846.降りた先に待つ者
乳白色の動くブロックを移動してきたメイたちは、ここで一息。
ここからは動きも少なく、単純な高低の飛び降りがメインになりそうだ。
「順調ね」
「バニーが土下座したまま離れていったのは、笑っちゃったよ」
「とても楽しかったです」
アーリィの思い出し笑いに、うなずくツバメ。
「でも、ここからは仕掛けも作動しそうよ」
中継地点に浮かぶブロックは、乗ると『認証』を開始。
当然、『登録されてない』メイたちはこの認証に引っかかる。
すると六角柱型の黄色い結晶が、いくつも空中に展開。
始まるのは、魔力による攻撃だ。
「くるっ!」
空中を浮遊しながら撃ち出す魔力光弾は、そのまま一直線にメイたちの乗っていたブロックに直撃。
「うおおっ!?」
それによって起こる揺れと強い風に、夜琉が思わず悲鳴を上げた。
これによって全員が、この迎撃結晶の狙いが『転落』だと気づく。
「【誘導弾】【フリーズボルト】!」
「【十字光弓】」
すぐさまレンと灰猫が反撃の魔法を放つが、これを六角柱の砲台は難なくかわす。
即座に別の迎撃結晶が反撃に入り、別角度から魔力砲弾が迫りくる。
「わ、わわわわわわっ!」
この状況に【敏捷】のないまもりは慌てるが、身体はしっかり反応する。
「【天雲の盾】!」
迎撃結晶の放った魔力砲弾を、見事に防御。
そしてこの流れを、ツバメたちは予想していた。
「【連続投擲】!」
「【十字光弓】」
「【誘導弾】【連続魔法】【フリーズボルト】!」
敵を動かして落とす。
自然とつながった連携に、思わずアーリィが「うまい」とつぶやく。
四本のブレードを回避した迎撃結晶は、直後の誘導の効いた四本の光矢もギリギリでかわしたが、そこに迫る四つの氷弾はもうかわし切れなかった。
全弾直撃を受け、落ちていく。
しかしまもりの防御から始まったこの連携の間に、『溜め』からの魔力砲弾を撃ち出したのは二機目の迎撃結晶。
これには防御が間に合わないと踏んで、アーリィと夜琉は防御態勢を取る。
「おまかせくださいっ!」
そんなアーリィたちの前に立ったのはメイ。
「【装備変更】! せーのっ! 【フルスイング】!」
【魔断の棍棒】で放たれる豪快な振り上げは、飛来した魔力砲弾を倍速で打ち返す。
自らの放った魔力砲弾をくらった迎撃結晶は、そのまま砕け散って消えた。
「あのブロック島まで進みましょう」
この隙にメイたちは、移動を開始。
三つのブロックが集まった部分まで降りると、メイとまもりを中心にして反撃に出る。
8人が同じ場所に集まれば必然的に、全ての迎撃結晶は一か所へ攻撃を集めることになる。
「【クイックガード】【天雲の盾】盾盾盾っ!」
「【連続投擲】!」
「【十字光弓】!」
「高速【フレアアロー】!」
「【フルスイング】!」
5人の連携で、6体いた迎撃結晶を難なく片付けてみせた。
落下すれば即死のこの状況。
思わず安堵の息をもらすが、一人異変に気づいたメイが上を見る。
「あっ!」
すると真上に見えたのは、一直線に落下してくる一体の迎撃結晶。
黄色い輝きが増幅し、『溜め』に入っているのが分かる。
その一撃がブロックに当たれば、巻き起こる風に弾かれ落ちる者も出るだろう。
思わぬ危機に、走る緊張。
「レンちゃんっ! おねがいしますっ!」
「任せて! 【フレアバースト】!」
レンが杖を掲げ、真上に向けて放った爆炎はそのまま迎撃結晶に直撃。
舞い落ちる火の粉に、バサバサと揺れるローブ。
「かっこいいです」
「これは痺れるな」
まるで刀のように杖を振り下ろす姿に、ツバメと夜琉は感嘆する。
「やったー!」
「なんだか自然と連携できるようになってきたね」
「ないっすー! やっぱこのパーティ最っ高だね!」
メイとアーリィはそのままハイタッチ。
そこにバニーも飛びつきにいく。
まもりと灰猫は、後ろでパチパチと拍手。
すっかり仲良くなったメイたちは、静かになった吹き抜けの空間を降りていく。
すると段々、浮かぶブロックの数が多くなってきた。
動きもなく、移動するのにも苦労しない量が分布している。
「お、おい、なんだここ!?」
「ここが遺跡の内部か……! 進め進めーっ!」
下から聞こえてきたのは、別ルートで来たのであろうプレイヤーたちの声。
この空間の出入り口の一つになっているのであろう部分に、数十人のプレイヤーが続々と姿を現した。
「賑やかになってきた感じね」
「天空遺跡を目当てに来たとなれば、クエストの発見を楽しみに来た人も多そうですね」
何せここはメインルートとされているマップ。
ピラミッドの時のように、まだ見ぬ何かを探す者も少なくない。
見れば、縦にとにかく長いこの白と灰色の空間。
その外側の壁には、二つの道が開いている。
「よし行くぞ! 目指すのはあの先だ!」
「「「おうっ!!」」」
穴となっている部分も散見されるが、この付近はブロックも多く、ある程度の移動力があれば問題ないレベルだ。
勢いよく駆け出す、追従プレイヤー達。
「……ん?」
そこに上方から、黒いワイヤーのようなものが五本一気に降りてきた。
メイが上を見上げる。
「あれって!」
するとメイたちのさらに上方から垂らされたワイヤーを伝って、降りてくる五人の黒づくめ。
「アサシンたち……!」
黒のワイヤー使ってやって来たのは、かつて戦ったアサシンたちだった。
スパイのように慣れた動きで、スルスルと落下してブロックの上に着地。
入ってきたプレイヤーたちの前に立ち塞がった。
「――――これより先への侵入は許さない」
抑揚のない静かな言葉と共に、武器を取る。
「――――侵入者を排除する」
突然現れたアサシンたちに、驚きの表情を見せるプレイヤーたち。
しかしその有無を言わせぬ雰囲気に、相手が友好的でないことはすぐに分かる。
「な、なんだこいつら……!? 遺跡に住人はいないんじゃないのか!?」
「でも敵なのは違いなさそうだ! 行くぞ! この人数なら押し切れる!」
「「「おうっ!」」」
こうしてメイたちの足元で、アサシンとプレイヤーの戦いが始まった。
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