂。


「【豪快大回転】!」


 さらに金仮面が全力で振り回すハルバードが決まる。


「勝利は我らのためにあるっ! 【光の大剣】っ!」


 最後は90年代装備の男が、光属性の剣でバイコーン型を斬り打倒。


「おおっ! さすがメイちゃんたちだな!」

「一瞬で戦況が変わったぞ!」


 見事な勝利に、歓喜の声をあげる掲示板組。

 しかしその瞬間、足元に駆け出す光。


「待て! なんだこれは!?」


 それは床に描かれた、紋様から発動した仕掛け。


「メイ、ツバメ!」


 遅れてきたレンたちは、紋様が『転移』のものだと予想。

 まさかの仕掛けに皆が困惑する中、レンは叫ぶ。


「無理に全員で合わせなくてもいいわ! 進んだ先で再会しましょう!」

「りょうかいですっ!」

「了解ぽよっ!」


 こうしてメイたちは転移し、紋様から輝きが消えた。

 残ったレンとまもり、樹氷の魔女と迷子ちゃんが、その後紋様の再起動を少し待ってみたが、変化は現れなかった。

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[良い点] もしやアレか? 迷子ちゃんが一定時間迷子にならないと、転移魔法が発動して強制迷子にする呪いとかあるのか?? 早く迷子ちゃんの謎を解き明かさないと…! そしたらトラブル系能力者にありがちな…
[一言] せっかく合流したのに直後に分断?! この遺跡、一筋縄ではいかないようだね。 いやもしかして、迷子ちゃんが迷子にならない代わりに皆がはぐれて迷子になった?! おそるべし、迷子ちゃんの迷子ス…
[良い点] 初っ端から機械の猿vs野生の猿の腕。 ・・・流石に投げ合いにはならなかったw [気になる点] 迷子ちゃんの扱いがどんどん雑にw だが迷子ちゃんが復帰するととたんに一番のVIP待遇になると…
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