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841.二手に分かれます!

 ペンギン型ロボットたちは、栄養剤の過剰投与が止まると、低木の伸び過ぎた枝をカット。

 また縦の隊列を組み、どこかへと進んでいく。


「付いて行けば、中に入れるかも!」


 そんなメイの言葉に、皆続く。

 ペンギンロボたちの後に、なぜか縦に並んで続くメイたち。

 その姿に思わずレンも笑ってしまう。

 すると予想通り、ペンギンロボは遺跡中央の区画に戻っていく。

 途中で何度か転びながら、たどり着いた無機質な扉。

 ペンギンロボが手を触れると、ゆっくりと開いた。


「この子たちが、内部に入るための鍵の役割なのね」


 するとペンギンロボたちは中央区画に入り、そのままロボット専用の小さな通路へ入っていった。

 どうやらここからは、別行動になるようだ。

 紋様入りのブロックを積んで作られたこの区画は、どこか不思議な物々しさがある。

 進んだ先にあったのは、両開きの扉。

 そこには二つの宝珠を入れる枠がある。


「二つそろえないと、この扉は開かない仕様みたいね」

「道は左右に分かれてるし、まずは右から――」


 アーリィがそう言葉にした瞬間、メイが異音に気づいて振り返る。

 背後からやって来たのは二体のペンギンロボット。

 ドアの前で二手に左右に分かれて駆けていく。


「大人のペンギンだ!」

「追ってみよーよ!」


 さっそくメイとバニーは、左に進んだペンギンロボを追ってみる。

 二体のペンギンロボットは、どうやらこのまま分かれるようだ。


「あっ、首輪につけてるの宝珠だよ!」

「ドアを開くのに必要な宝珠は二つ。一度パーティを分けて追いかけるか?」

「そうしましょう」


 レンとアーリィはうなずき合い、即座に機動力持ちを2人ずつに分けて編成。

 すでに左側にいるメイとバニーの方に、まもりと灰猫。

 アーリィとツバメの前衛組に、レンと夜琉が続く形でパーティを分割。

 それぞれペンギンの後を追う。


「この感じー、こっちはペンギンロボを逃がさず追っかけることがクリア条件かなー?」

「そうみたいだね」

「灰猫とまもりは少ーし不利かも」

「大丈夫! 何かあったらわたしが抱えて走ります!」

「は、はひっ」

「りょ、了解したにゃん」


 申し訳ない派の二人、ちょっと緊張。


「それじゃーバニーは、今お願いっ」


 そう言って背中に抱き着くバニーと、「りょうかいですっ」と笑うメイ。

 まもりは「そんな自然に抱き着けるものなの……?」と戦慄しながら、キャッキャッする二人を眺める。

 ペンギンロボのたどり着いた先は、機械兵の格納庫か。

 壁際にはロボットが待機時に収まる鉄骨の枠のようなものがたくさん並んでおり、そこにはずんぐりとした、軽金属製のゴーレムを思わせる機械兵が収められている。

 ペンギンロボは入口の『認証』を問題なくクリア。

 対してメイたちは認証を受けられず警戒体制へ移行、並ぶ機械兵たちが動き出した。


「なーるほど、関係者以外は攻撃ってことだね! ここは倒すことより、駆け抜ける方を優先だー!」

「は、はひっ」

「まずはバニーちゃんにお任せあれっ! 【因幡ステップ】!」


 機械兵をいちいち倒していたら、ペンギンロボに置いて行かれてしまう。

 ここでメイの背中は灰猫と交代。

 走り出したバニーは、立ちふさがる機械兵に向けて一直線。


「【三枚おろし】!」


 先頭の個体に与えたダメージは2割半ほど。

 どうやら物理に強いタイプのようだ。


「そういうことなら、まもりっ」

「は、はひっ」


 バニーはわざと機械兵の前に立ち止まり、隙をさらす。

 そして反撃が飛んできたところに――。


「【かばう】!」


 まもりが跳んでくる。

 ここでバニーは、独楽のように回転して退避。

 入れ変わる形で前に出たまもりが、盾を振り下ろす。


「【シールドバッシュ】!」


【耐久】依存の一撃が生む衝撃波は、敵を弾き飛ばすのに最高だ。


「なーいすっ!」

「あ、ありがとうございます……っ」


 走り出しながら両手でピースしてみせたバニーに、まもりも指の伸びきらないダブルピースで返してみる。

 こんな能天気なポーズを自分なんかが取っていいのか最後まで悩む感じが、なんともまもりらしい。

 一方メイたちの前にも、寄ってくる機械兵の壁。

 灰猫を背負ったメイには、攻撃が難しい状況だ。しかし。


「【バンビステップ】!」


 メイはその隙間を、灰猫を背負ったまま余裕ですり抜けていく。


「【アクロバット】!」


 さらに伸身宙返りで機械兵の壁を跳び越える。

 すると今度は、機械兵たちが一斉にネットを投じてきた。

 その範囲はとても、抜け出せるものではない。


「お願い、いーちゃん!」


 しかしネットにかかる直前、肩口に出てきた白いイタチの吹かせた風が、機械兵たちを転がした。


「……すごいにゃん」


 この程度の仕掛けなら、足の遅い二人がいても問題なし。

 メイの頼もしさに、思わず声がもれる。


「メイ! さっきの可愛い子はなにーっ?」

「イタチのいーちゃんですっ!」

「使い魔いいなーっ! 後でなでさせてーっ!」

「もちろんですっ!」


 四人は機械兵の合間をすり抜け格納庫を脱出、ペンギンロボの後を追う。

 続く空間は、足元に無数の紋様が刻まれている。

 侵入者が床を踏む度に紋様が陣となり、魔力光を吹き上げる仕掛けになっている。

 ここは足を止めてはいけない場所のようだ。

 さらに左右に並んだ10体の機械兵が、右手に仕込まれた【炸裂矢】を放った。


「よいしょっ」

「はいよっ」


 黄色の結晶が付いた矢は、壁に当たり爆発。

 これをメイとバニーは普通にかわすが、まもりはそうはいかない。

 走り続ければ問題ないが、防御してしまえば爆発に体勢を崩されるか、その場に踏みとどまることになる。

 そうなってしまえば、魔力の吹き上げは直撃だろう。


「灰猫ちゃん、矢を打つ前に魔法をぶつけられないかなっ?」

「……どうやってにゃん?」

「こうしますっ!」


 メイは応えて『灰猫』の抱え方を変更し、肩車の姿勢で走り出す。


「あははははっ! そんな攻略法見たことないよーっ!」


 笑うバニーだが、その意図はすぐに理解。


「灰猫、右前っ!」

「【十字光弓】」

「灰猫ちゃん、左の手前!」

「【十字光弾】」


 メイと灰猫の移動砲台は、矢を放とうとする機械兵の体勢を次々崩しながら駆けていく。

 これなら続くまもりは、ただ走ることに集中すればいい。


「【浄炎】」


 灰猫は次々魔法で機械兵を撃ち、狙いが外れても――。


「はいそこーっ! 【因幡ステップ】【三枚おろし】!」


 バニーが即座にフォロー。

 見事な連携で突き進む。


「メイ!」


 しかしこの空間の最後に、天井の穴から落ちてきたのは4体の一回り大きな機械兵。

 続く道の前に横並びで立ち塞がる。

 ここでさらに機械弓兵まで8体追加。

 合計22体の一大包囲網となった。


「うわ! これ抜けるの、めーっちゃくちゃ大変じゃない!?」

「跳び越えますっ! 【ラビットジャンプ】」

「え、いいのーっ!?」


 メイは機械兵の頭上を灰猫を抱えたまま飛び越え、バニーも驚きながらそれに続く。

 すると残された機械兵たちは全て、遅れているまもりに照準を合わせる。

 動き出す大型と、放たれる矢。

 全てが一斉に、まもりに向けて攻撃を集中させたところで――。


「【ターザンロープ】!」


 メイの投じたロープが、まもりを捕まえた。


「え、えええっ!?」

「せーの、それええええーっ!」

「ひゃああああああ――――っ!」


 メイはそのままロープを引っ張って、まもりだけ見事に回収。

 機械兵たちを置き去りにしてみせた。


「きゃっち!」


 メイは引き寄せたまもりを、しっかりキャッチ。

 そのまま紋様の通路を抜けてみせた。


「あ、ありがとうございます……っ」


 満面の笑みを向けるメイに、ついしどろもどろになってしまうまもり。


「ないっすー!」


 さらにバニーにもピースされて、あたふた。

 なんかもう破れかぶれのピースで返す。そして。

 ちょっと悩みながら指の伸びきってないピースをする灰猫に、同じく指の伸びきってないピースで返すのだった。


「さーて、それじゃあ魔法珠をいただきましょっか」


 どうやら機械兵たちが外部に出る際の、ハッチになっているのであろうその部屋。

 壁際の小型格納スペースに収まり、待機状態になったペンギンロボのもとに駆け寄ったバニーは、そのままその首輪から宝珠を入手。


「バニーちゃんたちには、これくらい余裕だったね!」


 前衛コンビの勢いに引かれる形で、見事追いかけ型のクエストに成功したのだった。

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